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全盲のイラストレーター ◆エム ナマエ◆ の超個人的十七文字ブログです
ボクは中途失明した画家。週に三度の人工透析で生かされています。なのに、今でも 画家で作家。ボクは思います。人生、何があっても大丈夫。
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Author:emunamae
いつも日記をつけてます。失明したら頭脳がノート。
だから、記憶力のトレーニングのためにも、前日の出来事を振り返り、コツコツ日記をつけてます。



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2011年10月3日~9日
☆ この日記は、透析患者が病人ではなく、機械が腎臓の仕事をしてくれる以外は、一般の人と何ら変わらなく暮らしていることを知っていただくためのものでもあります。また、漢字や熟語、固有名詞には振り仮名がしてありますが、漢字の難易度とは関係がありません。これらの振り仮名は視覚障害者のための音声モニターを容易にするためのものです。

1003・月・
 本日はアルルの7歳の誕生日である。中部盲導犬協会からやってきたのが2005年の10月で、1歳のとき。ボクが大手術をして、退院してきた翌月のことだった。あれから6年が経過して、盲導犬になれなかったアルルではあるが、アリーナと同じく、盲人のボクをしっかりと守ってくれるようになっている。
 朝のルーティーンワークが終わる頃、コボちゃんからお呼びがかかる。秋の日差しの中、北風を正面に、豪徳寺へ向かう。いつもの花壇に座ると、隣におっさん。アルルに英語で話しかけ、隣の女性に盲導犬のレクチャーをしている。まあ、アルルを盲導犬と思っている人に、わざわざご丁寧に、否定をすることもないので、黙っていた。
 お寿司屋のおばちゃんが、アルルに話しかけている。このおばちゃん、ときどきアルルにおやつやドッグフードをまとめてくれるのだ。ボクら盲人一家を思いやってくれているのか、それとも、よほどの貧乏と見ているのか。産休中のS看護師が7ヶ月の赤ちゃんを抱いて通りかかる。コボちゃんが赤ちゃんの名前を呼ぶと、ニコニコッと笑うという。この看護師とは以前からの仲良しだったので、楽しく談笑。
 午後、室内の湿度計は35パーセント。朝の気温は16度だったが、昼間はそれなりの気温になっている。からりとして、美しい秋の日である。
 北極で巨大なオゾンホールが発見された。これまで、北極には存在しないと思われていたオゾンホールの出現は、その気温低下にあるらしい。北欧やロシア、グリーンランドも危険領域に含まれるらしいが、日本だって北半球に位置するのであるから、決して油断はできない。オゾン層破壊物質、フロンガスが悪さをしなくなるまで、あと30年はかかるらしいので、地球温暖化をはじめ、我々は文明による逆襲を次々に受けることになる。
 池袋でラーメン戦争が勃発した。東武デパートと西武デパートがそれぞれ、ラーメンの名店を誘致したとのこと。ボクの好きな原宿じゃんがらラーメンも参戦したというから愉快。こういう戦争なら、いくらでもやってくれ。
 デイキャッチを聴いていたら、カラスは数がわかるというニュース。そんなこと当たり前。カラスが好きでたまらないボクにとって、それは不思議でもなんでもない。カラスの生態に関する研究を続けている宇都宮大農学部の杉田昭栄教授のグループが、餌を使った実験でカラスが数を認識できることを解明したのだ。杉田教授は以前も、カラスが人間の男女差を認識することを証明している。ボクのような鳥類を信用している人間にとっては、カラスやハト、インコやオウムが人間の個体識別や認識に優れていることは常識である。デイキャッチに電話出演した杉田教授は、カラスの知能は小学校低学年の人間に匹敵するだろうと、個人的な見解を述べていた。イヌにせよ、ネコにせよ、コミュニケーションが成立することに喜びがある。町のカラスについても、コミュニケーションは成立するのだが、人間が彼らに寛容ではないのだ。彼らと上手に付き合えば、カラスやハトのいる暮らしは、もっと楽しくなるのにと、いつも残念な気持ちにさせられている。
 デイキャッチに新しいメンバーが登場。この人、町田さんと名乗り、昭和レトロ研究家であるという。本日はレトロな薬の話題。正露丸(せいろがん)という薬、本来は征露丸(せいろがん)と書き、日露戦争でロシアに勝利し、その征服を祝してされたネーミングであると知る。その後、国際関係に気遣いしてか、今の文字となったのだという。また、ウィロウというお菓子があるが、あれはもともとは、とある万能薬の名前。気つけや乗り物酔いに効く薬だが、あまりににがいため、口直しのお菓子がついてきた。いつの間にか、その薬の名前がお菓子のものとなってしまったらしいのだ。この町田という昭和レトロ研究家、また聞いてみたい。
 いつもの透析はボクのためのラジオタイム。FM-J-WAVEの- Jam the World -も10月の改変でリニューアル。Fifteen Minutesのコーナーも- Break Through -となる。内容が濃厚で、とても15分では終わらないところからも、以前のタイトルには違和感があったとか。番組の目玉でもあるから、番組10年目のタイミングでのイメージチェンジとなる。
 本日、東京駅にエコタクシーの乗り場ができた。電気自動車やハイブリットカーのタクシー専用の乗り場だ。以前にも触れたことがあるかもしれないが、塗る太陽電池というものができた。将来はこの塗料を塗布(とふ)された服を着用してケータイ電話を充電しながら歩く、てなことも可能になるわけだが、最も可能性の大きいのが太陽電池となる車両塗装。これを電気自動車タクシーのボディーに塗布すれば、駐車中や客待ちでも充電ができることになる。そう遠くない将来、クルマの常識も大きく変化していくことだろう。
 連日のように、ニューヨークはウォール街のデモを報道する日本のマスコミが、どうして国内で起きている反原発のデモや集会について触れないのだろう。不思議でならない。この日本、おかしな方向にいかないよう、危険な国にならないよう、ボクらは日々の情報を注意深くウォッチングする必要がある。
 帰宅して柳家一琴師匠のメルマガを拝読。落語協会の会長に柳家小三治師匠が就任してから初めての真打昇進が決まった。芸に厳しいお師匠たから、簡単には認めないだろうと思っていたが、古今亭菊六が真打に昇進することは納得である。円菊師匠のお弟子さんだと思うが、実にいい雰囲気のある噺家さんである。
 アルルに向けて「ハッピーバースデイ」を歌い、アルルカンの高級ショートケーキ、まるまるひとつをプレゼントする。アルルにアルルカンの高級ケーキ。勿体無いというなかれ。アルルはアルルカンの高級ケーキの味をよく理解しているのだ。
 24時半、「ラジオ深夜便」では藤沢修平作品朗読。『海鳴り』の74回をBGMに赤ワインを楽しむ。
 そのままの勢いで、赤ワインのグラス片手に立川談志師匠の朗読、新撰組を拝聴。聞く者を名人と唸らせるその語りと間(ま)。強烈なる個性と迫力と、そしてサービス精神。ここに談志師匠のスピリットを見る。司馬遼太郎の作品であるが、談志師匠がそのオリジナルの文章を、どれだけ忠実に読んでいるかは疑問。しっかりと談志節(だんしぶし)になっているからだ。3枚組の1枚目だから、楽しみはまだまだある。実(じつ)をいうと、たった1枚のCDを、たっぷりと1時間半をかけて、巻き戻し巻き戻ししながら、聴いたのだ。それだけの語りであるのだ。立川企画の松岡社長経由で、このCDを届けてくださった青木裕子軽井沢朗読館館長に心よりの感謝を捧げる。
 ベッドに潜ったら、たちまち赤ワインが効いてきて、ニュートリノの超光速で熟睡してしまう。
▲ 鳴き渡る烏青くて高い空

1004・火・
 少し朝寝坊して6時より活動開始。目覚めてすぐ、恩人の佐野厚さんに合掌。本日は佐野さんのご命日なのである。これまで、血縁者でもないこのボクに、血縁者以上の支援をしてくださった佐野さん。今のこのボクの健康も、佐野さんのおかげなのである。散歩をする度、佐野さんへの感謝の念がわいてくる。
 早速パソコンに向かう。けれども、朝の仕事の終わらないうちに、コボちゃんが散歩にいこうとボクを誘う。秋晴れではあるのだが、少し涼しい。思った通り、途中で出会うワンちゃんも、花壇を通りかかるワンちゃんもいない。そこでアルルは失望。ボクもラジオタイムになるので、急いで帰宅。
 建物入り口の階段でNHKラジオ第二の朗読の時間、太宰治の『斜陽』を聴く。足元ではアルルが通りのマンウォッチング。花壇でワンちゃんに出会えなかったのが残念でならないのだ。
 イラストレーション制作。けれども、納得できる線が生まれてこない。アイディアが悪いのだろうか、描こうとするキャラクターに命を吹き込めない。一生懸命になって白い紙に向かうのだが、心の高揚がない。これはアイディアが悪いのだ。編集部に電話をして、締め切りについて相談をする。もう一度、アイディアから練り直すことになる。
 ランチタイムが終わって、立川談志師匠の朗読CDを拝聴。ついつい夢中にさせられて、気がつくと身動きができなくなるほどに集中、手に汗を握って傾聴していた。
 午後のおやつはアルルカンのケーキ。アルルのステンレスの食器にも小さなピース。昨日に続いてのケーキに、アルルは目が白黒。ボクはバターたっぷりのケーキ。実はボク、生クリームよりも、バタークリームの方が好きなのである。
 ところが、このバターにデンマーク政府は脂肪税というものをかけるという。その目的は健康増進のため、というが、ううん、眉に唾。本当のところはどんな事情か都合かは知らないが、デンマーク政府としては、バターなど、飽和脂肪酸の多い動物性脂肪を含んだ食品に課税することにしたのだ。ちょっと前、ハンガリーではポテチ税と称して、ジャンクフードの数々に課税したばかり。まあ、あれこれと理由や口実を考えては税金をかけ易いところにかけていくのは万国共通。この日本でも、喫煙者が圧倒的少数になったら、次は何に税金をかけるのだろう。若い男性にはナンパ税、おばさんたちにはおしゃべり税、子どもたちにはゲーム税、てなことになるかも。ボクなんかは、自転車税を提案したいのだけれども。
 健康の話題といえば、喫煙によるα線内部被爆について、米国のタバコ会社は40年以上前から知っていたが、内緒にしていた、という情報。α線といえば、紙切れ1枚で遮蔽できる放射線ではあるが、体内に入れば他の放射線と恐ろしさに変わりはない。これらの危険性について公開しなかったタバコ会社の責任は問われて当然であろう。
 談志師匠の朗読に夢中になり過ぎて、疲労困憊。夕方の散歩をキャンセルしてベッドに倒れこむ。たちまち眠りに落ちていく。
 目覚めたらNHKラジオではニュースをやっている。散歩もせずに眠ってしまったので、ニュースを聴きながら室内徒歩。
 野球中継に回してみたら、巨人横浜が面白いことになっている。この時期だから、すべてのゲームが真剣勝負であるはず。なのに、巨人軍はしまらないゲームをやっていて、原監督もご立腹。つまり、原でなくって、腹を立てているわけだ。でも、もしかして、ハラハラしてたのかもしれないね。
 涼しくなったので、できたての熱い料理と、本日届いたばかりのほかほかの新米で夕食を楽しむ。新米だと、焼いた海苔だけでもおいしく食べられる。オイラはやっぱり日本人。ラーメンよりもスパゲッティーよりも、お米、万歳。
 日付が変わってからもパソコンに集中。ダウンするまでキーボードを叩く。夕方に仮眠したので、夜中に元気が出て困る。
▲ 秋晴れや立川談志高い雲

1005・水・
 5時より活動開始。朝いちばんでブログのための17文字原稿を送信できるよう、集中して仕上げる。
 お天気おじさんの森田君の言葉で印象に残ったもの。
「環境問題の場合、疑わしき派罰する」
 これは北極のオゾンホールに関しての話題。ところが、ずいぶん以前、この森田君は、フロンガスのオゾンホール原因説は米国企業の陰謀ではないかと発言したことがある。お天気おじさんの森田君、お天気に関して、リスナーをいつも忘れふぉいと批判しているが、ご本人も、かなりな健忘症であると見える。
 ICボイスレコーダーが動かない。とうとう壊れたかと思って焦る。このICボイスレコーダーには大切な音の記録とメモが詰まっている。でも、長いこと愛用しているので、仕方ないかなとあきらめかけたとき、入れたばかりの電池が、とても古いものだということが判明。新しい電池に交換した途端、問題なく動いてくれて、胸を撫でおろす。ボクはソニー製品の愛用者。その信頼性を高く評価している人間のひとりなのである。
 今回、ノーベル賞の受賞が決まったスタインマン教授は、
「死んだら賞はもらえない」
と病床で頑張っていたと遺族が証言している。賞が決定した段階で、教授の死亡は公知ではなかったため、今回の受賞は認められ、スタインマン教授はノーベル賞学者として歴史に名前を残すことになったのである。
 偽者作りで有名な某国で、本物のiPhone5が発売される前から、偽者が出回っているという噂。模倣度は95パーセントであるという。それでいて値段は3600円は安いのか、高いのか。ただ、発売を予想されていた本物のiPhone5はお預けで、今回発売されるのはiPhone4s。偽者上手の某国も、未来予想まではできなかった。
 いつもの透析。FM-J-WAVEの- Jam the World -のパーソナリティーは堤未果(つつみみか)さん。楽しみにしていたら、期待通りの素晴らしいインテリジェンスと美しい声。これは川田龍平議員でなくても惚れるでしょう。ボクもヒトミミボレになってしまった。
 楽天が、あのダルビッシュを打ちこんでいる。結局、楽天の勝利。そして愉快なのは、横浜の巨人軍相手の連勝。ここにきて、プロ野球は熱い。そろそろ中日ドラゴンズもトップに躍り出るはず。
 帰宅したら、23時のニュースで、熊本で震度5強の地震があったとのこと。19時のニュースでも緊急地震速報が鳴って、これは空振りのようだったが、長野が揺れていたのは事実。ふと、両方とも昼間のうちに、ボクが電話を差し上げた方面だったことを思い出し、まさか、と思う。ボクはナマズではありません。
▲ 窓からの日差しが届く神無月

1006・木・
 5時より活動開始。愛育社からの言葉の絵本アンコールの仕上げにかかる。正月に書きおろし、出版準備をしていた3月11日にあの大震災があって、その段階で出版を躊躇した作品である。表現者なら誰でも経験したであろう、その種の躊躇である。それから考えに考え、試行錯誤をして、年の暮れが迫る今、やっと納得できそうな原稿になりつつある。
 雨があがるのを待って、豪徳寺へ散歩。いつもの花壇は乾いていたが、ちょっと冷たく、ホットコーヒーがありがたかった。
 コボちゃんが電信柱に「尋ね猫」のポスターを発見。17歳の老猫。大切にしている飼い主の心が伝わってきて、役に立てればと、連絡先をICボイスレコーダーに録音する。
 ポケットラジオでは『斜陽」。いよいよラストに近い雰囲気だな、と思っていたら、最終回でした。歩きながら聴くのは勿体ないと思うが、土曜日に、まとめてゆっくり傾聴できるので、それはそれでOK。
 韓国では予告なしの無計画な停電で大混乱が起きたとのこと。韓国の電気料金の低さは有名だが、どうやら原因は政府の補助金にあるらしい。そこで電気需要の抑制が効かず、消費量が増大し、今回の無計画停電に至ったらしいのだ。日本国内の電力会社による独占体制による高い電気料金にも問題があるが、あまりに安価な電気料金にも弊害があった、というわけだ。ちなみに、ボクは東電のブルーカラーの息子。台風で荒れ狂う中、塩害対策で嵐を切り裂いて出動していった父親の姿を知っている。電気を絶やさない。その一点に情熱を燃やす技術者の魂も知っている。電気を当たり前の恵みとしている我々、原発事故のことは別にしても、停電を知らないことの幸せを、少しは意識してよいのかもしれない。とはいえ、ここで東電の電気料金値上げを容認するわけではない。むしろ、原発再稼動を許さないなら値上げするぞと脅迫する東伝なら、潰した方がいいとも思う。発電と送電を分離させ、もっと開かれた競争原理のもとでの料金設定を要求したい。
 スティーブ・ジョブズ氏が亡くなった。パソコンを普及させ、IT産業に革命を起こした天才がこの世を去った。ただ、ボクにとって、彼は救世主でもなんでもない。iPodもiPhoneもiPadもボクには使えない。理由は簡単。タッチスクリーンだから。そういう理由では、アップルコンピューターを万人のものとしたマウスの発明もボクには関係ない。ちっともありがたくないのだ。これらすべては、盲人にとってのパソコンやデジタル家電を不便に仕上げたような気がしてならない。これからのボクは、ますますデジタルとは無縁になっていくのだろうか。
 本日も新米が届いて、ありがたい。還暦まで生きられたボクであらば、放射能など、まるで気にならない。ただし、気にする人は気になるし、子どもや妊婦は、充分に注意をしていただきたい。放射能のことを考える度に、国家の無責任さに腹が立つ。
 ニュースの矛先は、この裁判を憲政一大の汚点と、日本国の司法を批判した小沢一郎に集中。この件に関するマスコミの扱いは、容易に想像できる。小沢一郎が正論を叫べば叫ぶほど、マスコミはほくそ笑み、大衆は彼から離れる。検察の狙いは的中、いよいよこの国は壊れていくのだろうか。
 京王線の中でラジオのニュースに傾聴するが、床下のモーターや、地下道の鉄筋で電波状態が悪く、日本の太陽観測宇宙船「ひので」が収集した最新情報を聞き取れず、残念無念。ここ最近の宇宙科学情報、まことに面白く興味津々。
 四谷駅を降りて、上智大学を左に見て、紀尾井町方面へ。大学のキャンパスからも、四谷の土手からも、猛烈な秋虫の声。ここの土手、今も自然が残っている。ボクの母親は神楽坂の人間。外堀の土手で、たくさんの赤蜻蛉(あかとんぼ)をつかまえていたら、それを見た大人から、
「佃煮にするのかい?」
と、からかわれたと聞く。今も昔も、ボクはこの外堀の土手が好きである。
 紀尾井小ホールにて、朗読家の幸田弘子さんの朗読コンサートは『奥の細道』と『銀河鉄道の夜』。中学の古文の学習でしっかりと記憶しているもののひとつが、この『奥の細道』。思わず、ボクも一緒に口の中で、覚えているフレーズをリピートする。松島の風景が目に見えるよう。この朗読コンサートは、東日本大震災のチャリティーで、それ故の作品セレクションであった。そういえば、ボクもケータイのバーチャル奥の細道を歩いている最中。どこも覚えのある土地です。あはは。『銀河鉄道の夜』のテキストも、決定版とは異なるエキストラバージョンで、これはこれで宮沢賢治の、この作品に対する試行錯誤の痕跡がうかがえて興味深い。青木裕子バージョンとは異なる趣の朗読であって、ボクにとっては貴重な時間となった。
 ひたすら歩き、ひたすら階段を上下し、ひたすら電車に揺られ、くたびれて帰宅。酒も飲まず、食事もせず、洗顔と着替えをしたらベッドに直行。可楽(からく)の落語をBGMにしようとリモコンのスウィッチを押した途端、眠りの井戸に落ちていた。
▲ 佃煮にされてたまるか秋茜
▲ 紀尾井町奥の細道秋の風

1007・金・
 目覚めてすぐ、ラジオをつける。「おはよう一直線」の占いでラッキーレベルは最高。これまで積み上げてきたものが形になる一日だから、最後の一押しが肝心とのアドバイス。単純なボクは大喜びで、本日はそれを実行するつもり。コーヒータイムで、ボクはひとりニヤニヤ。それを見て、コボちゃんは薄気味悪いと引いている。いいんだ、いいんだ。理由なんか、恥ずかしくていえません。
 占いのアドバイスを実行する。以前から預けていた原稿や、打診していた原稿について、連絡をしたのである。すると、その午後、それぞれの方面から嬉しいお返事をいただいた。しばらく停滞していた原稿が動き出すかもしれない空気に、ボクの心も秋晴れとなる。
 今回、新たにノーベル賞受賞者となったアメリカのソール・パールマッター氏とアダム・リース氏、そしてオーストラリアのブライアン・シュミット氏は、宇宙が単に膨張しているだけでなく、加速膨張しているという発見をした。これまでのボクらの常識的な宇宙像では、この宇宙は重力の束縛により、その膨張は収縮に転じ、やがては事象の地平線に集約されてしまう、というものであった。どうやら、この宇宙には我々の知らない物質やエネルギーが満ちているらしく、その割合は75パーセントであるという。つまり、我々は宇宙の25パーセントしか見ていないのだ。このブラックマターとかブラックエネルギーとかいわれる現象の正体が何なのか。今後の宇宙物理学の進歩に大いに期待したい。
 マツダがRX8でロータリーエンジン車の生産を中止すると発表した。ボクにとっては、大学生になったばかりの当時のコスモスポーツが懐かしい。帰ってきたウルトラマンで、ウルトラ警備隊の団次郎(だんじろう)が乗っていたクルマである。それ以来、ボクも、友人のロータリークーペに乗せてもらったり、思い出の多いエンジンである。ちなみに、みつやくんのマークXもロータリーエンジンなので、このエンジンにはずいぶんお世話になりました。でも水素エンジンの時代が到来したら、このロータリーエンジンが再び脚光を浴びることは間違いない。もちろん、マツダは今も開発を続けている。このマツダの技術力は世界有数。ことエンジン開発については、ポルシェやBMWに負けていないと聞いている。
 iPhone5ではなく、iPhone4sが発売される。予約が殺到しているという。その理由。このアイフォン4sは、アイフォンフォースティーブを意味し、スティーブジョブズ氏への追悼でリリースされた製品という都市伝説が流れたためである。皆さん、いろいろと考える。このジョブズ氏、IT世界のヒーローではあるが、ボクには迷惑な存在。その理由は以前、ここで触れたばかり。
 いつもの透析。ボクのラジオが壊れているのか、それともボクにだけ電波が届かないのか、ラジオのどこからも野球中継が聞こえてこない。この時期に、なんと残念なこと。こと、セリーグについては、すさまじい闘いが展開されようとしているのに、ああ勿体無い。
▲ 夏の日を胸に沈める虫の声

1008・土・寒露・
 どうしても起きられず、ベッドでグズグズしていたら、8時の時報。ニュースを聴こうとラジオをつけると、NHKでは「ラジオ文芸館」。これが、どうもワクワクしない作品。なんとなく耳にしながら着替えと洗顔をしていると、コボちゃんからお呼びがかかり、散歩に出る。「ラジオ文芸館」はそのままポケットラジオで流しているが、とても短い作品を次々に流すので、あまり頭に入らない。コボちゃんも、家なしの老猫の様子などをあれこれ報告するので、ますます頭がこんがらがる。するとコボちゃん、アスファルトに緑色の美しいものを発見。それは落ちたばかりのメジロ。その小さな小さな体はまだ暖かく、つぶらな瞳も開いたままだった。おそらく、地上に落ちた直後に、コボちゃんが発見したもの。病気の可能性もあるので、直接は触れない。いつも持ち歩いているビニール袋に入れてやる。地面に埋めたら、というと、コボちゃんは、「まだ暖かいメジロを、埋めることなど、できない」という。そんなことをしゃべっているうちに、メジロは次第に目を閉じていく。やっぱり、落ちたばかりであったのだ。
 昔、メジロを飼育したことがある。メジロは、小さく可憐で美しい。けれども、マリと名づけたメジロは、すぐに死んでしまった。野鳥はボクの飼育能力には荷が重過ぎるのだ。それから、やはり野鳥であるフクロウと暮らしたこともある。このフクロウはボクに馴れた。ボクらはとても仲良しだったが、フクロウにも死なれて、それ以来、ボクは小鳥を飼育するのをやめたのである。今、我が家にいるキジバトは、交通事故による緊急避難。本当は空に戻してやりたいのだ。
 いつもの花壇でコーヒーを飲んでいたら、自称アルチューハイマーという紳士が話しかけてくる。インテリである。話の内容が違う。面白いから、このインテリの相手をする。こちらはイラストレーター。浅学ではあるが、博識でもある。いかなる話題でも対応はできる。すると、相手は歴史上の人物を次々に登場させ、ゆうべ一緒に飲んでいた、などといいながら、缶ビールを飲んでいる。ボクはボクで、落語や講談で仕入れた知識を駆使して、くだんの紳士の突っ込みに応える。1時間もしゃべっていたが、商店街の店主や街をいく人たちが、彼に挨拶をして通る。どうやらこの紳士、この町の名士であるらしいのだ。引退したどこそこの官庁の恒久官僚らしき雰囲気と風格もある。硬い握手をして別れ、再会を強く約束するが、ああ、面白かった。
 メジロに死後硬直が始まっていた。コボちゃんは納得して、その可憐な姿を、遊歩道に埋めてやる。
 帰宅して、パソコンに向かっていたら、コボちゃんに呼ばれてブランチ。ラジオでは久米宏(くめひろし)氏が天文学者を相手に面白い話をしている。今回のノーベル賞にも関係のあることだし、この件についての記述は重複(ちょうふく)してしまうのだが、ラジオで語られていたのも最近話題のブラックエネルギーやブラックマターについて。どうも、ボクなどが定説と考えていた宇宙振動論は否定されてしまったらしい。この宇宙には、我々の感知できる以上の物質やパワーが存在するらしく、それは宇宙の75パーセントを占めるというのだ。そして、驚くのは、そのパワーが重力よりも大きいことと、その秘密が真空にあるらしいこと。この天文学者が何者で、宇宙物理学者なのか、それとも理論物理学者なのか数学者なのかは知らないが、最近はミクロとマクロの物理学が融合しないと、宇宙の謎を解明できなくなってきている。ニュートリノが光速を超えるなんて実験結果も、宇宙の果ての超新星爆発の観測と密接に関係してくるわけだ。驚いたのが、ベテルギウスが近い将来、爆発するということ。といっても、宇宙の話。近い将来といっても、明日から100万年後までのいつか、ということだった。宇宙となると、スケールがあまりに大きくて、ボクらの頭には入りきらない。そして、この学者の頭にも入り切らないと、ご本人も語っておられた。
 マキコ特派員から興味あるニュース。渋谷区の公園で外来種のカメが捕獲された。この巨大なカメはワニガメ。怪獣ガメラのモデルである。他のカメの頭にかぶりついていたらしいのだが、このワニガメ、長さ30センチ、幅は25センチあったという。でも、放置しておけばこのカメ、いずれは体重100キロを超える巨体となるのだ。ちなみに、ボクの作品『ひみつのブルブル』に登場するワニのケメコも、正体はこのワニガメである。
 久しぶり、東京FMのサタデイウェイティングバー『アバンティ』にステイチューン。すると、宇宙の話題であるという。一般向けの内容なので、新しい情報はなかったが、占星術師のレクチャーが面白い。ボクは宇宙マニアと自称している割には、基本的なことを知らない。たとえば、天動説の時代では、月も太陽も惑星、つまりプラネットに数えられていた。だから、一週間は五つの惑星と、月とお日様で構成されているわけだ。あと、天球に残るのは動かない星、恒星だけとなる。土星よりも遠い惑星は、地動説が定着してからの発見で、それ以来、惑星の数は九つとなったわけだが、現在は冥王星が惑星仲間から村八分にされ、今、太陽系の惑星は八つとされている。本日のラジオでの宇宙の話題は、これでふたつ目。ウォール街でのデモに象徴されるように、地上の夢がはかなくなると同時に、夢は宇宙で輝き始めたのかもしれない。
 執筆快調。パソコンに集中していたら、頭がくらくらするほど眠くなる。ボクがベッドに潜っている間に、コボちゃんがキジバトポッポとミミにバトンタッチをさせていた。
 22時25分からラジオ第二で朗読の時間再放送をデブネコのミミを膝に乗せて傾聴。今夜は『斜陽』のラストの回。主人公のモデルとなった女性と、太宰治について、彼らの娘にあたる人物の講演を聴いてから、初めて聴く『斜陽』であった。この作品、『斜陽』は太宰治の世間への遺書と、妻への言い訳であったのだ。『斜陽』を単なる没落貴族の逸話と思いこんでいた自分の無知が恥ずかしい。世の中は年齢と経験と学習を重ねないとわからないことばかり。
 赤ワインを飲んで、すぐにベッドに潜りこむ。早寝をして、明日は仕事ができますように。
▲ 遊歩道目白の上に枯葉散る

1009・日・
 いつもの日曜日の、いつもの朝。志の輔(しのすけ)ラジオも、ニッポン放送の朗読も面白い。
 今朝も豪徳寺へ朝の散歩。午後からは沖縄祭りで、商店街はその準備に忙しい。コボちゃんは早速、沖縄ドーナツの屋台を発見。偵察に出かけた。
 花壇に座ってコーヒーを飲んでいたら、NHKラジオ第二で「上方演芸会」が始まった。コボちゃんのおしゃべりとパラレルで聴いていたが、とうとう、何が何だかわからなくなる。
 コボちゃんに、『もうひとつの盲導犬物語』の朗読をしてもらう。かなりな枚数になるこの作品、コボちゃんにとっては初見である。ボクはそれをマッサージチェアにあたりながら聴いている。やはり、機械の声とコボちゃんの肉声では印象が違う。今まで気がつかなかったことが、いきなり見えてきて、修正すべき部分が浮かび上がってきた。これからが本当の仕上げ作業になっていく。
 午後、愛育社の言葉の絵本アンコールの執筆に集中。しばらくは他のことが頭に入らない、浮かばない。
 夕方はまたまた豪徳寺へ出かける。オバQ線、豪徳寺駅前では沖縄祭りの真っ最中。沖縄の伝統舞踊をアルルと楽しんでいるのを見た沖縄出身の看護師さんに話しかけられる。アルルを盲導犬と思いこみ、触っても大丈夫かと尋ねられたのである。それから話が弾み、楽しく談笑。コボちゃんとは看護師同士の熱い情報交換をしていた。
 締め切りの迫っているイラストレーションのアイディアを練り直さねばならない。沖縄音楽の流れてくる花壇で打ち明けると、コボちゃんがいいアイディアというか、アドバイスをしてくれて、今度こそ、いい絵がかけそうな気がしてきた。頭の上ではお月様。もうすぐ満月になる月だ。
 帰宅してからも、言葉の絵本アンコールの執筆に集中。作品の急所をつかまえたのである。いや、ボクが作品に急所をつかまれたのかもしれない。これは幸せなことである。
 音声腕時計のアラームが鳴ったので、パソコンから少しだけ離れる。TBSラジオでは、新しい番組、「ラジオシアター」が始まった。でも、聴いて落胆。安上がりな印象を拭えない。まず、録音技術。どこのスタジオで収録したのだろう。出演者のリップノイズが、やけに気になる。効果音も大きめで邪魔。それに、この汽笛は軽便鉄道にふさわしいか、疑問。いや、そもそも初回に『銀河鉄道の夜』を選んだのが失敗だろう。シナリオではオリジナルの文章を、それとわからずにいじくっていて、それも愉快ではなかった。脚本家は宮沢賢治の言葉の巧みさ、精緻さ、面白さやユーモアを理解してはいないか、それともリスペクトしていないのではあるまいか。ふたりの出演者のトークも不要。TBSラジオの名物番組だったインナートリップの「ラジオ図書館」や「ラジオブックス」、NHKラジオの「ラジオ文芸館」や「歌謡ドラマ」、「日曜名作座」に比べると、甚だしく聞き劣りがするのは残念だった。おそらく、ボクは二度と耳にはしないことだろう。
 コボちゃんがビールを飲もうとボクを誘う。さっき、豪徳寺のテイクアウト専門店「好吃」(はおつー)で、八宝菜を調理してもらったのだ。沖縄祭りということで、各種点心も販売していたので、小さな焼売も買ってある。それらを肴にビールを飲む。BGMはNHKラジオ第二の文化講演会。あの情熱の人、シンドーカネト監督について、ちょっと変わった個性の映画評論家が熱く語っていて面白かった。
 文化講演会が終われば、有線放送の落語チャンネル。上方落語を楽しみながら、夜食の続き。ビールの次は赤ワインでいい気持ち。明朝の早起きのため、早寝をする。
▲ 月明かり波乗りしてる島の唄





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