全盲のイラストレーター ◆エム ナマエ◆ の超個人的十七文字ブログです
ボクは中途失明した画家。週に三度の人工透析で生かされています。なのに、今でも 画家で作家。ボクは思います。人生、何があっても大丈夫。
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いつも日記をつけてます。失明したら頭脳がノート。
だから、記憶力のトレーニングのためにも、前日の出来事を振り返り、コツコツ日記をつけてます。



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2012年2月6日~12日
☆ この日記は、透析患者が病人ではなく、機械が腎臓の仕事をしてくれる以外は、一般の人と何ら変わらなく暮らしていることを知っていただくためのものでもあります。また、漢字や熟語、固有名詞には振り仮名がしてありますが、漢字の難易度とは関係がありません。これらの振り仮名は視覚障害者のための音声モニターを容易にするためのガイドです。

0206・月・
 5時半より活動開始。洗顔をしながら「おはよう一直線」のハッピー占いをチェック。本日のラッキーレベルはスタンダード。重ねて強調するが、ボクは占いなど信じてはいない。でも、とても気にするのだ。わはは。
 外は雨であるらしい。冷たい雨であるらしい。考えただけで鳥肌が立つ。早くこいこい、春よこい。
 NHKラジオ第二「お話出てこい」はエム ナマエの恩師、渡辺茂男先生の名作『消防自動車ジプタ』。こうしてラジオになっても、やはり名作である。文章の格調が違うのだ。拙著に『消防自動車ドコデモ君』というのがある。失明直前に夢中で仕上げた作品だが、とある人物、その人も渡辺先生の教え子であったのだが、
「こんな作品を書いて、先生に申し訳ないだろう」
と叱責された。ボクはキョトンとしたのだが、ドコデモ君をジプタの盗作と思われたのだ。実はボク、『消防自動車ジプタ』を一度しか読んだことがなく、ほとんど記憶していなかったのである。ところが、こうしてラジオになった先生の絵本を拝聴すると、ボクのドコデモ君は、やはりジプタに酷似しているのだ。盗作と思うのは当然のことである。渡辺先生の名作は、たった一度でボクの潜在記憶に焼き付けられてしまい、自分の一部と化していたのだ。考えてみれば、自分のオリジナルと思い込んでいる、人からの拝借物というのは、いくらでもありそうな気がする。それでも、ドコデモ君は悪くない童話であると、ボクは悔やんではいない。
 ボクのベッドで寝ているアルルを抱いてやると、「グフグフ」と喜ぶ。そして、その「グフグフ」に同調させて、尻尾を柱時計の振り子みたいに、カチンコチンと左右に振るのである。
 いつもの透析はFMに傾聴。J-Waveの-Jam the World-は「公文書管理法」(こうぶんしょかんりほう)についてのレクチャー。つまり、福島原発事故当時の議事録が存在しないことで問題になっている、あの公文書のことである。この法律、2011年4月の施行。ということは、公文書が存在せずに問題となっている、あの原発事故のドサクサ以後のことなのだ。この法律を俎上に乗せたのは福田元総理の現役時代。公文書の内容を知ることは国民の権利である。国の秘密を知る権利について、官僚の独占を許してはならないのである。公文書を正しく作成するということは、未来の国民への官僚の義務。アメリカでは、ケネディー暗殺当時の公文書がもうすぐ公開される。つまり、ダラス狙撃事件の真犯人が明らかにされるのだ。未来における公文書の重大性は、この件でも明白だ。
 透析からの帰り道、湿った夜の空気にボタニカルな香り。そう。植物たちが春の準備をしている気配がしたのである。
 白ワインのグラスを傾けながら「ラジオ深夜便」を聴く。ナイトエッセイの琵琶の音色がいい。24時半になれば、藤沢修平の『海鳴り』の第90回の朗読が始まる。今夜も含めて、あと3回。さあ、どんな結末になるのかと思っていたら、意外な人物が主人公の前に現れる。うむむ。これでまさかのどんでん返しの結末か。いや、藤沢周平という作家は、そんなケチなことはなさらないはずである。でなかったら、毎週の月曜日の夜を楽しみにしていたこの1年間と10ヶ月は何だったのか、ということになるのだ。
▲ 枯れ枝に隠れん坊の木の芽かな

0207・火・
 朝寝坊で6時に目覚める。いつもだったら5時半なのに、この30分の差が大きい。「おはよう一直線」のハッピー占いを逃してしまうからだ。本日のボクの星巡りはどうだったのだろう。
 いつもより遅い時間にランチ。BGMはTBSラジオ「きらきら」。小島慶子アナウンサーがインフルエンザのため、ピンチヒッターが頑張っているので、番組に投稿してみたら、ほぼ直後に読んでくれた。あはは。パーソナリティーのホリケンが冗談としてはよくできている、といってたが、これは実話なのである。募集していたのは「低レベルな会話」。以下がボクの投稿内容である。
 以前耳にした、ラーメン屋の親子の会話。小学生の息子、店内のテーブルで宿題をやっている。
「ねぇ、お母さん、両棲類ってなあに?」
「そりゃあ、お前。ときどき女になったり男になったりする生き物のことだよ」
 以上である。ちなみに、その小学生、今は立派なお医者さんになっている。これも本当の話。余談だが、ボクのラジオネームは世田谷のエムおじさん。ときどき馬鹿な投稿をしているのだ。
 南風で最高気温が17度という予報は見事に外れた。どうやら弱気な南風であったらしく、横浜や河崎、羽田だけを暖めて、さっさと南下したらしく、東京の気温上昇はなかったのだ。
 有線放送に雑音が入る。コネクターの接触不良など、こちら側の原因を確かめたが、どうやら機械が原因らしいので、サービスセンターに電話をすると、たちまちの対応。地区の担当者が実に親切な人で助かった。営業所が近くにあるらしく、何度も往復して最新型のアンプとリモコンに取り替えてくれ、トリセツも番組表も運んできてくれた。それでお金を要求することも、判子を押す必要もない。有線放送、これからも愛聴していく。
 さて、有線放送の音質が改善されて喜んだのがコボちゃん。早速、落語チャンネルを楽しんでいた。
 夜、疲れて横になっていたらベッドが揺れて目覚める。22時38分、東京で震度2。震源は千葉で、深さは80キロ。マグニチュードは4.2。震源が深いせいか、広い範囲で震度2の揺れであった。おかげでボクはすっかり目が覚めてしまい、パソコンに向かって17文字原稿を仕上げる。絵夢助人(えむすけびと)さんに送信したら、25時を過ぎていた。
 ラジオをつけると「ラジオ深夜便」。須磨佳津江アナウンサーの美しい声が聞こえてくる。確か、先週も彼女だったはず。2週連続は珍しい。
▲ 南風根性出して出直せや

0208・水・
 5時半より活動開始。洗顔をしながら「おはよう一直線」の占いをチェック。ラッキーレベルはスタンダードで、納得して朝の儀式は終了。パソコンルームに戻り、机に向かう。
 コーヒータイムはFMJ-Waveの-Tokyo Morning Radio-をBGMに。流氷の妖精、クリオネのことをやっている。残念ながら、ボクはこの生き物を見たことがないので、空想だけで、愛らしいといわれるその姿を心に浮かべる。ボクの中でのクリオネは、とてもお茶目な動きをしている。けれども、体長3センチで寿命が3年というと、プランクトンというカテゴリーから思っていたよりは、ずっとしっかりとした生き物であることがわかった。おまけに、どうも肉食らしく、共食いもするというから、美しいバラにはトゲがある、てな連想もしてしまう。
 ランチタイムは音質の復活した有線放送の落語チャンネルをBGMに。ゆったりと野菜サラダを咀嚼していると、体重軽減に効果があるらしい。その証拠に、先週から一気に1キロも体重が減少している。
 いつもより早めに透析室に入る。今夜もNHKラジオの7時からのニュース以外は、ずっとFMJ-Waveを聴いている。分子生物学者の福岡伸一先生の頑張りで、ここんところフェルメールの大ブームである。それも学者特有のアプローチだから面白い。フェルメールのウルトラマリンブルーは有名だが、あれは宝石のラピスラズリを粉末にして使っている。ボクもウルトラマリンブルーが大好きで、最も多く使用する色彩であるのだが、このウルトラマリンが、海を越えて、という意味であることはまるで知らなかった。フェルメールの時代はオランダ交易の時代。アフガニスタン特有の宝石、ラピスラズリはシルクロードではなく、帆船により、海を越えてやってきたのであった。
 -Jam the World-の今夜は堤未果(つつみみか)さん。彼女の旧友という女性が出演、「東京油田2017」というプロジェクトをアピールしていた。2017年までに東京を油田に変えようという計画である。この油、VDFといい、ベジタブル・ディーゼル・ヒューエル。つまり、使用済みの天麩羅油を精錬して燃料とした油のことである。このVDFは、まんまでディーゼル機関の自動車でも発電機でも使用可能。東日本大震災以後は被災地でも喜ばれたとか。東京中の天麩羅油を回収できれば、東京ドーム40杯分の燃料が製造確保できるという。彼女の言葉で印象に残ったのは主権在官。心に残ったスピリットはジグソーパズル文明。一極集中ではなく、分散型の文明であれば、不測の事態にも強くあれる。たった1パーセントの供給力でも、ジグソーパズルのように集合すれば、文明社会という美しい織物が出来上がるのだ。
 番組中、二度の地震速報。20時36分に東北地方。21時1分、佐渡で震度5強。震源は佐渡島近辺、深さ14キロ。マグニチュードは5.7。東電は柏崎の原発に異常なしと報告しているが、あの原発だって、危機一髪の自体に遭遇したことがあったはず。あのときの原発火災を真摯に反省していたら、福島原発も被害を免れたかもしれないのだ。国民の間では完全に瓦解した安全神話が、当事者の間では、まだ生きているらしい。
 帰宅してホットウィスキーを片手に有線放送の落語チャンネルを楽しむ。笑っているうちに日付が変わっていた。この笑いがあればこその、医者の予測を裏切っての長生きなのである。
▲ 窓揺らす春の証のこの嵐

0209・木・
 いつものように5時半に目覚めると、喉が痛い。もしかしたら風邪かもしれないので、洗顔は主にイソジンガーグルでうがいをする。あんまりガラガラやるとポケットラジオが聞こえないので、控えめにガラガラやる。「おはよう一直線」のラッキーレベルはスタンダード。じゃあ、この風邪は静かにしていれば悪くならないな、と勝手な解釈をして妙に納得する。
 ひさびさのラジオタイム。「お話の旅」を聴く。今朝は小川未明の『二度と通らない旅人』。語りは名優の橋爪功さん。この人が語ると、すべてが名作になってしまう。それにしても不思議な物語。仏教講話か聖書か、どこかで聞いたような普遍的な戒めのこもったような物語だった。静かな雰囲気なので、これもひさびさの筋力運動とストレッチに集中できて、よかった。
 風邪のせいだろう。やたらに眠く、無理をして起きていると、まるで頭が働かない。で、横になっていると電話がかかってきて眠ってもいられない。なんだか中途半端なままに時間だけが過ぎていく。
 歌の練習をしようと、レパートリーのカラオケCDをかけると、音が出ない。しまった。CDRには寿命があると聞いてはいたがとうとうその寿命が尽きたのだ。試しに他のCDRをかけてみると、音の出るものがあって、安堵。それにしても、CDRの寿命が意外に短いこと、みんなに知ってもらいたい。
 風邪で喉がかすれているのだが、歌となると声が出るのは不思議。しゃべる声帯と歌う声帯は別の場所にあるらしい。
 イラストレーションや原稿のアイディアが浮かんでこない。部屋は寒くて指はかじかむが、日差しが強くて頭は煮える。もう冬には飽き飽きしている。
 コボちゃんとティータイム。クッキーを片手に有線放送の落語チャンネルを楽しむ。三遊亭白鳥(さんゆうていはくちょう)の馬鹿馬鹿しい新作落語なのだが、これが圓朝(えんちょう)原作の古典落語をベースにしていて、なんたる不謹慎と怒る人は怒るだろうな。でも、一説によると、この白鳥を現代の圓朝と位置づける向きもあるというから愉快。ただ、三遊亭白鳥には、まだまだ風格というものがありません。そもそも、滑舌(かつぜつ)が悪くて聞き取れないし、根多やジョークがあまりにローカルで普遍性に乏しく、誰もが笑い感動できるものでもない。ここのところがニチゲーの限界なのかなあ、などといったら関係者に怒鳴られそうだ。
 政治も経済もしけたニュースばかりで、ちっとも心が弾まない。マキコ特派員がインド取材旅行中でニュース配信がない。おまけにボクは風邪で頭が働かず、根気がない。いや、これが風邪でなくて、もしも花粉症だったらどうしようという恐怖感もある。というわけで、ホットウィスキーの力を借りて早寝と決めこんだ。
▲ 気を抜いて顔を揚げれば垂れる汁
▲ 間に合わずティッシュ持つ手に鼻の水

0210・金・
 5時より活動開始。音声腕時計のアラームで「おはよう一直線」のラッキーレベルをチェック。今朝も特上でもなければ並でもなく、真ん中の竹である。天麩羅蕎麦でもなければ、かけ蕎麦でもなく、せいぜいがたぬき蕎麦、といったところだろう。
 風邪で不調だが、ひさびさの執筆に集中できる。でも、枚数は稼げなかった。
 ドコモが通じない。昨日の午後からずっと圏外になっている。今朝の「スタンバイ」で、スマフォの普通が話題になっていて、メール募集をかけていたので、ドコモも通じないよと投稿をする。もちろん、何の芸もない文章などで、採用されるはずもなく、すぐにラジオをオフにしてパソコンに向かう。
 NHKラジオ第二「お話の旅」は小泉八雲の『雪女』。女優さんの迫真の演技がいい。あんな風にしゃべられたら、ボクだったら、いくら美しくても考えてしまう。この雪女、雪女郎(ゆきじょろう)という呼び方もあるが、これは雪深い里の悲しい女の物語なのだ、という説がある。
「ここで私を見たことを、誰にもいうでないぞえ」
 この言葉、何か思い当たらないだろうか。
 午後になっても、やはりドコモが通じない。そこで、ドコモサービスに電話をする。すると、親切で上品な女性が、こともなく応えてくれる。あとは簡単。ボクのケータイを一度オフにして、もう一度スウィッチオンしたら、たちまちにつながった。ケータイの設定の問題で、近所の電波をキャッチできなくなっていたそうな。そういう場合はリセットすれば、簡単に圏内へ復活デビューできるのだ。
 いつもの透析。スタッフに頼んでイソジンガーグルをもらう。風邪、ひどくはならないが、鼻のあたりがグシュグシュする。中途半端なふしゃみが出て困る。喉の痛みはそれほどでもないが、頭の重いのが気になる。人によっては、風邪ではなく、花粉症の始まりと感じているらしい。もう、そういう季節なのだ。
 透析中はNHKラジオのニュース以外はFMを聴く。今夜は東京FMで柳家喬太郎(やなぎやきょうたろう)の「きんきら金曜日」。ゲストはなんと、毒蝮三太夫(どくまむしさんだゆう)。ウルトラマンやウルトラセブンの楽屋話や、立川談志(たてかわだんし)の思い出を語る。ウルトラマンやウルトラセブンの裏話、ファンにはたまらない。いちばん笑ったのはモロボシダンの恋人、ウルトラ警備隊のアンヌ隊員のエピソード。彼女、猛烈なる酒豪であるとか。札幌の雪祭りに呼ばれ、ウルトラ警備隊が制服姿で雪の中を行進しているとき、アンヌ隊員が消えた。マムちゃんが見ると、彼女は路地の酒屋にウルトラ警備隊の制服姿で飛び込み、酒を一気飲みして、たちまち隊列に戻っていたそうな。寒くて、アルコール燃料なしでは歩くこともできなかったらしいのだ。マムちゃんが、談志は嫌なやつだったと繰り返しいうのは、その亡くなったことを認めたくないからだろう。
 帰宅して、昼間のうちに届いた新鮮な苺を食べる。もちろん、何もつけない。苺ミルクなんて、とんでもない。苺の甘さだけで充分なのだ。BGMは「ラジオ深夜便」の大阪版。ナイトエッセイで上方落語(かみがたらくご)復活の奇跡を語っている。
 ベッドに潜り、朴慶南(ぱくきょんなむ)さんの『私たちは幸せになるために生まれてきた』の音訳テープを聴く。朗読ボランティアの語りが丁寧なのと、朴慶南さんの文章の美しさに感動してしまい、眠れなくなってしまう。
▲ 水洟や春の兆しの人もいて

0211・土・建国記念日・東日本大震災より11ヶ月・
 苺に覚醒作用があるとは思えないが、寝る前に苺を食べたせいか、まるで眠れずに苦悶している。でも、そんな馬鹿な。で、よく考えてみたら、朴慶南(ぱくきょんなむ)さんの作品朗読を聴いたせいだと思い当たる。誰かのいい仕事は眠気を吹き飛ばしてしまうのだ。眠れずにもがいているのも芸がないので、ベッドから起きあがると、パソコンを立ち上げた。
 朝になって、やっと眠くなってくる。午前8時からは「ラジオ文芸館」なので、ラジオはつけたままにしておく。沖縄の話をやっているのだが、物語に入り込めないまま、いつかボクはアルルを抱いて眠っていた。これが『テンペスト』や『シャングリラ』の池上英一の作品と知っていれば、もっと集中して聴いたのにと、あとで残念に思う。
 10時過ぎ、いきなり地震。ベッドで抱き合って眠っていたボクもアルルも叩き起こされる。広い範囲で震度3を記録したのは震源が深いせいだろう。ここ最近、やたらに地震が多発している。各地では津波の避難訓練をやっているし、福島原発では水温が不安定になっているし、あんまりおちおちとはしていられない。
 午後、豪徳寺への散歩に出る。歩き始めたら春の日差しが背中に暖かい。アルルはひさびさのロングディスタンスの散歩なもんだから、匂いをとるのに忙しく、コボちゃんを引きずり回している。住宅街では国旗を掲げているお宅もある。ううむ。建国記念日に日の丸とはご立派な心がけ。いつかきっと勲章をもらえるに違いない。
 コボちゃん特製の野菜たっぷりの味噌ラーメンをたぐりながら、サタデイ大人天国「パカパカ行進曲」を聴いている。土曜日の至福の時間である。
 世界で初めて、メタンハイドレートの試掘が開始された。活躍するのは、以前にも触れたことのある地球探査船「地球」。水深千メートルの海底を探査試掘するには、どんな嵐でも、探査船が流されないよう、正確なGPSシステムと船体安定機能が必要となる。無能な議員に仕分けされそうだが、探査船「地球」のような存在が、未来の日本を開いていくのである。未来の燃料、メタンハイドレートが実用化されれば、日本のエネルギー問題は100年スケールで解決してしまうのだ。
 夕方、T氏が玄関に現れて、ボクの大好物とコボちゃんの大好物を手渡してくれる。ボクの大好物とはサントリーのシングルモルトウィスキー、「山崎」。コボちゃんの大好物とは某メーカーの最高傑作と評判の高い超高級カステラ。その後は近所の天麩羅屋「重助」(じゅうすけ)でT氏親子と酒をやったりとったり。いい気持ちになって帰宅。
 ラジオをつけると、宇多丸が自分の番組で吠えている。映画『テンペスト』を酷評しているのだ。そもそも、池上英一の荒唐無稽で破天荒な小説を映画化しようなんて、土台が無理な話なのであって、宇多丸氏のおっしゃること、そのどれもが妥当であろうと納得。『テンペスト』はまだ途中までしか読めてないが、今後の展開が楽しみでたまらない。ネイオン、ペイチン、タカラ、キコエオオキミ。あの独特のキャラクターがボクの中で生き生きと動いている。池上英一の作品世界を映像化できるのは、読者個人個人のイマジネーションでしかないのである。
 22時25分からラジオ第二で朗読の時間再放送。『麦と兵隊』で有名なヒノアシヘイの作品。不勉強なボクはこの作家の作品も漢字も知らないが、この『筑後川』という作品で作者に興味を抱く。登場人物も作者自身も、戦争に運命を翻弄された経験を有している。この『鯉』という作品、主人公が生身で筑後川に潜り、鯉を素手で抱きかかえて客に見せるのだが、主人公は戦地で敵兵を殺したことがあり、観光客はアメリカの将校という微妙な物語設定。ただならぬ空気の小説の巧みな語りをコボちゃんと並んで聴くのだが、やはり心が軽快になる、というわけにはいかなかった。それでも、サントリーの「山崎」の10年もののホットウィスキーはうまく、1時間15分の「朗読の時間」の再放送が終わる頃には、睡魔と闘うことが至難の業となっていた。
▲ 散歩道門の日の丸猫柳

0212・日・
 サントリーのシングルモルトウィスキー「山崎」のホットウィスキーのおかげだと思う。熟睡して4時に目覚めたら、もう眠れない。モジモジしていても時間が勿体無いから起き出してパソコンを立ち上げた。懸案の原稿の完成が間近であるが、なんだか勿体無くて筆が進まない。
 音声腕時計のアラームでラジオをつける。6時より文化放送では志の輔(しのすけ)ラジオ「落語でデート」。有名俳優のお嬢さんが、親の七光りでの苦心談をしている。落語は八代目三笑亭可楽(さんしょうていからく)の『二番煎じ』(にばんせんじ)。この根多を何度聴いたか覚えてはいないが、少なくとも365回は聴いている。ある時代、毎晩のようにこの録音カセットテープをかけていたことがあるのだ。可楽(からく)、最も好きな噺家(はなしか)のおひとりである。
 6時半よりニッポン放送では藤沢周平傑作選。本日からの新しい作品は、1981年発表の『報復』。冒頭からご主人が切腹という緊張の場面である。
 9時半よりNHKラジオ第二では伝統の番組「上方演芸会」ではあるが、おかしな早起きをしたので、そろりそろりと睡魔がやってきた。うとうとしながら耳にしたので、内容はまるで覚えていない。
 午後まで眠っていたら、コボちゃんに起こされる。昨日に続いて、日曜日も午後の散歩。日差しはますます春めいている。住宅街の家庭農園の切り株の上で猫が日向ぼっこしているとコボちゃんが教えてくれる。そこでたちまち、悩んでいたイラストレーションの絵柄が頭脳にひらめいた。
 世田谷線の踏み切りの音と一緒にハシボソガラスが鳴いている。コボちゃんに観察してもらうと、クチバシと頭が小さいといっている。ボクが鳴き真似をすると、コボちゃんが
「つつかれるわよ」
という。ハシブトガラスがつつかないのだから、ハシボソガラスだって、ボクをつつかないに決まっている。
 花壇でぼんやりとマックのコーヒーを飲んでいたら、マキコ特派員のご亭主に声をかけられ、驚いた。特派員、インド取材から無事に帰還なさったらしいのだ。アルルは仲良しワンちゃんのジョイの匂いがするものだから、大喜びしている。
 帰り道、日向の枝では梅が咲いている。小鳥たちの歌は間違いなく春の歌。雀たちに混じって目白も遊んでいた。
 帰宅して締め切りの迫っているイラストレーションの下絵を仕上げる。散歩のおかげで絵柄がひらめいたからだ。夜はコボちゃんの全面的サポートで、これに彩色を加えるのである。
 21時よりTBSラジオではラジオシアター。いつもだったら、こんな学芸会はパスするのだが、今夜は事情が違う。なにしろ、取り上げる作品がカフカの『変身』。グレゴール・ザムザを江守徹(えもりとおる)が演じるのだ。失明後初めての『変身」体験だったが、思うこといろいろ。その昔もザムザを自分に置き換えて読んだものだったが、今はザムザはまさに自分自身。失明当時の家族の反応を思い出してしまう。ボクにとって救いだったのは親友の存在。家族から受けた傷で死んでしまうザムザには、どうも親友の気配がないのである。
 S保育園の卒園記念に、絵本『いつもぶうたれねこ』にサインをする。ひとりひとりの名前を間違えないように、細心の注意を払う。卒園の日付。「そつえんおめでとう」の文字。そして、脇役のネズミの絵。この3月に卒園するみんなに、この絵本がプレゼントされるのだ。
 コボちゃんがエアコンの掃除をしてくれたのと、羽根布団をもう一枚重ねてくれたので、暖かく眠ることができた。今朝の早起きは、もしかしたら寒さのせいだったのかもしれない。
▲ 遊雀に戸惑う目白春の枝




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