全盲のイラストレーター ◆エム ナマエ◆ の超個人的十七文字ブログです
ボクは中途失明した画家。週に三度の人工透析で生かされています。なのに、今でも 画家で作家。ボクは思います。人生、何があっても大丈夫。
プロフィール

emunamae

Author:emunamae
いつも日記をつけてます。失明したら頭脳がノート。
だから、記憶力のトレーニングのためにも、前日の出来事を振り返り、コツコツ日記をつけてます。



リンク

このブログをリンクに追加する



カテゴリ



最新記事



検索フォーム



月別アーカイブ



RSSリンクの表示



QRコード

QRコード



最新トラックバック



2015年10月19日~25日
☆人工透析を導入したとき、東大のドクターはボクの余命を5年と宣告したけれど、ボクはそれから29年も生きています。お医者は神様ではありませんので、もしも余命を宣告されたら、どうかご自分の生きようとするエネルギーを、もっと信頼してあげてください。さて、この日誌は透析患者が病人ではなく、機械に腎臓の代わりをしてもらっているだけで、普段は一般の人と何ら変わらなく暮らしていることを知っていただくためのものでもあります。また、この日誌には本当のことも書かれていますが、ごくまれには嘘や冗談も書かれています。ただし、嘘は嘘らしく書かれてありますので、その判断のできないお子様たちは、どうか常識のある大人と一緒にご覧ください。また、難易度に関係なく、熟語や固有名詞などの漢字に振り仮名をしていることもありますが、これは視覚障碍者のための音声ガイドをサポートするためのもので、決して皆様がこの漢字を読めないと思っているわけではございませんので、その点はなにとぞご容赦ください。

1019・月・
 いい天気である。心の大きな友人のおかげで、今週も北軽井沢でのんびりさせてもらってる。ネットもない。テレビはつけない。安定して受診できるラジオはNHKだけ。そうなったらもう、のんびりするしかないのである。今朝もコボちゃんはアルルと野原を歩き回っている。リードをつけてないから、アルルはコボちゃんの前をいったり、後から走って追いついてみたり。落葉樹たちはすっかり色づき、北軽井沢の秋は実に美しいのである。
 今週もまたまた音声映画レポートをさせていただきます。つまり、あまりに平安で他にすることがないのです。
『蜩の記』
 時代劇である。歴史に弱いボクは、この映画を何の予備知識もなく楽しんだ。役者さんたちの熱演が実に好ましい。それと同時に心を動かされるのが臨場感あるサウンドトラック。最近の日本映画は実に録音がいい。ナマロクマニアだったボクはステレオデンスケを肩からかついで世界中を飛び回った経験がある。集めたステレオ音源を編集して夜を徹して楽しんだこともある。そんなボクはクリアな録音には無条件に反応してしまい、イメージが無限に広がっていく。ボクが音声映画にはまった要員のひとつが、どうやらそのあたりにあるらしいのだ。

▲ 色づいた 林を撫でる 空の青

1020・火・皇后誕生日・
 今年、北軽井沢をじっくりと楽しめたのは、長野原での臨時透析のおかげである。信頼できる方にS医院を紹介されたのがよかった。テクニシャンは優秀だし、看護婦さんたちは皆さん、心優しい。群馬県は人間も自然も実に美しいのだ。そして今朝は、そんな群馬県での今年最後の臨時透析である。皆様お世話になりました。
 毎日別荘地の林野を歩き回っているので、コボちゃんとアルルにはどんどんお友だちが増えていく。同時に仕入れた情報も豊かになる。北軽井沢の秋の素晴らしさを満喫したコボちゃんに、別荘地の住人たちは新緑の北軽井沢の美しさをアピールする。というわけで、来年のボクは、5月から北軽井沢に引っ張ってこられそうなのである。
 ここでまたまた、最近の音声映画レポートの続きです。
『漫才ギャング』
 再再読である。つまり、何度でも楽しめる作品であるのだ。まず、出演している漫才師たちの演技がいい。正に熱演であるのだ。あの芥川賞作家、又吉直樹氏の相棒、ピースのあやべゆうじ。大助花子の宮川大助。ミサイルマンのにしだいひろし、などなど。漫才村の住人たちのレベルの高さを思い知らされる。ことに宮川大助の演技に驚かされる。漫才の舞台では爪を隠しているのだ。大助花子を支えているのは、彼の秘めたシャープさであったのだ。それからテーマ音楽がいい。オープニングに響き渡るハードロック。歌うはスーパーフライ。ここでまず心を鷲掴みにされてしまう。この曲を選んだ監督が並み野センスではないのだ。この人の名前は品川ひろし。そして原作も脚本もこの人。ボクが知らないだけで、漫才界の大御所かもしれないね。ネットで調べればすぐにわかるんだけどさ。知れば知るほど世の中はすごい人たちで満ちている。ますます自分が情けなくなる。とほほ。

▲ 深む秋 落ち葉を土に 変えていく

1021・水・
 北軽井沢とは来年までお別れ。お世話になったスタジオクラスターの北軽井沢スタジオにお礼をいって鍵を閉める。愛車クオリスに乗ると、ボクの膝にはデブネコミミ。これから東京の自宅まで、ボクが猫の子守りをしていかなければならないのだ。
「どーしてここが有料道路なの!?」
 いつもそう思わされてしまう。普通に走っていると、いきなり料金所が現れる。それってさ、詐欺じゃないの。気持ちよく走っていると、いきなり、
「ここから先は地獄の一丁目。身ぐるみ脱いで置いていけ!」
とくる。ずるいよ。こういうのを既得権というんでしょ。誰がいつ作ったか知らないけど、ここから先の道は俺のもの。そういわれた気分である。ボクみたいに何も考えず、脳天気に生きてきた人間にとって、世の中のこうした仕組みがいまだによく理解できないのだ。税金を払っているだけでは許されない、こういうカラクリが呑みこめないのである。デブネコミミも同じ気持ちなのだろうか。料金所のおじさんに向かって
「ふにゅあお!」
と声をあげる。すると料金所のおじさん、
「猫ですね」
といってニッコリ笑った。途端にボクの気持ちも柔らかくなる。山の中の料金所である。昼間ならまだいいが、夜は寂しいだろうな。猫ならまだしも、このあたりはイノシシも鹿も狸も狐も出てくる。もしかしたら熊が出るかもしれないし、交通事故で死んだ地縛霊だって挨拶にくるかもしれない。仕事とはいえ、大変なことである。お疲れ様です。
 ではまた音声映画レポートをさせていただきます。
『阪急電車』
 再再再読である。何度でも同じ場面で感動させられてしまう。つまり、有川洋(ありかわひろ)の原作がいいのだ。この映画に触発されて彼女の本を読むようになった。この映画でも自衛隊の軍用ヘリが登場してくるが、自衛隊マニアの作家なのである。というわけで自衛隊シリーズが面白い。まだ未読であるが、映画化された図書館戦争が有名である。自衛隊マニアの女性というと、男っぽい文章を想像するが、とんでもない。女性にしか描けない心のひだを緻密に描写するあたりがボクの感動を呼び起こす。主演の中谷みきが素晴らしい。この映画から彼女の演技に注目するようになったが、この役者さん、実に様々な人間像を巧みに描き出す。すごい人だと思う。宮本信子の演じるおばあさんもいい。こんな厳しさだったら孫も納得するだろう。ふたりのからむ場面が秀逸である。監督さんが優れているのだろう。若い人もベテランも、みんな自然な演技で映画のクオリティーを高めている。そして最大の魅力は鉄道映画としての完成度。録音といい、電車の動くタイミングといい、どんなロケをしたのかと思わず想像してしまう。音声映画だけで感動したコボちゃんは、DVDでボクに映像を解説してくれた。正にイメージ通りであった。

▲ 秋空に 炭素の香り 大都会

1022・木・
 昨日が移動だったので、今日はその分の臨時透析。終わってからケータイに電源を入れると、慶應義塾非常勤講師で元東大助教授、元内閣審議官のジャーナリスト、下村健一氏からのメッセージが記録されていた。明後日の土曜日、築地本願寺での講演でエム ナマエを語る、とのことだった。あれれ、困ったぞ。この土曜日、いろいろなお誘いがかかって、どうしたらよいか、わからない。というのは、コボちゃんが多忙なため、エスコートの心当たりがないのだ。頼りの公式第二夫人も家を離れられないというし、どうにも身動きがとれないのだ。とほほ、である。ここは仕方がない。北軽井沢でふやけた脳味噌を晩秋の世田谷の清冽な空気にさらし、来年初夏までの都会暮らしに備えることにしようか。
 出来事の少ない日にやれることといえば、せいぜい音声映画レポートくらいなものである。ごめんなさい。
『映画清州会議』
 これまた三谷幸喜(みたにこうき)監督作品である。サピエ図書館にアップされてすぐにダウンロード、透析中に映画鑑賞と洒落こんだのだが、根っからの歴史音痴で、織田信長と豊臣秀吉以外、誰が誰やらわからない。そこで三谷幸喜の小説『清州会議』で戦国時代の人間模様を勉強して未開発のポンコツ頭脳のチューンアップ。好奇心が立ち上がったところで再度挑戦。すると豪華キャスティンを味わう心の余裕も出てきて、かなり楽しむことができた。ことに秀吉の奥方を演じる中谷みきの演技力に感服。ますますお目目がハートになってしまった。

▲ メランコリ 秋の烏の 馬鹿騒ぎ

1023・金・
 旧友、きむらゆういちから電話があって、船崎克彦氏が亡くなったことを知らされる。1978年、船崎克彦を団長とする英国周遊「不思議の国のアリスツアー」でボクときむらゆう いちは出会った。思えば長い付き合いである。このツアーグループ、不思議な顔ぶれで、前年、ケニア旅行でご一緒した小学館の編集者、炭釜氏もいらしたし、奈良坂智子さんという絵本画家も、童話作家を目指すきむら氏のスタッフも同行していた。企画が不人気でなかなか人が集まらず、寄せ集めメンバーという印象は否めなかったが、グループを案内してくれた英国ルイスキャロル協会の幹部や、英国在住のインタープリーター、木村征二郎氏の魅力もあって、思い出深い旅となった。この木村氏とはこれがご縁となり、来日の際には何度もお会いして他では学べないような様々にユニークな教えをいただいたことには感謝している。この旅を境にして舟崎氏との往来はなくなったので、訃報が悲しみを誘うことはなかったが、胸に去来する感情はある。少なくとも彼の描く世界は好きだった。ご冥福をお祈りする。
 さて、またまた音声映画のレポートをさせていただきます。コーヒーもいただきます。コーヒーと一緒にチョコレートもいただきます。もちろん御飯もいただきます。生まれてからこの方、いただいてばかりの人生です。すいません。
『山の郵便配達』
 『あの子をさがして』と同年、1999年制作の中国映画である。『あの子をさがして』以来、中国映画に興味と親しみを覚えたのがこの映画をダウンロードした所以。結果は正解。これぞ人間の暮らし。父と子の物語。そういう感動である。山の郵便配達の仕事がいかなるものか、付き添うことによってそれを長男坊に伝えていくベテランの郵便配達人の父。水先案内と用心棒の役割を背負って同行する次男坊と名づけられたシェパード犬。日本と中国の国家模様は個体と液体ほどの違いはあっても、人間の本質はひとつも変わらない。嬉しいことは嬉しく、悲しいことは悲しい。そう感じられるから人類の未来を信じることができるのだ。

▲ 気がつけば 枝を離れた 落ち葉かな

1024・土・霜降・
 本日はマキコ特派員の長男坊、水科哲哉君の結婚披露パーティーのお知らせをいただいている。お相手は偶然にもコボちゃんの同僚。実におめでたい。なのにいけない。身動きがとれないのである。ケンちゃんこと、下村健一氏の築地本願寺における講演会もある。けれどもいけない。身動きがとれないのである。プロの朗読家としての草分け的存在、こうだひろこさんの朗読会にも招待されている。けれどもいけない。身動きがとれないのである。目が見えていて行動範囲に束縛がなくて、気ままに動けていた頃の自分とは違い、ここが悲しくてたまらない。ときどき思うことがある。人は何のためだったら死ねるだろうか。その対象としてふさわしいものを考えるとき、 真っ先に浮かぶものが自由である。
 本日はボクが最も尊敬するジャーナリスト下村健一氏が「ご縁」というタイトルで築地本願寺で講演を展開する。その中でエム ナマエについて触れるということなのだが、さて、どんな内容になるのだろう。以下は下村健一氏から資料としていただいたものである。

①試練が紡ぐ縁/[ⅰ]今日午前、医療NPOが被害者対象の無料健診
          ――ニーズと寄付に支えられ、「20年」を越えて継続へ
 [ⅱ]松本サリン事件の二重被害者――河野義行さんが選んだ「恨みに支配され
ない人生」 
②悲嘆が結ぶ縁/世田谷事件と池田小事件――遺族の架け橋は「こぐまのミシュカ」
③願いが届く縁/全盲の画家エムナマエさんとジョン・レノン――ニューヨークで
の奇跡の出会い 
④意志が拓く縁/オーロラの世界的権威、赤祖父俊一さんの初めの一歩
          ――東北大学の一学生がアラスカに送った手紙
⑤使命が導く縁/首相官邸で迎えた東日本大震災――そして白鴎大学百周年と大洪

⑥一瞬が光る縁/日中韓首脳会談前に必見――反日報道一色の陰で、通りすがりの
「友好のフリーハグ」
以上である。

 よほど疲労が蓄積しているのだろう。筒井康隆編集のアンソロジー、70年代SF集大成の面白さもボクの眠気はとめられない。ベッドに倒れこむと同時に気を失っていた。
 なのにすごい風で目が覚める。パソコンルームにコボちゃんとアルルが飛びこんできたので、さては地震かと思い、すぐにラジオをつけたが地震に関する情報はない。そこで本日の天気予報を想い出したというわけである。今夜からは北風がひどくなる。北海道では吹雪になるとか。そこで安心して熟睡というストーリー展開。アルルもそのままベッドの足元で朝になるまで熟睡。11歳になったアルル、夫婦の会話で何でもお見通しである。
 映画のお話しです。
『北京バイオリン』
 これまた中国映画である。2002年の制作である。バイオリンとあるのだから、もちろん音楽を描いているのだが、不思議な映画である。とにかく先が読めないのだ。登場人物たちの気持ちも読めないし、状況も把握できない。何から何まで自分の日常とは違い過ぎて物語世界に入っていけないのである。では不愉快化というと、実はそうでもない。ラストシーンなど、どうにも納得はできないのだが、それなりに感動させられている自分にあきれる、というような新しい経験をさせられることだけは保証する。好きになれそうもないと考えている中国に、いつの間にかはめられている、そんな映画かもしれない。

▲ 木枯らしに 家を鳴らされ 飛び起きる

1025・日・十三夜の名月・
 今朝もラジオは文化放送、志の輔(しのすけの)「落語でデート」。444人目のデートのお相手はくらたまさん。漫画家であられるらしい。よく知らんけど、愉快なキャラクター。あはは。そして444人目の落語家は立川談志師匠。もちろんよく知ってます。わはは。この番組では初めてのご登場である。ここに登場するのは物故されたお師匠ばかり。無敵の談志師匠も、摂理にはさからえない。とうとうあの世からのご出演なのである。出し物は『浮世根問い』。真打になられたばかりの頃の録音であるから、まぁ、勢いのあることったら。1967年に東横線車内で相手をしていただいたのも、この頃ではなかっただろうか。カッコいいいなせなお兄さん。今から考えると、よくぞ声をかけたものである。ま、それが機会となり、最高の思い出となっているわけだから、相手を信じて、胸の中に飛びこんでいくべきなのだと思う。
 地震と間違えちゃったのは仕方がないかもしれない。昨夜の風は木枯らし1号だったのだ。去年と比べて3日早いとか。さて、今年はどうなる。寒くないことを心から祈っている。
 日曜日の午後はNHKラジオ伝統の番組、「上方演芸会」。昭和24年からすべて書き下ろしの新作漫才に徹底している。これはスゴイことですぞ。本日の出演はアメリカザリガニと宮川大助花子。映画『漫才ギャング』で役者としての才能を見せつけてくれた大助さん。花子さんには頭が上がらないけど、ピンになれば能力は全開で千パーセントのフル稼働。原発も真っ青なのだ。
 コボちゃんとアルルは十三夜の名月に照らされながら、深夜のお散歩。ボクが知らせてあげなくても、外に出たら、明るい月光に思わず見上げて、これはただの月ではないぞと感じたそうである。
 またまた音声映画レポートをさせていただきます。
『歓喜の歌』
 立川志の輔の新作落語の映画化である。この落語を渋谷パルコの舞台で最初に味わったときの感動は忘れない。あの永六輔さんも泣いたそうであるからスゴイ。それはそうだろう。舞台いっぱいに広がったママさん合唱団。歌うはベートーベンの第九。そして、これをそのまんま映画にした、というわけだ。出演者もスゴイ。立川志の輔と立川談志。ママさんコーラスのリーダーは夜明けのスキャットの由紀さおり。コーラスがテーマの映画ですから、もちろん童謡歌手のお姉さんも参加して美しいハーモニーを聴かせてくれる。ラストのコンサートシーンは圧巻です。というわけで、ボクは二度も観てしまいました。

▲ 煌々と 路地を貫き 十三夜




FC2 Blog Ranking