全盲のイラストレーター ◆エム ナマエ◆ の超個人的十七文字ブログです
ボクは中途失明した画家。週に三度の人工透析で生かされています。なのに、今でも 画家で作家。ボクは思います。人生、何があっても大丈夫。
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いつも日記をつけてます。失明したら頭脳がノート。
だから、記憶力のトレーニングのためにも、前日の出来事を振り返り、コツコツ日記をつけてます。



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2014年11月17日~23日
☆人工透析を導入したとき、東大のドクターはボクの余命を5年と宣告したけれど、ボクはそれから28年も生きています。お医者は神様ではありませんから、もしも余命を宣告されたら、どうかご自分をもっと信頼してください。さて、この日誌は透析患者が病人ではなく、機械に腎臓の代わりをしてもらっているだけで、普段は一般の人と何ら変わらなく暮らしていることを知っていただくためのものでもあります。また、この日誌には本当のことも書かれていますが、嘘や冗談も書かれています。ただし、嘘は嘘らしく書かれてありますので、その判断ができないお子様たちは、どうか常識のある大人と一緒にご覧ください。また、難易度に関係なく、熟語や固有名詞などの漢字に振り仮名をしてありますが、これは視覚障碍者のための音声出力をサポートするためのもので、決して皆様がこの漢字を読めないと思っているわけではありませんので、その点はどうかご理解ください。

1117・月・
 毎朝必ずすることのひとつが視覚障害者情報総合ネットワークの「サピエ図書館」の新刊チェックである。新着情報から本日公開を開き、新刊リストを見る。すると驚き、官能小説のアンソロジーがあるではないか。点字図書館のボランティアスタッフが朗々と読み上げる官能小説だから、もしかしたらいやらしくはなく、癒し系の官能小説か、それとも青少年の健全育成に役立つ、あまりいやらしくないエロ小説ではないかと興味がわいた。もちろん即座にダウンロード、プレクストークに転送する。わくわく。
 いつもの透析。左腕に2本、透析のための針とチューブをぶら下げながら、ベッドにまたがるオーバーテーブルで食事をする。本日はオリジンの肉野菜炒め弁当。これ、生姜焼きしたブランド豚肉と、あらかじめ脂で揚げた6種類の野菜を炒めた惣菜が旨くて、いつまでも飽きないでいる。そして耳にはヘッドフォン。聞こえてくるのは昼間ダウンロードした官能小説集。朗読ボランティアの皆様の真面目な朗読が、それらをいかに読み上げるか、興味津々。まさか過激にエロい小説なんかじゃあるはずない。そう思って聴いていたら、どひゃあ。そのやらしいの、やらしくないのったら、滅茶苦茶やらしいの。思わず口に放り込んだ食べ物を咀嚼し忘れるほどであったのだ。
 食事の後は血圧測定。
「ナマエさん、やけに血圧が高いですね」
と臨床工学士の男の子にいわれる。まさか透析中にエロ小説を読んでいたともいえないので、
「あはは」
と笑って誤魔化す。うわぁいい歳をして恥ずかしい。まだまだ修業が足りませぬ。
▲ 冬の空 窓を響かせ ヘリがいく

◇ バーチャル『奥の細道』コース市振を通過しました。
次は奈呉の浦。あと、78,007歩です。現在の歩数、2,921,993歩。2周目挑戦中!

1118・火・
 昼間のニュースは誰かの訃報を告げている。トップニュースだから重要な人物であるに違いない。それが高倉健さんであることを知ったのは、しばらくしてからのことだった。とにかく日本中が大騒ぎである。昨年、文化勲章をもらったばかりだから、これからますますのご活躍間違いなしと、皆さん思っておられたことだろうから、驚きは無理もない。ところで、高倉健という役者の本領はビジュアルにあったのかもしれない。失明してからの音声映画『幸せの黄色いハンカチ』にも『ポッポ屋』にも皆さんがおっしゃるほどには感動しなかったのは彼の台詞回しにボクが魅力を感じられなかったからだろう。というわけで、高倉健さんという俳優のご逝去に特別な思いはない。むしろ、世間が騒げば騒ぐほど、ボクは冷静になっていく。ま、要するに人間には好みがある、ということで、ボクが可愛くない、ということではないと思う。
 エロ小説に目覚めてしまった。青少年に向けて、エロ小説は劣情を誘うからいけないと権力者たちはいうけれど、お前らの方がスケベに決まってる。オヤジとオフクロたちは、自分の息子からエロ小説を取り上げるが、その息子はあんたらのエッチで生まれてきたのではなかったかね。ボクがエロ小説に耽ったのは高校時代のこと。大学時代に、ボクはエロ小説とは縁が切れた。その必要がなくなったからだ。高齢者となって読むエロ小説は、みんな経験したことばかり。特殊なケースを除いてね。あはは。
▲ 咳きこんで あわてたわれを 悔やむなり

1119・水・
 本日の東京、日の出は6時20分。お出かけは7時30分。オバQ線のホームは北風で寒いけど、満員電車に乗れば、人いきれでムンムンムレムレ。右を向けばニンニクの口臭、左を向けば香水プンプン、背中からはデブの圧力。電車がスピードを変える度にボクは押されて、手にした白杖が持っていかれそうになる。体が浮いて、ボクがまるごとホームへ連れていかれそうになる。ボクが画家になった理由は、こんな満員電車に乗りたくなかったからかもしれない。今朝の満員電車に揺られ、そんなことを考えた。
 10年間、慶應義塾病院に通っている。この間、様々な検査を受けてきたが、不愉快な思いをしたことは、ただの一度もない。けれども、他の病院では患者を物扱いする検査技師に、殺してやりたいと思ったことはいくらでもある。その慶應義塾病院で本日、初めて不愉快な思いをした。伝えるつもりのない言葉ほど不愉快なものはない。そんなにしゃべるのが嫌だったら、ねえお嬢さん、受付なんかやめてしまえ。給料が欲しいだけの仕事なら、やめてしまえ。こういう馬鹿に効く薬は、さすがの慶應義塾病院にもないらしい。
 本日の日の入りは16時32分。日の暮れるのがまた早くなる。この日、ボクはふたつの病院で検査を受けて、額屋さんで額の裏蓋にサインをして、お気に入りのラーメン屋さんでチャンポンを食べて、クルマの中で日向ぼっこをして、透析を受けたら深夜になっていた。これだけで1日が終わってしまうとは情けない。この効率の悪さは日が短くなったせいではなく、ボクがノロマになったせいらしい。
▲ 北風に 向かう子らあり 夜の塾

1120・木・
 昨日、どこかの未熟者が解散を決めたらしい。インチキ解散である。どさくさ解散である。嘘つき解散である。長期政権確保解散である。憲法破壊解散である。選挙民愚弄解散である。野党見下し解散である。師走多忙化解散である。税金無駄遣い解散である。そしてもちろん、あれもこれも誤魔化し解散であり、アベちゃん以外みんな迷惑してる解散であり、これから4年間好き勝手させてよ解散なのである。
 31年ぶりにサザンが紅白に出演するらしい。そしてボクはその31年前の紅白におけるサザンをよく覚えている。桑田君が南春夫さんの真似をして、クリスマスツリーみたいに豪華絢爛な和服姿で暴れ回った紅白である。あれだけのことをして、サザンは二度と紅白には出ないだろうと思っていたが、それはオイラの考え違い。やっぱ、勲章の力は大きいのである。
 ドアチャイムが鳴っている。ドアを開けたらずぶ濡れになったクロコダイルの刑事が立っている。手には銀色に輝く手錠が握られていた。
「エロ小説単純所持で現行犯逮捕する」
「と、とんでもない。あれはエロ小説ではありません。官能小説です。立派な文学です」
「黙れ。立派な文学は劣情を刺激したりはせん!」
 そういって、ワニは目玉をギョロつかせた。
「でも、ノーベル賞文学の『雪国』の主人公は、自分の指に女の感触を想い出したりして、高校生のボクの劣情を立派に刺激してくれましたよ。もっとも、あの頃の川端康成はノーベル賞作家ではありませんでしたけどね」
「そうか。『雪国』は主人公がスケベだから成り立つ小説だな」
「そうです、そうです。すべての小説は男と女が出会って、そして結ばれる物語なのです。そして、結ばれるということは結合することです。ね、ね。やらしいでしょ」
「うん、やらしい、やらしい、滅茶苦茶にやらしい。クロコダイルが濡れるほどやらしい。というわけで、雨があがる前に、ワニはお家へ帰りましょ」
 探偵物語の主人公そっくりに、くたびれたコートに身を包んだワニの刑事が消えた後、残ったのは激しい雨音ばかりだった。
 そんな土砂降りの中、予約していた寿司屋にいったらボジョレヌーボーを勧められたから、
「あれはワインではない」
と断った。その横で赤ワインで寿司を食べてるカップルがいた。高級寿司屋の、せっかくの寿司を、不味くして食べてるバカップルである。あのね、魚には白ワイン。お肉とチーズには赤ワイン。赤ワインは魚のマイナス要素を百倍増いたします。ちゃんとした物を食べて育ってないから、旨いも不味いもわからない。貧しくても本物を食べて大きくなれば、大人になって恥をかくことはない。でも、本物の馬鹿は、恥をかいてることもわからない。わかるまでは、恥をかき続けて生きていってもらいましょう。
 外に出ると雨があがっている。あのワニの刑事、無事にお家へ帰れただろうか。ちょっと気になる。
▲ 熱燗や 雨を跳ね上げ いく車

1121・金・立川談志師匠ご命日・
 3年前の本日、立川談志師匠がお亡くなりになった。もちろんボクは弟子ではない。けれども談志師匠から直接「家来」を言い渡された身分ではある。師匠はボクを自宅に招待してくださり、抱きしめて
「お前を家来にしてやる」
といってくださった。自慢の手作り麻婆豆腐をご馳走してくださった。それからずっと、師匠はボクという家来と出会う度に、強く抱きしめてくださったのである。2002年の三越本店展覧会ではオープニングパーティーで師匠としてのスピーチもくださった。そして晩年、
「俺にできることは何でもさせてくれ」
とまでいってくださり、ボクを泣かせた。けれども、そんな優しかった師匠よりも、厳しい言葉をくださったときの師匠の方がボクは好きだった。立川談志という落語家は、目の前の人間と本気で一期一会を分かち合う人物だった。ボクにとって掛け替えのない大恩人であり、どこまでも尊敬のできる人だった。
 鶴竜(かくりゅう)が土俵で飛んだ。横綱が土俵で飛んだ。打ち止めの、観客が期待している取り組みで、勝つためだけに横へ飛んだ。大関稀勢の里(きせのさと)に負けて、優勝までに後がなくなった横綱鶴竜(かくりゅう)が目前の白星(しろぼし)目当てに飛んだのである。そして横綱鶴竜(かくりゅう)が、それを恥じることはない。日本人力士がモンゴル横綱たちに勝てない理由はただひとつ。それは彼らに相撲の美学やエシックを求めるからである。彼らにとって、大相撲はボクシングやレスリングと同じく、単なるスポーツでしかないのだ。そのことがわからないと、日本人力士に優勝はない。
▲ 抱き炬燵 ときどき喉を 鳴らしてる

1122・土・いい夫婦の日・
 本日は「いい夫婦の日」である。この日ではなかったが、2002年11月14日にボクとコボちゃんは「いい夫婦」を代表して、NHKラジオの「生き生きクラブ」という朝の番組に生出演していた。この週は毎朝各界の「いい夫婦」が順番で紹介されていたのである。翌朝は歌手の橋幸夫ご夫妻であったことを覚えている。さて、NHKラジオのスタジオは眺めがいい。目の下には代々木公園が広がっている。村上信夫アナウンサーが
「いい景色でしょう」
とコボちゃんに話しかけたら返事がない。彼女は得意の居眠りをしていたのである。
「私の番組で出演中に眠ったのは、コボちゃんが初めてですよ」
と村上アナウンサーの言葉にスタジオ中が爆笑。「いい夫婦」となると、ボクはこの日の事が真っ先に頭に浮かぶのである。
 朝6時半、TBSラジオに田中康夫さんがご出演。久しぶりの小説、『33年目のなんとなくクリスタル』について語る。知事や政治家のときよりも解き放たれた印象で、嬉しい。やっぱり小説家でおられる方が楽しいのではあるまいか。視覚障害者情報総合ネットワークの「サピエ図書館」で小説『なんとなくクリスタル』を検索したが見つからず、残念な思いをしている。この作品の隠しテーマは少子化による人口減少だという。この際、新旧組み合わせ、サピエ図書館で音訳していただきたい。
 今朝のNHK、ラジオ文芸館は堀江俊之氏の『スタンスドット』。ボーリングの話である。再放送である。一度目も心を動かされたが、今回は更に心が動く。素材がよかったのはもちろん、朗読とBGMのセレクションと効果音が超一流なのである。ここはさすがのNHKラジオ。作る人々の情熱が結晶化して、NHKラジオアーカイブスにふさわしいコンテンツに昇華している。
 22時08分、長野県で震度6弱の地震が発生した。田中康夫さんに招かれて、盲導犬アリーナと訪れたガラスの知事室のあった県庁舎も大きく揺れた。ボクは瞬間的にフォッサマグナを連想する。日本列島をくの字に折り曲げている、その地域である。NHKはすべての放送を中断して地震速報を伝えていた。ラジオ第一はもちろん、第二まで地震速報にそのチャンネルを奪われ、楽しみにしていた「朗読の時間」の再放送も地割れの底に消えていく。ま、災害放送は公共放送の任務だから仕方がない。と、こんな気楽なことをいってられるのは、東京ではまったく揺れが感じられなかったから。震源地やその周辺では恐怖と不安にかられた人々がおられるのだ。そうした現場でラジオは不可欠の情報源なのである。それにしても長野県、噴火があれば地震もある。今年は受難の1年である。
▲ 流された 地震速報 冬の夜

1123・日・小雪・
 パソコンを前にして座ったまんまの日向ぼっこ。サンルームではキジバトポッポが豆をついばんでいる。平和な日曜日ではあるが、長野県では建物の全壊もあったとか。深夜の地震で死者の出なかったのが不幸中の幸いといえるのかもしれない。本日読了した『スクランブル・イーグルは泣いている』の朗読は福島県点字図書館によるもの。その完成は2011年1月。東日本大震災の直前である。見事な朗読をしてくださったこの女性、今はどうしておられるのだろう。そして思う。運命を分けるものは何であるのかと。
 この日曜日、選挙に向けて各党が勝手なことをいっている。という気がしている。けれども、それはそれ。これ以上、自らを憲法とするアベちゃん内閣の好き勝手にはさせたくない。アベちゃんは壊れたコンピューターが支配するブレーキのないクルマ。過半数の確保を許したらどこまで暴走するかわからない。ここは脆弱な野党でもバランスのために投票しなきゃ仕方ないだろう。欲望に向かって落ちていく人類社会。不景気の中、借金国家の操縦に有効な政策を打ち出せない与野党ではあるけれど、ここは選挙民のエゴの捨て時であるような気がしてならない。景気浮揚策というようなまやかし言葉に騙されてはならない。
 野球のないときの楽しみはTBSラジオ「爛漫寄席」。今夜は三代目三遊亭金馬特集。ラジオの時代、まだ小さかったボクに落語の面白さを教えてくれた師匠である。三代目は今年で没後50年。1974年、71歳でのご逝去であった。
▲ 暮れてゆく 地震のあとの 日曜日




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