全盲のイラストレーター ◆エム ナマエ◆ の超個人的十七文字ブログです
ボクは中途失明した画家。週に三度の人工透析で生かされています。なのに、今でも 画家で作家。ボクは思います。人生、何があっても大丈夫。
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いつも日記をつけてます。失明したら頭脳がノート。
だから、記憶力のトレーニングのためにも、前日の出来事を振り返り、コツコツ日記をつけてます。



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2012年3月12日~18日
☆ この日記は、透析患者が病人ではなく、機械が腎臓の仕事をしてくれる以外は、一般の人と何ら変わらなく暮らしていることを知っていただくためのものでもあります。また、漢字や熟語、固有名詞には振り仮名がしてありますが、漢字の難易度とは関係がありません。これらの振り仮名は視覚障害者のための音声モニターを容易にするためのガイドです。

0312・月・
 5時半に目覚め、洗顔をしながらポケットラジオでTBSラジオ「おはよう一直線」の運勢占いをチェック。ラッキーレベルはスタンダードだったが、悲観的にならないようにとのアドバイス。でもなぁ、こう日本が低迷していると、楽観主義のボクでも、ときどきは悲観的になってしまうんだよね。いけないって、わかってはいるんだけどさ。とほほ。
 おえかきデスクに向かってホワイトデイのお手紙を書く。中には、ホワイトデイのクッキー…、ボクの場合はキャンディーではなくてクッキーなのだが…、よりもボクの手書き文字のお手紙の方が嬉しいといってくださる奇特なお人もいらっしゃる。だから一生懸命になって、丁寧に書くのである。皆さん、毎年忘れずに、還暦を過ぎたおっさんにチョコレートを贈ってくださってありがとうございます。
 OPMばかりで物事を考えていると、脳味噌がふやけてしまうらしい。その、とんでもないサンプルを以下に転載する。
 小学生に対して下半身を露出したとして、大阪府警吹田署は11日、公然わいせつ容疑で、大阪市東淀川区上新庄、同市水道局職員、田中努容疑者(39)を現行犯逮捕した。同署によると「子供に見せるのが快感だった」と容疑を認めているという。 逮捕容疑は、同日午後3時半ごろ、吹田市南吹田の市民体育館駐車場で、遊んでいた小学生5人に下半身を露出したとしている。 同署によると、田中容疑者はこの事件の5分前にも、近くの公園でベンチに座り下半身を露出。小学生6人が目撃し、このうち携帯電話を持っていた女児が110番した。小学生らは自転車で移動しながら犯行を繰り返す田中容疑者の後を追い、駆けつけた同署員に連絡した。
 いつものボクだったら、容疑者の名前は伏字(ふせじ)にするのだが、この場合は小学生の名探偵団が目撃、追跡しているので、これを事実と認定、ここに掲載するのである。だって、市の職員より小学生の方がずっと信頼できるもの。
 鹿児島の桜島が爆発的に噴火している。昨年の桜島は、過去最高の噴火を数えたとか。今年も既に300回を数えている。この活発な噴火活動、どうしても東日本大震災との関係を考えてしまう。千年前の貞観地震(じょうがんじしん)の後も、富士山が噴火したと聞いている。地震も心配だが、火山の機嫌も気になる。
 透析中にラジオを聴いていて、とっても驚いたことがある。この日本には原子力学会という組織が存在するらしいのだ。だとしたら、この組織、今まで何をしていたのだ。あんたらが絶対安全と太鼓判を押していた原発に、あれだけ重大な過失があったのに、反省もなけりゃ、謝罪もない。原因究明のためのミーティングだってやってる気配を感じない。この学会、まさに有名無実の組織としか思えない。ボクらが原子力保安院や東電に腹が立つのは、連中の人事(ひとごと)のように考えているとしか思えない態度だ。絶対安全神話を流布して、もしくは電力独占のあげくに、原子力に依存せざるを得ない檻の中に我々を閉じ込めておいて、いざ原発事故が発生すれば、生活のすべてを放棄して避難させられた何十万人という市民たちの犠牲をよそに、何億円という退職金をポケットに、平然と去り行く社長に、無責任野郎の烙印を押してやらなきゃ、誰だって腹の虫がおさまらない。東電生まれで東電育ちのボクではあるが、この際、東電には倒産していただいて、バラバラになっていただきたいと願う。そうして、我々が自由に電力会社を選択できるような、そんなシステムにしていただこうではありませんか。いずれにせよ、原発事故の尻拭いを東電が果たせるとは思えない。福島の避難民の救済や、東北地方の風評被害の損害補償は税金でまかなうしかないのだから、最終決定は我々国民の手に委ねるべきなのであるよ。と、ここまで腹立ち紛れで一気に書いてしまう。おおい。原子力学会とやら、ウンとかスウとかいってみろい。
 ホッとウィスキーを飲みながらの「ラジオ深夜便」のナイトエッセイは詩人の長田弘(おさだひろし)さんの「福島レクイエム」。若い頃、ボクはこの人の本が好きだった。とてもスマートなキャラクターを想像していたのだが、耳からの印象は純朴な福島訛りの人。だからこそこのタイミングで福島を語るのだろう。ご自分の詩を朗読するのだが、小さなおばあさんと雨の弓、レインボウのエピソードはちょいと素敵。理屈っぽくないと、もっと素敵だったかも。
▲ 拳骨をくれてやりたい社長さん

0313・火・
 5時半より活動開始。洗顔をしながらポケットラジオで運勢占いをチェック。9月生まれはローレベルということでガッカリ。ラジオではこの時間から空が明るいといっている。春の兆しは嬉しいが、春に向かうこの季節、毎年のようにボクの気分はブルーになる。理由はわからない。ボクの肉体で春の蠢きがホルモンバランスでも崩すのだろう。
 福島原発とチェルノブイリ原発事故を比較するようなニュースが流れる。危険領域とされる浪江町(なみえまち)在住の杉本祐子のことを思う。以前から気になっていたので、電話をかけると、元気な声が返ってきた。一時は北海道に避難するように聞いていたのだが、また「ユウの里」に戻って暮らしているとのこと。杉本祐子は浪江町(なみえまち)の森の中の私有地でユニークな宿泊施設を経営しているのだ。けれども、原発事故で客などこないだろう。もちろん、そのことは聞けない。ただ、この古い友だちが元気でいてくれればよいのだ。彼女は原発事故の後で生まれた「耳なしウサギ」の飼い主としても注目を浴びた。その映像はネット上で大きな反響を呼び、再生回数は百万回を超えたという。昨年の6月、千葉ポートタワーのエム ナマエギャラリー開設のとき、訪れた彼女から原発事故についての驚くべき情報を聞き、その後、それらの事実が政府やマスコミからリークされて更に驚かされた、ということがあった。今回の電話でも未確認の驚愕すべき情報を聞かされたが、ここでは明らかにできない。ただ、彼女が未来における原発事故当時の重要な証言者のひとりになっていくことは間違いがないような気がしている。放射能に負けず、元気でいて欲しいと祈る。
 気温は上がらないが、日差しは春。窓ガラスを通じて春の粒子の飛び回っているのを感じる。それでも、窓を開くほど暖かくもない。ここが中途半端でつらいところ。
 午後からおえかきデスクに集中。TBSラジオ「キラキラ」で、番組打ち切りを目前にした小島慶子がまつ子デラックスを相手にいいたい放題、やぶれかぶれ、暴れん坊将軍も真っ青のはっちゃけトークを披露、いや、暴露。金魚蜂のスタッフたちも笑いを消し、無口になるリアクション。おお、小島慶子よ、もっと暴発しろ、爆発しろ、と思わず応援しながら、ボクは習作を描いている。
 蟻や天道虫、蟷螂(かまきり)など、いつもはあまり描かない生き物の練習をする。そもそも、蟻がどんな顔をしていたか、よく思い出せない。目玉をあっちにつけたり、こっちにつけたりしながら、苦労して描く。それらの習作を夕方のティータイムで、お菓子を食べながらコボちゃんにチェックしてもらう。どうやら、蟻は蟻として、なんとかオーディションをパスすることができた。
 親しくしていた花屋さんの女主人が亡くなられて、そのご主人からの手紙が届いていた。毎日お墓参りをされているとのこと。彼女の死を惜しみ、その姿を偲ぶ俳句が綴られていた。この花屋さん、ボクの知る限りで最高の花屋さんだった。それは女主人の目利きと責任感の賜物。注文した花たちは元気で美しく、いつまでも咲いていてくれたものだった。ご冥福を祈る。合掌。
 仕事をするにしても、ラジオのニュースを聴くにしても、気分は中途半端。といって、ベッドに潜れば目は冴えるばかり。悶々(もんもん)としていたら「ラジオ深夜便」の時間となってしまう。詩人の長田弘(おさだひろし)さんのナイトエッセイに耳を傾けるが、ご自分の詩を朗読なさっている。童話作家も同じだが、詩人という商売も、ナルシストでないとやってはいけない。
 音声腕時計が次々と時報を告げる中、布団の中でもんどりうっているうちに、なんとか眠れたらしい。気がついたら朝になっていた。
▲ キーボード光の春はガラス越し

0314・水・ホワイトデイ・
 日の出の時間が早くなってきて、5時半ともなると、既に空は薄明となっているらしい。そう語るポケットラジオをお供に洗顔。「おはよう一直線」のラッキーレベルはスタンダードで納得。ボクが洗脳されたのがラジオの占いで、自称占い師でなくてよかったと思う。
 「お話の旅」はメーテルリンクの『青い鳥』。あの大作をこの尺では到底無理だなと思っていたら案の定、チルチルもミチルもろくな活躍もできぬまま、物語は進んでいく。幸せの国、夜の森、未来の国など、メーテルリンクがこめたかったメッセージもほったらかして、ただただ物語の説明でラストを迎える。最後、ありがちなハッピーエンド、幸せの青い鳥は我が家の鳥篭におりました、という「お為ごかし」のラストだけは避けたところが、さすがはNHKラジオ第二。きちんと青い鳥は鳥篭から逃げていく。そう。人間という生き物は幸せの青い鳥の後姿しか見られない存在であるという、この物語の本質的なテーマだけは押さえていたのである。
 ホワイトデイにささやかなクッキーを発送したらご丁寧なお電話やメールを拝受し、恐縮。ただ、ボクの送るのは経堂でいちばんのケーキ屋、アルルカンの手焼きのクッキー。お菓子作りの名人、「びっくり・バン」の馬場民子さんが賞賛するクッキーなので、味は保証できるのだ。
 風は冷たいが日差しは春。コートの下は薄いセーター1枚でも大丈夫。南新宿の坂道をいくが、いつものカラスの出迎えがないのでちょっと残念。代々木山下医院の待合室は混雑していたが、ふたりの年配女性が姦しくしゃべっている。このクラスのオバンギャルとなると、三人寄らなくても姦しいのだ。
 ボクが超音波検査を受けている間、隣のセクションで患者に説明をなさっている山下先生の言葉と態度が優しくも力強い。信頼は医者の最大の武器である。
 夕方になっても日差しが暖かい。帰宅するとアルルが歓迎。ふたりだけで出かけたので怒っているかと思えば、素直に喜んでいる。でも、着替えたら直ちに外出。今度は透析である。大きな病気を抱えていると、こうして病院巡りで一日の大半が過ぎてしまうことがあるが、自分は一病息災の恩恵を受けて長生きをしている果報者であると感謝している。もしもボクが病気をしないで生きてきたら、とっくに過労で命を失っていたに違いない。思い返せば、ボクはいつだってウルトラハードワークだったのである。
 透析質の夕食は烏賊と海老のチリソースで、これが旨かった。なんてお気楽なことを考えていたらラジオから地震速報。18時9分、青森で震度4。震源は三陸沖で深さは10キロ。マグニチュードは6.8。津波注意報が発せられたので、エネルギーとしては小さくはない。ただし、予想される津波の高さは50センチということなので、恐れられているアウターライズ型の巨大地震でなくてよかったと安堵する。日本海溝をまたいだ太平洋側のプレートで発生を予測されている大型地震は揺れが大きくなくても巨大津波はやってくる。東日本大震災以後、このあたりのプレートはグズグズになっているので、決して油断はできないのだ。
 そんなことを考えていたら、19時49分に東北地方で震度3の地震。震源は三陸沖で深さは10キロ。マグニチュードは5.0と、さっきの余震と思われる。もしかしたら、今夜はあちらこちらで揺れるかもしれない。
 堤未果(つつみみか)さんの-Jam the World-、彼女のインタビューを聴いていたら緊急地震速報。緊張した声が流れる。すぐにNHKラジオに回すと、千葉東方沖で地震発生と具体的な情報発信。思わず緊張して「地震がきますよ」と透析スタッフに声をかけてしまう。すると間もなく下から突き上げるような揺れがくる。隣のベッドのSさんが
「おお、これはデカイぞ」
と声が緊張しているが、ひさびさ、ボクも緊張した。なにしろ、自分の血管が機械とつながっている間の地震は恐怖である。
 21時5分、千葉県東方沖で地震発生。震源の深さは15キロ。マグニチュードは6.1。震度5強が茨城南部と千葉の北部。銚子では庁舎の窓ガラスが割れたとの報告。東京を含め、広い範囲で震度3を記録した。
 地震騒ぎが落ち着いて再び-Jam the World-を聴いたら、堤未果(つつみみか)さんが今週のケースファイルのテーマ、「骨粗鬆症」(こつそしょうしょう)を発音できず、苦労なさっていておかしかった。どんな才女でも弱点はあるものだ。
 余震があるかなと用心していたら、コボちゃんがいつもより早くきて、下のフロアで待機していてくれた。緊急地震速報が鳴ったときは、真っ先にアルルが玄関へ飛んでいき、コボちゃんに
「避難しなくていいの?」
と目で訴えていたという。昨年の大震災以来、アルルはすっかり地震慣れをしているのだ。
 病院の駐車場、クオリスに乗り込むと、そのアルルを抱きしめる。アルルはボクの膝にあごを乗せ、満足な様子。アルルも今年の秋で8歳となる。犬も、このくらいの年齢になると、俄然賢くなって、可愛さも倍増するのだ。
 余震を覚悟してベッドに潜るが、東京は朝まで一度も揺れなかった。おそらく、千年前の貞観(じょうがん)地震に見舞われた日本列島も、今のように休まず揺れていたに違いない。ということは、ボクらの体験しているこの地学的体験は稀有のもの、ということができるのかもしれない。
▲ この風を春風と呼ぶ痩せ我慢

0315・木・
 春眠、暁(あかつき)を覚えずの季節になってきた。5時半でも早起きとはいえないのに、6時まで起きられないでいる。というわけで、朝の運勢占いを逃し、リズムが悪い。
 昨夜の地震があったので、今日もまたくるような気がして落ち着かない。三陸沖から千葉県沖、いよいよ次は東京湾かと、つまらん予測をしてしまう。やっぱり首都直下型の大地震は嬉しくない。
 そして、気になるのが原発論争。政府も官僚も本質論を避けている。というか、そもそも原発を推進してきたアメリカが本質論を避けてきた。原発は停止していても安心できない。行き先の決まらない使用済み核燃料を長期保存している冷却プールの水を供給できなくなれば、すべての原発は福島と同じことになる。地震であれ、燃料不足であれ、いかなる原因での停電も、電力供給がなくなればアウトなのに、リーダーと思われる人物の誰もが、それに触れようとしないでいるのが不思議でならない。3.11の報道あれこれが、みんなその場しのぎに聞こえてくる。いったい、この国はどこへいくのだろう。子どもたちの未来はどうなるのだろう。世界の原発は400を超えていて、そこに中国が200を加えようとしている。世界のどこからでもいいから、誰からでもいいから、原発についての本質的議論を始めなくてはならない。
 少し空気が柔らいだのか、あまり暖房の必要を感じない。おまけに羽根布団を重ねてかけての昼寝だから、暖かくて気持ちがいい。気分が緩んだら、ふと夢の世界にいた。
 ボクはマラソンをしている。人がふたり、やっと擦れ違えるほどの敷石の道である。周囲は見たことのある森。それは慶應義塾志木高時代、毎年学校行事のマラソンで訪れた狭山湖周辺の森なのか、それとも幼年時代に遊んだ東伏見の鎮守の森か。その細い道から、ときどき垣間見えるのは青梅街道かもしれなかった。ボクは飛ぶように、滑るように走っている。息の切れることもない。すると、向かいから50CCのスクーターに乗って、おばさんがやってくる。
「すいません。ここは車両禁止ですよ」
 そういっても、おばさんはやってくる。人がふたり、やっと擦れ違える道である。なんとかスクーターをやり過ごした直後、白い道の周囲は断崖絶壁となっていた。
「落ちなくてよかった」
 ボクは胸を撫で下ろす。途端、ボクがオートバイに乗っている。アクセルを開くと、見る見るスピードが上がっていく。
「いやいや、これではいけない。運動にならないではないか」
 反省したボクはオートバイから自転車に乗り換える。思い切りペダルをこぐと、風が心地よい。と、そこでボクはいきなり思い出す。愛犬アルルを散歩に連れていこうと思っていたことを。けれども、家へ戻れる道がない。さっきの青梅街道も見えなくなってしまった。ただ、どこまでも森が続いているのだ。そこでボクは目を覚ます。羽根布団がよほど暖かかったのだろう。それとも、夢の中で走ったせいなのか。ボクはしっかり汗をかいていた。
 昼寝のせいで頭が冴えている。おえかきデスクに集中すると、面白くてたまらない。久しぶり、蟷螂(かまきり)や天道虫、蟻の絵を描いている。ボクが描こうとしている下絵は、「ラジオ深夜便」のキャラクター、ゆめぞうが巨大な草花のジャングルで、虫眼鏡を片手に地面を観察している絵。夢中になってるゆめぞうは、草花ジャングルの影からのぞいている巨大な虫たちに気づかないでいる。という絵なのだ。夜までに下絵を仕上げ、週末に彩色できれば、締め切りをなんとかクリアできる。なにしろ、担当者のI記者がもうすぐ結婚してしまうので、それまでには仕上げておかなければならないのである。おめでとうございます。
 放射能の影響かもしれない。最近、スーパーの握り寿司が売れ残っているケースが多い。そうなると、安売りになる。そうした安価な握り寿司でも寝酒の肴としては充分に楽しめる。この不景気な世の中だ。人間、小さな贅沢でも幸せは味わえる。いや、昨日と同じ今日を生きられるだけで、この上もない幸せなのである。
 日付が変わったら某絵本作家から電話がかかってくる。酔いにまかせて長電話。25時までしゃべってしまい、すっかり酔いが覚めてしまった。
▲ 梅祭り開かぬうちに幕を閉じ

0316・金・
 未明4時20分、部屋の壁がブザーみたいに鳴っていると思ったら目が覚めた。地鳴りだ。地震だ。そう思ってすぐにラジオをつけたけど、緊急地震速報は聞こえない。でも、揺れはどんどん大きくなっていく。と、ひとしきり揺れたら、そこで地震は終わった。水曜日に東北から始まった地震、千葉までやってきて、次は東京だと思っていたので、かなり緊張した。当分、この緊張は続くだろう。しばらくしてラジオからの地震情報は「ラジオ深夜便」を中断して。埼玉県南部、深さ100キロが震源。マグニチュードは5.2。東京をはじめ、広い範囲で震度3を記録したのは100キロという震源の深さが原因である。地震慣れしているアルルでさえも、コボちゃんにしがみついたというから、今朝のこの地震、アルルにとっても、かなり不気味な地震だったのだ。
 地震のおかげで眠れなくなり、結局は朝寝坊。またまた「おはよう一直線」の占いを逃してしまう。
 「朗読の時間」はパール・バックの『津波』の最終回。この小説、ずいぶん以前に映画化されていたことが判明。日本人最初のハリウッドスター、早川雪舟(はやかわせっしゅう)や伊丹十三(いたみじゅうぞう)、ジュディー・オングなどが出演していたとか。この小説は18世紀の末、1792年に起きた雲仙普賢岳の大噴火により瓦解した山塊(さんかい)が有明海(ありあけかい)に雪崩オチ、対岸の肥後に押し寄せた大津波が起こした歴史的大災害がモデルになっていることも判明した。こういうことからも暴露されるのだが、ボクは読むべき時期に、読むべき書物をろくすっぽ読んではいないのだ。だから、知らなくていけないことを知らないでいても平気なところがある。要するに興味が偏向しているので、知識の体系が虫食い状態なのである。
 東野栄進(とうのえいしん)という役者がNHKの「中学生日記」というドラマで教師を演じていたことに触れたばかりだが、その「中学生日記」の50年の歴史に幕がおろされることがわかった。一時、ボクも注目していたテレビドラマで、出演していたのは本物の中学生ばかり。その数ものべ5千人になるという。ドラマ打ち切りにはそれなりの理由や事情があるのだろうが、この世の中、いつまでも残っていてもらいたいものも存在するのだ。
 北の国に宇宙空間技術委員会というのがあるらしい。そこが地球観測衛星を打ち上げるという。北の国以外は、どこもそれを人工衛星とは思っていないようで、実態は大陸間弾道ミサイルの実験。つい最近、米国にミサイル開発はいたしませんと約束して食糧援助を要請したのだが、その約束はどうなるのだろう。新しい指導者になっても、北の国の外交は以前と変わらない。つまり、首はすげ代わっても、人形遣いは同じ、ということなのだろう。だが、たとえ将軍様人形が何を踊ろうと、民が幸せであるなら、ボクらの口出しするところではない。我々は一度だって北の国に住んだことがないのだから、実体は把握のしようがないのである。
 金曜日の透析中は東京FMに傾聴。「ライフスタイルミュージアム」も「柳家喬太郎のきんきら金曜日」もゲストへのインタビューが面白い。結局、人は人の話に感動し、学ぶのである。だから人に語らせるラジオが面白いのだ。そして、ラジオは馬鹿を炙り出す(あぶりだす)嘘発見機でもある。自分の人間性について自信がもてないならば、ラジオには出ない方がいい。
 透析からの帰り道、手袋をしていない自分に気がつく。そう。空気は春になりつつあるのだ。
▲ 寒くても肌にやさしい春の宵

0317・土・
 4時に音声腕時計のアラームをセット。「ラジオ深夜便」の「明日への言葉」に窪島誠一郎(くぼしませいいちろう)先生が出演されるのだ。インタビュアが西橋アナウンサーだから、先生も気分よくしゃべっている。戦時中、石巻(いしのまき)に疎開していた先生、被災した石巻で昨日から「無言館」の展覧会を開いておられるのだ。窪島誠一郎のことを先生と呼ぶのではなく、本当は親分と呼びたい気持ちのオイラではあるが、その昔、兄貴分の東君平(ひがしくんぺい)さんを慕っているみたいに、この親分をカッコイイおっさんとして崇めているのである。「ラジオ深夜便」大阪の西橋アンカー、長年に渡ってキッド・アイラック・アートホールで大河小説の朗読をされてきた。窪島親分を中心に回っている朗読集団「読夢の会」(よむのかい)の存在は意義深い。そして、ボクも読夢の会(よむのかい)の末席を許されているのだ。と、すぐに自慢話になってしまう。
 中途半端な寝方をしたので、アルルを抱いて二度寝をする。最近のアルル、ボクの邪魔をしない寝方をマスターしたのである。それに、生き物の行火(あんか)は電気代がかからなくていいし、毛がはえていて柔らかくて気持ちいい。短時間だが、熟睡して目覚め、窓を開けると、雨だった。
 8時からはNHKで「ラジオ文芸館に傾聴」。今朝は重松清(しげまつきよし)の『桜地蔵』という短編小説。心温まる清らかな作品だったが、途中で地震情報に物語が中断される。茨城が震源の中規模な地震だが、ボクが震源地にいれば、やはりラジオ小説よりも地震の方が気になるだろう。
 雨降りだから部屋でおとなしくキーボードを叩いている。すると、またまた地震。震源は埼玉県だから、昨日発生した深さ100キロでの地震の名残だろう。崩れた岩盤のバランスを、地球君が調節しているのである。
 この季節、三寒四温で、一雨ある度に春が近づくといわれているが、今年の春はやけに足がのろい。せっかくの土曜日なのに、散歩にもいけず、家でキーボードを叩いているのは情けない。
 20時からNHKラジオでは「真打競演」。出演はロケット団の漫才、ケーシー高峰の漫談、三遊亭歌之介(うたのすけ)の落語。ロケット団はどんどん腕を上げている。舞台の元気がラジオからも伝わってきて嬉しい。ケーシー師匠の漫談の最中、またまた地震情報。けれども仕方がない。揺れてる地方では情報が必要とされているのだ。そして、それに応えるのがNHKの使命なのである。ここんとこは受信料を払っていないボクだって拍手を送るのだ。えっ。NHKのお仕事をさせていただいているのになんで受信料を払っていないんだってお尋ねですか。ええとですね、その理由はですね、我が家ではテレビが見られないからです。チデジ以来、我が家とテレビの縁は完全に遮断されたのです。そして、ラジオだけの利用は受信料支払いの対象にはならないのです。うわぁ、脱線した。落語の話題に戻します。
 落語は大好きな三遊亭歌之介(うたのすけ)師匠。「山のあなあな」で有名な圓歌(えんか)師匠のお弟子で、爆笑タイプの芸風。コボちゃんによれば、顔もユニークであるとか。この人の高座はチャンスのある度、何度もナマで拝聴している。さて、今夜の外題は『転失気』(てんしき)。気を転がして失うとは、オナラを意味している。シンプルだが、何度聴いても笑える根多(ねた)。特に、この根多を得意としているのがご存知柳家一琴(やなぎやいっきん)師匠。ナマで何度も拝聴している。
  22時25分からラジオ第二で朗読の時間再放送。改めてパール・バックの『津波』を通して聴く。この作品、今の日本人に読ませたくて書いたのではないかと錯覚するくらい、大津波に遭遇した日本人の心に響くだろう。重複となるが、やはりNHKラジオの「朗読の時間」のスタッフの心意気に敬意を送る。とかいいながら、実は夜食のネギたっぷりのカレーうどんを食べながら聴いていたのだ
▲ 春風の亀さん兎を追い越して

0318・日・
 5時半より活動開始。NHKラジオでは文学の雫、太宰治の『走れメロス』をダイジェストでやっている。この作品は青木裕子アナウンサーの朗読で何度も聴いている。今のところ、彼女を越える朗読には、まだ出会っていない。
 6時からは文化放送で志の輔(しのすけ)ラジオ「落語でデート」。今朝のお相手は元ミスニッポンのタレント、嵯峨百合子(さがゆりこ)さん。笑い声の素敵なオープンな性格の人で、たちまち好感を抱く。声からして、きっと背の高い人ではないかと空想する。落語は二代目三遊亭圓歌(さんゆうていえんか)で『馬大家』(うまおおや)。初めて聴く落語である。よくある大家もの(おおやもの)だが、この大家(おおや)、馬が大好きで、そこに馬づくしの店子がやってきて、どんどん家賃を下げていく、というもの。よくぞこれだけ馬を並べたもんだとあきれるが、人と馬との関係を改めて認識させられる。
 6時半になれば、ニッポン放送に回し、藤沢周平傑作選を聴く。先週からは『禍福』という市井(しせい)小説。だから、出てくるのは町人ばかり。つい最近まで、大作の『海鳴り』の商人たちにハラハラさせられていたから、この小説の顛末にも注目である。
 浜松展の準備で脳みそを使ったから伝統の漫才番組「上方演芸会」でリラックス。若手はアメリカザリガニ。ベテランはザ・ぼんち。マサトさんとはラジオ番組で一度ご一緒したが、舞台と同じで大変に真面目なお人柄。オサムちゃんの描き出すチャランポランのキャラクターとの対比が独特の笑いを作り出す。今朝も思い切り笑わせてもらった。
 夕方までの降水確率で判断して散歩に出る。目的地の豪徳寺を目の前にして、世田谷線の踏切を越えようとしたとき、雨が落ちてきた。さあ、大変。コボちゃんは洗濯物を干してきたのだ。休む間もなくUターン。急ぎ足で帰宅。アルルは豪徳寺の花壇でおやつをもらうどころか、途中でゆっくり電信柱の匂いを楽しむこともできず、ガッカリ。コボちゃんは、せっかくの洗濯物が濡れてしまったと、ボクを気象庁の代わりにして文句たらたら。
 自然環境に放たれた鴾(とき)が抱卵しているのが確認された。交尾も観察されているので、自然環境での鴾(とき)の繁殖が36年ぶりに期待できるかもしれない。時間はかかるかもしれないが、日本の空を、あの美しい鴾色(ときいろ)が乱舞することを夢想したい。
 20時よりTBSラジオでは「爛漫寄席」。この春に真打昇進が決定している春風亭一之輔(しゅんぷうていいちのすけ)の出演。この人、腕もあるが、度胸もある。なんとなく酒癖の悪そうな雰囲気もあるが、風変わりな実力派としての活躍が期待できそうだ。
 21時よりNHKラジオ第二では「文化講演会」。冒頭を聴いて、面白そうならそのまま傾聴。そうでなければ、すぐにラジオを消してしまう。今夜は東大大学院教授の姜尚中(かんさんじゅん)先生の講演。ゆったりとした語り口にも引力を感じるが、「日曜美術館」の司会をされていたほどの美術愛好家だから、話の内容がいい。「受け入れる力」というテーマにも共感を覚えて、最後までしっかりと傾聴。その後、姜尚中先生と交流のあった国際ジャーナリストのオイケンに、この講演の感想を伝えた。
▲ 洗濯の足を引っ張る春の雨





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