全盲のイラストレーター ◆エム ナマエ◆ の超個人的十七文字ブログです
ボクは中途失明した画家。週に三度の人工透析で生かされています。なのに、今でも 画家で作家。ボクは思います。人生、何があっても大丈夫。
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いつも日記をつけてます。失明したら頭脳がノート。
だから、記憶力のトレーニングのためにも、前日の出来事を振り返り、コツコツ日記をつけてます。



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2014年3月10日~16日
☆ この日誌は透析患者が病人ではなく、機械が腎臓の仕事をしてくれる以外は一般の人と何ら変わらなく暮らしていることを知っていただくためのものでもあります。また、この文面では難易度に関係なく、熟語や固有名詞などの漢字に振り仮名をしてありますが、これは視覚障碍者のための音声出力をサポートするためのものです。決して皆様がこの漢字を読めないと思っているわけではありませんので、どうかご容赦を。

0310・月・東京大空襲より69年・
 本日の東京の日の出は6時00分、日の入りは17時44分、月齢は8.8ということである。明日からいよいよ日の出の時刻が6時より前となる。これで日の入りの時刻が18時を過ぎるようになれば、
「ああ、日が延びたなぁ」
なんて感想も聞かれるようになるのだろう。とにかく寒いのはいやだ。
 本日は東京大空襲から69年目の日である。わずか2時間ほどの空襲で10万人の命が奪われたという。現在確認されているだけでも、その数は8万を超える。これにヒロシマとナガサキでの死者を加えるとどれだけの人数になるのだろう。ただし、これは数の問題ではなく、これら焼夷弾や原子爆弾の投下による無差別大量殺りくが国際常識的にも人道的にも許されてよいもののだろうか、という議論に発展する。では、これら無差別爆撃を帝国軍部が予測できなかったかというと、そうではない。広瀬正さんの『エロス』や『マイナスゼロ』を読めば、戦前から民間人も防空訓練を指導されていたことは明らかである。予測も覚悟もされていたのだ。大日本帝国のアジア侵略の発端をどこに求めていいのか、歴史音痴のボクには断言できないが、少なくともパールハーバーがなければ、これら空襲による無差別大量虐殺はなかったはずだ。アベちゃんは「ひとりよがりの歴史観」による戦後レジウムからの脱却を訴えているが、実に不思議な宣言である。大日本帝国は列強からの解放や「大東亜共栄圏」を旗印にアジアに対する一方的な支配を続け、その上に列強を含む世界中に対して喧嘩をふっかけた。つまり、地球規模の「出入り」を仕掛けたのである。結果は惨憺たる敗北。無条件降伏を受け入れた上に、東京裁判を手続として国際社会と「手打ち」をした。おかげで恒久的戦争放棄を掲げる立憲国家として、日本は生まれ変わり、戦後における奇跡的な復活を遂げたわけだが、元気になったら、あの「手打ち」はなかったことにしようとアベちゃんはいっているのだ。その表明が靖国神社参拝なのである。アベちゃんは英霊に対して感謝を捧げると語るが、それは違うでしょうと苦言を呈したい。我々が英霊に対してできることは、ひたすらの謝罪であり、死ななくていい民間人を劫火の中で死なせた反省なのである。迷惑をかけた国々に対しての、切ないくらいの平身低頭なのである。その大切なポイントを排除したアベちゃんの勝手な論理は世界中の反感を呼び起こす。国際社会はこう考えているのかもしれない。
「もしかしてこいつ、もう一度、喧嘩を売るつもりなのかよ」
と。アベちゃん、どうか民主主義や憲法や歴史を、ちゃんとお勉強してから首相をやり直してちょうだい。でないと、日本人全体が世界から馬鹿扱いされるのだ。
 夕方になると、TBSラジオスピードウェイではフェラーリとポルシェと練りそこないの粘土で作った、生乾きの自動車が一斉にスタートする。そしてスタートしたはいいものの、フェラーリもポルシェも練りそこないの粘土で作った、生乾きの自動車を道路にべたついたままにはしておけない。というのは、この練りそこないの粘土で作った、生乾きの自動車がレースの冠であるからだ。このべたつき自動車、レースは俺が主催だとばかり、道路にべたついてフェラーリやポルシェの足手纏い(あしでまとい)になってることを気にもしていない。荒川強啓介護番組「デイキャッチ」とは、そういう番組なのである。最近はますますその傾向が強くなっている。強啓さんにお願いしたいのは、一度でいいからご自分の放送を録音で聴くこと。そうすれば、少しは無駄口が少なくなるかもしれない。
▲ 北風が 意地悪そうに 窓叩く

0311・火・東日本大震災から3年・
 東日本大震災から3年目の今日、この1年間で被災者の皆様に復興を実感していただく、というアベの嘘が聞こえてきてあきれた。日本を揺るがす「ひとりよがり」と「大風呂敷」(おおぶろしき)と「ペテン」。この人の弱者に向けての無神経さは驚異的である。支持率さえあれば、何をいってもしても許されると勘違いをしている。ボクが彼を民主主義音痴呼ばわりするのはこの点だ。被災地の皆様はおそらく、この嘘を真に受けることはないだろう。けれどもアベちゃんは馬鹿な国民に自分の嘘が見破られるとは思っていない。けれども、いつまでも国民を馬鹿と見下げているうちに、すぐにでも立場が逆転するのだ。復興もできないまま東京オリンピックを進め、原発を再稼働する。ご自分の描いたマップがどうあろうと、国民の80パーセントが反原発という事実は動くことはないのに。国会であれこれ演説するアベちゃん、そろそろ哀願モード、もしくは絶叫モードになるのではなかろうか。でもな、この次は腹痛という理由での辞職はカッコ悪いよね。いずれにせよ、辞めた途端にアベちゃん、忘れられる存在になるのだ。
 遅くなった先々週のブログ原稿で書き忘れたことを思い出す。ニューヨーク在住のジャーナリスト、北丸雄二さんを囲む会でお会いした上杉隆さんのお話の中で興味深かったのが都知事選における小泉ジュンちゃんのエピソードあれこれだった。最も印象に残ったのが小泉ジュンちゃんの本気度。原発ゼロではなく、原発即ゼロにこだわった態度こそ、永田町や霞が関を揺るがす原動力になるものと心強く感じた。ジュンちゃんの反原発が純粋な動機によるものなのか、それとも反アベ勢力の象徴なのかは愚鈍なボクにはよくわからない。けれども仮にそれが政治家独特の計算高さによるものであっても、息子のためであっても、反原発を掲げるタイミングは誤ってはいないと感じる。昔のプライドを掻き回し、おかしな匂いのする空気を抽出中のアベ政権を潰してくれるのなら、それが誰でも、仮にそれが一昔前のアホ総理であろうとも、ボクらは歓迎しなくてはならないのだ。
▲ 三年目 東日本に 春はまだ

0312・水・
 東京の本日、日の出は5時57分、日の入りは17時46分、月齢は10.8となっている。そんな今日、5時に目覚め、ベッドから跳ね起きると、部屋の壁が微妙な音をたてていた。エアコンによる木材の膨張か、それとも地震が原因か。考えていたらラジオが親切に
「地震ですよ」
と伝えてくれた。震源は千葉沖、深さ90キロ。千葉と神奈川の一部が揺れただけの小さな地震である。けどなぁ、例のスロウスリップに関係があるのだとしたら、ボクらは近い将来の巨大地震の心配をしなくてはならないのだ。桑原、桑原。
 stap細胞の行方に、映画『未知との遭遇』に登場するようなモクモクの黒雲が出現し、見る見る広がっている。割烹着姿のヒロインの行く手も怪しい雲行きだ。彼女を餌食と狙うモンスターたちの蠢きが感じられる。さんざん持ち上げられた彼女の割烹着姿が汚濁にまみれ、そのステージから引きずり降ろされる様子が目に見えるようだが、ボクははらはらと見守るだけ。こういうとき、ボクはかつてのスプーン曲げ少年たちのことが想い出されて仕方ない。上げて下げる。今回の事件が一芸入試ギャルの全面否定に通じないことを祈りたい。いずれにせよ、生命科学の話だから、慎重な再実験や追実験の確認の上で真偽を追求していただきたい。女の子ひとりを血祭りにあげて、あとは野と鳴れ山と鳴れ、てなことにしてはならない。でもなぁ、危ない週刊誌屋さんやテレビ屋さんが多いからなぁ。
 景気のいい話が聞こえてくる。ベアである。熊のことではない。ベースアップである。でもこのベア、説明されないとわからない人もいるのではないかな。恥ずかしいけど、ボクもわからなかった若輩の時代がある。一部の人たちにニュースの受けが悪いのは、こうした難解な短縮ワードがちりばめられているからだ。正しい言い回しが普及してから短縮されるのなら誰でも理解できるだろうが、最初から短縮ワードでは、理解が追いついていかないじゃないか。誰でも彼でもが常時ニュースに耳目を向けているわけではない。こうした報道側の近視眼も、時事音痴や政治音痴を育て、一億脳細胞劣化に拍車をかけ、アホな選挙結果を作っていくわけだ。そして、こうして生まれたアホ政権が大企業に働きかけて実現した今回のベアだから、いくら無理矢理にアベノミクスを盛り立てても、本物の好景気は訪れないだろう。それに、この無理矢理のベア実現に、企業側は職員の給料は上げるけど、管理職のギャラは引き下げると、政権側に抵抗の意思を向けている、との情報もあるし、政権側からは、ベアによる負担は法人税引き下げで帳尻合わせをさせてやる、てな裏話も聞こえてきそうだ。ボクとしては、アベノミクスがアホ政権の嘘だとバレてもらわないと、この危険なアホ政権がいつまでも続くことになるので困ると思ってる。ねえ、みんな。アホ政権に愛想をつかし、早く真面目な国に戻ろうよ。
▲ ベア騒ぎ 山から熊も おりてきた

0313・木・
 某保育園のご依頼で、この春に卒園する園児たちのために絵本『まちがしあわせになったよる』26冊にサインをした。もちろん、絵本のヒロインのエンジェルピッグの絵もかくし、ひとりひとりの園児のお名前も書かせていただく。エンジェルピッグの口からの吹き出しには、
「おめでとう」
の文字も書き入れる。注意すべきは、この文字が吹き出しからはみ出ないようにすること。そして、名前を間違わないようにすること。だから何度も名前を確かめる。けれどもである、今の時代の子どもたちの名前は妙に頭に入りにくいのだ。童話のヒロインみたいな、もしくは外国人みたいな、ペットの名前みたいな、とにかく斬新でユニークな、というよりは不思議なネーミングが多いのである。これらネーミングが、ご両親がご自分の子どもたちにかける夢の形であることは容易に伝わってくるのだが、こちらの頭が古くなったのであろう。ポンコツの脳細胞たちが、これら文字配列を名前だとは認識してくれず、なかなか記憶バンクにセーブしてくれない。というわけで、たった26冊のサインなのに、半日の時間を費やしてしまった。とはいえ、この地球の未来を担う子どもたちである。ボクにできることがあれば、どんなことでも喜んでさせてもらうのである。
 関越道三芳パーキングでのエム ナマエの世界展は明日まで。そこへ偶然、お父上である僧侶、青木宏道(あおきこうどう)先生の本葬から戻られた青木岳志ご夫妻が立ち寄られた。奥様のヒロコママによれば、お父様がここへ導いたのだとおっしゃる。ウィークデイの夜なのに、会場は若い女性が多く見られるとか。この展示会のことをご夫妻にお伝えしなかったのは、お父上の本葬でご多忙のところを遠慮したのである。写真はスマフォによるものではあるが、プロのカメラマン、青木岳志さんの撮影である。
 ワンちゃんを散歩させていた67歳の女性がワンちゃんごと轢き逃げされ、亡くなった。女性とワンちゃんの魂はふたつ並んで昇天したのだろうか。ひどい事件である。結局轢き逃げ反は逮捕された。酔っ払い運転による轢き逃げ増加の原因は、その重罰化によるものとの見解があるが、どこかで運転者の意識を変える社会基盤が必要なのかもしれない。
 三寒四温を春の季語とばかり思っていたが、どうやらそれはボクの間違いであったらしい。コボちゃんが俳句に詳しい人から三寒四温は冬の季語であると教えられたのである。調べてみると、その通り。シベリア高気圧の影響で3日間晴れて寒い日が続くと次の4日間は曇天で暖かい日が続く。この規則的な気象の変化は中国大陸や朝鮮半島で冬の間に起こる現象。もともとは諺であったとか。けれども日本列島においては太平洋側からの低気圧の影響もあって、こうした規則的な変化は見られないという。そういうわけで近来の日本においての三寒四温は春の減少として受け止められている、というわけだ。けどさ、俳句の季語は、ボクらの季節感とは決定的にズレてるよね。
▲ 本物の 春はまだでも 猫柳

0314・金・
 『アンネの日記』破損事件の容疑者が挙げられた。真犯人であるかどうかは警察発表だけではまだわからない。最近の警察、100パーセントの信用には値しないからだ。今回の事件で最も気になるのが、これが単独犯なのか、それとも思想的背景のあるグループ犯罪であったのか、という点である。いずれにせよ、容疑者が挙げられた時点で、今後の事件発生がなければ、彼の単独犯行であったことが容易に証明できる。そして、何らかの意思反映を目指すグループがいるのなら、今後も『アンネの日記』破損事件は続発するだろう。とにかく、不愉快な事件である。
 日本人は差別に対して鈍感なだけで、決して差別感がないわけではない。特にボクの親世代の中国人や朝鮮人に対する差別感は醜かった。子どもから見ても嫌悪感で総毛立つほどであった。これら、戦中の子どもたちに植え付けられた差別感は、戦争に負けて世の中がすっかり変わった数十年後でも変わらず、彼らの心を染め上げていて、それら定着された概念はときとして驚くような差別的発言をさせて、在日の友人の前でボクは恥ずかしい思いをさせられたこともある。この既成概念は、いくら言葉を尽くしても彼らから払拭させることはかなわなかった。それを変えさせるのは個人と社会の絶え間ざる問題提起であろう。今回の浦和レッズに対する「無観客試合」のペナルティーは、そういう意味で意義ある決定打とボクは思っている。
 原発事故発生まで浪江町で宿泊施設を運営していた古い友人に電話をする。現在は郡山から施設の維持を継続しているという。彼女の施設には多数の小動物がいて、そのうちのウサギの母親が原発事故からしばらくして耳のないウサギの子を生んで話題になった。今もツイッターによる発言を続けていて、フォロワーは9千人を超えるという。頑張る人だから、ボクは彼女の勝利を信じたい。
▲ 寝静まる 屋根を見下ろし 通り雪

0315・土・
 行方不明になってから1週間。あのマレーシア航空機、どこへいったのか。世間でもボクの中でもいろいろな推測や憶測が飛び交っている。ボクなどは、事件の経過から、空の大怪獣ラドンでも現れたのかと、本気で心配していたくらいだ。そこへきて、今度はハイジャック説が浮上した。なんかなぁ、裏の国際社会が世界中をたばかって、何かを隠そうとしているような、そんなおかしなスッキリしない感をボクは否めない。元パイロットの航空評論家が航空管制から消えた旅客機をあり得ないことと決めつけていたが、果たしてどうだろう。仮に腕のいいパイロットが旅客機を超低空で飛行させていたとしたら、民間のレーダーでは捕捉不能と考えた方が自然ではないだろうか。各国の軍部による情報提供がない限り、今後の捜索は難しいような気がする。
 元巨人軍の桑田投手、東大大学院研究室に合格したと聞こえてきた。今後はスポーツ理論の研究に勤しむとのこと。現在、東大野球部の特別コーチとしても活躍しておられるらしい。ボクが恥ずかしくも巨人軍のファンであったときのエースである。だから無論、彼の成績を自分の成績のごとくに感じながら応援してきた。けれども成績よりも、彼のユニークな言動がボクの印象に残っている。最期は大リーグにも籍をおいて、最後まで努力の人だった。今はアンチジャイアンツの権化となったボクではあるが、今後の桑田さんのご活躍をお祈りしている。
 またまたアンチジャイアンツ関連の話になるが、ボクは今、井上ひさしの『野球盲導犬チビの告白』を読んでいる最中である。この本、予想以上に深い書物で、著者の温かくも鋭い視点に心を動かされている。主人公の一郎は盲目の天災プレイヤー。それを雑種のチビ、野球バカの野良犬が野球盲導犬としてサポートする、という物語である。改めて井上ひさしという作家の偉大さを教えてくれる書物なのだが、これ、巨人ファンが読んだら激怒するだろうエピソードが満載。けれども、今や巨人軍大嫌いとなったボクは腹を抱えて笑っている。なんせ、あの正力松太郎を思わせる人物が悪役として登場するのだから愉快極まる。ヒーローの田中一郎と野球盲導犬チビ以外、野球プレイヤーはすべて実在の人物という、かなりスリリングな設定ではあるが、作者の野球に対する思いの深さが胸に伝わってくる読み物でもある。1979年の時点に戻ったつもりで読むとますます面白くなる。まだ読了はしていないのだが、アンチジャイアンツには必読の書物であるとお勧めしたい。
 20時からのJ-WAVE、「浅田二郎ライブラリー」に傾聴しながら筋力運動をする。土曜の夜の習慣である。作品は『悪魔』。ひとりの小学生から見た大人世界の醜い姿を悪魔のなせる業として描いていく。主人公は小学生らしい潔白さで悪魔祓いをするのだが、総毛立つような場面もある。この作品、サピエ図書館で改めて熟読してみたい。
 22時25分からは、NHKラジオ第2で「朗読の時間」再放送。市原悦子さん朗読に夜『赤毛のアン』総集編の最終夜と思い、どのようにまとめるのかと気になっていたのだが、最終夜とはボクの勘違い。まだまだ続くと知って安堵した。
▲ 少しだけ 水の温んだ 気もしてる

0316・日・
 温かそうなので、アルルを真ん中にコボちゃんと散歩にでる。風は温かく、春の香りに満ちている。鳴き交わす小鳥たちの声に交じって、メジロやシジュウカラの声も聞こえてきそうだ。アスファルトの割れ目を押し広げるように菫色の花が顔を出している。土の中でしばれていた何もかもが溶解して吹き出しているようだった。
 いつもの散歩コースを歩いていくと、車道から聞き慣れないエンジン音が響いてきた。どんなクルマとコボちゃんに尋ねると、真っ赤なゴキブリみたいなクルマだという。もしもポルシェだったらコボちゃんにもすぐにわかるし、フェラーリだったらエンジン音でボクにもわかる。でも、どちらも赤いゴキブリには見えないだろう。そう思っていたら、その謎のクルマがとある豪邸の前に駐車した。玄関からはお揃いの真っ赤なトレーナーに身を包んだ人たちが飛び出してくる。これは只事ではないぞ。ボクはそう思い、散歩コースを外れて、その豪邸の前まで歩いていった。恥ずかしがるコボちゃんをよそに、そのクルマは何ですかと、豪邸のご婦人にお尋ねする。すると、ご主人らしい人物が
「ランボルギーニです」
と教えてくれた。ランボルギーニ・カウンタック。70年代のスーパーカーである。ご主人に、ボクが昔、乗り物のイラストレーターであったことをお伝えして、その場を離れた。ひさびさ、クルマで興奮して愉快だった。
 冬の間は日が当たらないので敬遠していた豪徳寺の花壇まで歩いていく。カレーショップのネパールの女の子は本国から戻ってきて、日本の小学校に入学するみたいだし、フルーツショップのおばさんや、お寿司屋さんの女将さんからも声をかけられる。花壇には横になってるおじさん。サイレンみたいなオナラを発するおじいさん。春でないと出てこない人種である。車道からはマルチエンジンの集合マフラーの排気音。これも春にならないと出てこない暴走族の生き残りであって、すべては春がきたぞのリボルーション。商店街には人があふれ、ラーメン屋の満来(まんらい)のラーメンは50円値上げして250円の表記となっていた。冬から春へのリニューアル。とうとう春がやってきた。万歳。
 元旦から意識して鍛えてきた下半身がボクの期待に答えてくれて、いくら歩いても息が切れず、疲れもしない。やっぱり鍛錬はするものと、改めて感心した。元気よく帰宅して窓を全面開放。久しぶりに部屋を風が通り抜ける。暑いと思ったのも久しぶりだ。ラジオをつけると、NHKラジオの伝統番組「上方演芸会」で、オール阪神巨人がしゃべっていてビックリ。15年ぶりの出演なのである。夢中で聴いていたら、悲鳴が聞こえてくる。ボクが木曜日にサインをした絵本をコボちゃんがチェックをしていて、ボクのボールペンがかすれていたことを発見したのである。あああ、ガッカリ。心をこめて書いたのに。
 それからボクは、お詫びの意味で、白紙に同じ内容の文面を、ひとりひとりの卒園児童にお手紙のつもりで書いていった。あの、ファンタジーワールドの登場人物みたいな、不思議で可憐なお名前を、もう一度やり直しで書いたのである。
 バリバリになった背中をマッサージチェアでほぐしてやる。BGMはTBSラジオの「爛漫寄席」。落語は柳家さん喬師匠の『天狗裁き』。お見事な語り口で拍手。引き続きNHKラジオ第二の「文化講演会」を拝聴。幹細胞についてのレクチャーだったが、演者の滑舌(かつぜつ)が悪く、せっかくの内容のほとんどが伝わってこず、イライラしてスウィッチをオフにする。それからコボちゃん特製の地獄ラーメンでボクのワガママな胃袋を満たしてやったら、アルルと布団に潜り込み、そのまま熟睡してしまった。
▲ 春風に ランボルギーニ 穴を出る




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