全盲のイラストレーター ◆エム ナマエ◆ の超個人的十七文字ブログです
ボクは中途失明した画家。週に三度の人工透析で生かされています。なのに、今でも 画家で作家。ボクは思います。人生、何があっても大丈夫。
プロフィール

emunamae

Author:emunamae
いつも日記をつけてます。失明したら頭脳がノート。
だから、記憶力のトレーニングのためにも、前日の出来事を振り返り、コツコツ日記をつけてます。



リンク

このブログをリンクに追加する



カテゴリ



最新記事



検索フォーム



月別アーカイブ



RSSリンクの表示



QRコード

QRコード



最新トラックバック



2015年8月3日~9日
☆人工透析を導入したとき、東大のドクターはボクの余命を5年と宣告したけれど、ボクはそれから29年も生きています。お医者は神様ではありませんので、もしも余命を宣告されたら、どうかご自分の生きようとするエネルギーを、もっと信頼してあげてください。さて、この日誌は透析患者が病人ではなく、機械に腎臓の代わりをしてもらっているだけで、普段は一般の人と何ら変わらなく暮らしていることを知っていただくためのものでもあります。また、この日誌には本当のことも書かれていますが、ごくまれには嘘や冗談も書かれています。ただし、嘘は嘘らしく書かれてありますので、その判断のできないお子様たちは、どうか常識のある大人と一緒にご覧ください。また、難易度に関係なく、熟語や固有名詞などの漢字に振り仮名をしていることもありますが、これは視覚障碍者のための音声ガイドをサポートするためのもので、決して皆様がこの漢字を読めないと思っているわけではございませんので、その点はなにとぞご容赦ください。

0803・月・

 おかげさまで左手の手根管症候群の内視鏡オペはうまくいきました。けれども傷口が包帯で保護されているため、文字の打ち込みがうまくいかず、ブログ原稿が遅れています。ごめんなさい。それでも指先の感覚は復活して、今後の「おえかき」については完全に保証されました。バンザイ、です。

朝にアルルを横にして目覚めることの嬉しさよ。本当によかった。そしてこの朝の涼しさは昨夜の激烈なる雷雨のおかげである。アルルを迷子にしたクレイジーな雷雨ではあったが、これぞ地球のホメオスターシス。上がれば下げる。下がれば上げる。これの繰り返しが気候現象というやつなのである。
 正午の時報前の天気予報でNHKアナウンサーがゲップを発射。
「グェップ!」
と国立科学博物館に永久保存したくなるようなゲップで大笑い。TBSラジオ「おはよう一直線」の生島ひろしアナウンサーのくしゃみには慣れているが、NHKアナウンサーのゲップは貴重品。どこかのオークションに出品したい気分である。
 午後、北軽井沢高原にまたまた夕立が訪れる。そしてコボちゃんは外に飛び出し、夕立洗車を開始する。天からのシャワーを無駄にする手はない。そして雷雨があれば気温が下がり、たちまちヒグラシが鳴き始める。それに呼応するように鶯が鳴く。この鶯、滞在中ずっといい声を聞かせてくれている。実に可愛い鶯なのである。
 夜、アルルを助け、御飯まで食べさせてくださり、ベンツの助手席に乗せてアルルを届けてくださったU氏にお礼の電話を差し上げる。コボちゃんはしきりにアルルが決して家から逃亡するような犬ではなく、昨日の雷雨の異常さを強調していた。U氏もアルルが利口な犬であることは認めてくださっていた。9月にはアルルと遊んでくれたピレネー犬のアンドラ君との再会が実現する。楽しみなことである。

▲ ヒグラシを 連れて夕立 浅間山

0804・火・

 TBSラジオの「おはよう一直線」のハッピー占いが星が三つであることを東京からの微弱な電波でしる。自分の居場所に係わらず、いつもの情報をそのままキャッチしていたいのだ。
 毎日が落雷の北軽井沢から猛暑の東京へと向かう。途中、関越道の火災渋滞に巻き込まれる。あのさ、見物渋滞なんてやめてくれよ。これから午後の透析なのに、遅れてしまうじゃないか。他人の不幸は蜜の味。そいつは悪趣味というもの。そういう楽しみがしたいなら、家に帰ってテレビをつけろ。ワイドショウでいくらでもやってるぜ。
 支持率が下がった途端、あれやこれやのやり直しと、なんたるせこさ、安倍政権。新国立競技場を見直したり、沖縄の知事に会いにいったり、次々と姑息な手段をひけらかす。まぁ、何たるせこさ、忙しさ。安倍政権、これで潰れてくれるといいのだけれど、さて、どれだけの日本人がこの現状をつぶさに観察していることか。それだけが気になるのです。

▲ 炎天下 悪魔のごとき 晴れた空

0805・水・

「無言は黄金」
というような素敵なフレーズ満載だった夏目漱石の『虞美人草』を読了した。漱石作品の魅力のひとつは会話の妙。ことに明治40年の東京大博覧会を舞台にした登場人物たちの話のやりとりは秀逸だった。さて、虞美人草とはヒロインの藤尾のことだろうと脳味噌具合の悪い予想をしながら拝読していたのだが、意外なラストで、なんだ、藤尾は愚美人草だったのかと、ますます頭のよくない合点をしている自分にあきれている。小学生高学年から読み始めた夏目漱石ではあるが、この年齢になって改めて拝読すれば、隠れていたものが次から次へと顔を出す。サピエ図書館という強力な見方が助けてくれるのだから、その有利な立場を駆使してこの際、夏目漱石を徹底的に読破しようと考えている。さて、できるかな。
「自民党、感じ悪いよね」
 若者からそんな声が上がっているらしい。渋谷あたりで高校生たちがデモ行進をしているらしい。これも安倍政権のひとつの効果。平和ぼけしているといわれている平成の若者たち。それでも目の前に戦争がちらつけば、立ち上がらざるを得ないのだ。
「いけ!」
という立場は鈍感でいられるが、
「いけ!」
といわれる立場はのんびりとはしてられない。赤紙1枚で夢も希望も命も台無しにされてしまう、そんなのは嫌に決まっている。そもそも平成の若者たちに、この国はどんないいことをしてあげただろう。
「美しい国」
なんて気取る前に、やれることがいくらでもありそうな気がする。
 今の透析室には1987年からお世話になっている。5年しか生きられないと命を区切られたはずが、来年で30年も透析で長生きを許されているのも、この透析室のおかげといって過言ではない。そのナースだったのがコボちゃん。どの患者さんにも真心で接しているその人間性にボクが勝手に惚れこんだのが結婚への助走路になったわけだが、コボちゃんのナースとしての心構えを自分への好意と履き違えたわけではない。ところが、こうした職業的熱心さを自分への好意と勘違いする御仁が少なからず存在する。今、コボちゃんはそうした特別な感情を抱いたり、もしくは特別扱いを強要するストーカーみたいな老人に悩まされている。
「あなたに親切にしたのは、あたしが看護婦だからなの。あたしは老人フェチではないし、勿論あなたが好きなわけじゃないのよ!」
と、休憩時間を台無しにされて恋するじいさんの感情の吐露に付き合わされてコボちゃん、珍しく激しい言葉でボクにレポートしていた。いやぁ、人は様々、現場はいろいろと大変なのです。お疲れ様。

▲ 雨乞いの 気持ち蛙の ごとくなり

0806・木・広島平和記念日・

「シャンシャンシャン、シャンシャンシャン」
 広島の平和公園からクマゼミの声が響いてくる。NHKラジオの生中継である。8時15分、平和の鐘の音を聞きながらコボちゃんと黙祷する。広島市長と子ども代表のスピーチに比べて、安倍晋三のスピーチの、何たる中身のなさ、軽薄さ。語り手の頭の中身と比例してはいるのだけれど、実は官僚の手によるものだろうと推測する。でなければアベちゃん、何を言い出すかわからない。自衛隊に原爆を運ばせると安倍政権の防衛省関係者が発言したばかり。安倍政権、ますますその無知性ぶりをひけらかしている。70年談話に叡智を結集して書きこんでいくとアベちゃんはいうけれど、それってどなたの叡智なの。猿知恵、狐知恵?
 慶應義塾高校のキャプテンを先頭に行進する、100年目の甲子園、高校野球開会式。ここでもクマゼミがやかましい。王貞治のサウスポーからの始球式は見事にストライク。
「恥をかかずによかった」
と王さんはどこまでも慎み深い。この謙虚さは最後まで貫かれるのだろう。アベちゃんに見習ってもらいたいけど、それは叶わぬ願いです。

▲ あの鐘の 届かぬことの もどかしさ

0807・金・

 朝、高校野球を聴いていたら、いきなり国会中継になってしまった。ふざけんな。このくそ暑いのに安倍晋三の言い訳なんか聞いてられるか。いくら説明したって、ダメなものはダメ。ポツダム宣言や立憲主義をもっとお勉強してから出直したらいかがでしょうか。
 恵比須駅から広尾まで懐かしい地下鉄で運ばれていく。地上に出るまで長い階段を上がっていく。蒸し暑い。本日の最高気温はボクの体温と同じくらいだろうと思っていたらとんでもない。実に37.7度であったことを夕方のニュースで知る。もしも歩いている途中でこれを知ったなら、ボクは階段を踏み外していたかもしれない。
 本日が仏滅なんて気にしない。「おはよう一直線」のハッピー占いの結果が最低レベルだったとしても気にしない。おくつ先生は世界一の名医、ゴッドハンドなのである。
 おくつ整形外科クリニックの奥深くに広がっているオペ室には清らかな音楽が流れている。心電図の電極が胸にあって、抗生物質の点滴チューブが右手にあって、思ったよりずっと本格的なオペである。
「麻酔の注射をします。皆さん、これがいちばん痛いとおっしゃいます」
とナースにいわれ、どんなに痛いのだろうと思い切りの覚悟をしていたら、
「チクリ」
と栄養過多で巨大化した蚊に刺された程度の刺激がやってくる。週に三回の透析で畳張りほどの注射針を左腕に何万回も刺されている身分だし、失明を防ぐために毎日のように目玉に注射を受けた経験者としては、この程度の注射は注射とも呼べないのです。なんて考えていたら手術は始まっていた。
 おくつ先生と楽しくおしゃべりしている間にオペは終了。おくつ先生もお手伝いのドクターもナースも、皆さんリラックス気分で、とりたてての緊張もなく、ボクはありがたくおくつクリニックを後にしたのである。
 オペはうまくいったけど、左手をぐるぐる巻き煮している包帯は仕方がない。盲目で、おまけに片手。その右手はコボちゃんの肩杖にすがっているわけで、白杖も使えない。ああ、この不安さ、不便さ。
「その左手、ぶつけられたら大変よ!傷口が開いちゃうから」
 エスカレーターに乗ろうとしたらコボちゃんに注意され、ベルトを右手でつかみ、白い包帯の左手を高く掲げる。ボクの右側を擦り抜けたい連中なんか気にしない。おいおい。エスカレーターは歩いて乗るもんじゃないぜ。じっとしてろ!
「電車とホームが遠いわよ!」
 足を開いてホームへジャンプ。いつもは白状がどれだけ目の役目をしていたかがよくわかる。ひとつ失うと、失う前の自由さを思い知る。不自由の中の自由。不便の中の便利さ。それらを思い知った手術からの帰り道となったのである。

▲ 七度五部 いい湯加減の 街歩き

0808・土・立秋・

 包帯でぐるぐる巻きの左手だけど、痛みもないし腫れもない。さすが名医のオペである。とはいえ、左手がお団子だから不自由極まりない。不平をいってると、
「水木しげる先生を見習いなさい!」
とコボちゃんに叱られる。それも納得なんだけど、キーボードの打ち込みができないのはつまらない。やることないから又吉直樹氏の『火花』の音訳読書に熱中している。登場人物と並んで吉祥寺や世田谷あたりを徘徊している。
 左手をお団子にしたまま透析を受けている。音声映画『タイタニック』を観ている。迫力ある音響の中、巨大な客船が海中に没していく。そうなると、イメージに浮かんでくるのは『銀河鉄道の夜』。ハリウッドが巨費を投じて制作した映画より、はるかに胸に迫るものがある。音声映画もイメージに訴えかけてはくるけれど、やはり文学には及ばない。
 透析からの帰り道、アルルはパニックと闘いながら歩いている。多摩川あたりで花火大会をやっているのだ。
 ドドオン、ドッカァン。
 ボクだって北軽井沢のあの落雷を思い出すのだから、アルルの恐怖がよくわかる。犬にとっては花火と落雷、夏は迷惑な季節なのだ。
 花火といえば、又吉直樹氏の『火花』を読了した。そして芥川賞に納得。この男と男の愛情物語を美しいと思う。そしてふたりの会話に拍手喝采。それにしても漫才師に作家になられたら小説家はお手上げである。漫才一致体に言文一致体の二葉亭四迷も真っ青だ。なんだけど、最後の入浴シーンはあってよかったのか、それとも必要なかったのか。このあたり、担当編集者はどのようなリクエストをしたのか興味がある。
 立秋を過ぎた途端、遊歩道では秋虫が鳴き出す。なんたる正確さ、なんたる優秀さ。自然の時計は億万年も正確に季節を刻んでいるのだ。

▲ 草むらで 季節時計が 鳴いている

0809・日・長崎原爆の日・

句集『長崎』より
◆ 炎天 妻に火をつけ 水を飲む
◆ 石になって 蜻蛉をとまらせている
◆ たかる蠅 追うて火傷の 子を看取る
◆ おちこちの 荼毘の煙や 流れ星
◆ 山腹の 焦土に冷たき 妻を焼く
◆ ただれたる 身に緑陰も なかりけり

 いわれたからといって長崎では非核三原則という言葉を並べたアベちゃん、支持率下落を阻止するためには平気で黒を白という。その浅知恵には吐き気を覚える。さて、70年談話はどのように辻褄を合わせるのだろうか。世間様のゴキゲンをとるのか。
 TBSラジオでは昆虫博士がニイデラゴミムシは100度のオナラをすると語っている。早速調べてみると、ニイデラゴミムシの別名はへっぴり虫。なぁんだ。そいつならボクもよく知っている。棒切れでからかうと、プップとお尻から黄色いガスを噴射するあの虫である。そのガスが100度もあるとは知らなかった。とはいえ、そんな微小な体積の100度ならコワクない。あっという間に大気中に熱を放散させてしまうのだ。でなきゃ、悪戯小僧たちはみんな火傷だらけになっている。
 夕刻、『ペテン師と天才・佐村河内事件の全貌』を読んでいたらズシンと突き上げられた。直ちにラジオをつける。けれどもNHKは高校野球を中継中。地震には触れる様子がない。アルルがベッドで暴れたのだろうか。まさかね。そんなことを思っていたら、やっと地震速報。6時18分、震源は千葉県沖、深さ80キロ、マグニチュードは4.2、ということだった。東京は震度2。いつも地震に怯えていると、どんな小さな揺れも見逃さなくなるのだ。

▲ 列島を 沸騰させて 白い球




FC2 Blog Ranking