全盲のイラストレーター ◆エム ナマエ◆ の超個人的十七文字ブログです
ボクは中途失明した画家。週に三度の人工透析で生かされています。なのに、今でも 画家で作家。ボクは思います。人生、何があっても大丈夫。
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Author:emunamae
いつも日記をつけてます。失明したら頭脳がノート。
だから、記憶力のトレーニングのためにも、前日の出来事を振り返り、コツコツ日記をつけてます。



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2011年7月18日~24日
☆ 漢字や熟語、固有名詞には振り仮名がしてありますが、漢字の難易度とは関係がありません。これらの振り仮名は視覚障害者のための音声モニターを容易にするためのものです。

0718・月・
 5時より起きてラジオに傾聴するも、ナデシコの決勝戦のラジオ中継はなし。これはラジオ差別だ。時折入る途中経過にハラハラするだけ。
 「おはよう一直線」は生島(いくしま)アナウンサーは夏休みで、ピンチヒッターが、ちょっとピント外れなことをいっていて困る。どうやら自転車通勤をしているらしいのだが、音楽に合わせてペダルを踏んでいると語っている。そいつが困るのだ。ヘッドフォンステレオをかけての自転車運転は道路交通法で禁止されているからね。
 「おはよう一直線」放送が終わる直前の6時25分、ナデシコジャパンのワールドカップ優勝が伝えられて、思わず拍手をしてしまう。ところが、あとはどのラジオでもナデシコ優勝のことばかり。まあ、何回耳にしても気持ちのいいニュースではあるのだが。
 ドアチaqャイムで跳ね起きる。沖縄からのクール宅急便。中身は完熟マンゴー。またまたヨネちゃんからの贈り物である。感謝。スリーイレブンのときは、水不足や食料不足を心配して、ダンボールをいくつも送ってくださった。この猛暑の中、ボクらはそのときの水を飲んで命を保っているのである。ヨネちゃんは盲導犬アリーナ物語の読者のお母様。犬が大好きで、お手紙をやりとりしているうちに親しくなって、とうとうアリーナと沖縄まで会いにいって、家族ぐるみのお付き合いをさせていただいている。ボクにとっての沖縄はヨネちゃんの島なのである。
 牛肉の放射能汚染が話題になっている。ボクはとある情報筋から、かなり以前に牛肉についての警告を受けていた。まさか、と思う点もあったのだが、情報は正しかったのである。しかし、牛肉のトレンサビリティーが確立しているからとて、スーパーで牛肉の買い物でそれらを確認することが可能てあろうか。そもそも、水素爆発のあった時点で、これらの事態は予測できなかったのであろうか。スリーイレブン直後、ボクは福島原発のメルトダウンもメルトスルーも直感していた。まあ、正確に表現すると、「メルトスルー」ではなく、当時のボクはこの状態を映画からの引用でチャイナシンドロームと呼んでいたのだが。さて、屋外の稲藁が放射性物質に汚染されることは専門家には予測可能であったはず。しかし、それを妨害したのが、被災直後の東電と原子力保安院と官房長官の情報隠蔽であったとする意見もあるだろう。もしも、あのとき、正確な情報が伝わっていたなら、稲藁の汚染は防止できただろうか。残念ながら、ボクはそうは思わない。原子力安全神話を無条件に受け入れてきた我々庶民や行政が、その後の危険を正しく回避できたかどうか、甚だ疑問であるのだ。国民的思考停止。国家的機能不全。その結果が被災後の復興を阻害しているような気がしてならない。やがて日本は復活する。必ず復活する。ただし、その原動力は戦後の復興と同じく、庶民の力であるはずだ。
 某国について、様々な情報が飛び込んでくる。パクリ新幹線。インチキステルス戦闘機。暴動の数々。軍部と国家権力との軋轢。一党独裁に見える超大国であっても、内情は複雑怪奇。日本人の我々には想像も及ばないようなスケールで、巨大な欲望と都合が蠢いている。さあ、この国家、多面的で複雑な体制を、いかに操縦していくのか、面白くもあり、恐ろしくもあり。
 相模沖で地震、という情報がラジオから聞こえてくる。詳しくは伝えていなかったが、津波があるのないの、ということではなく、地震の起きた地域そのものが気になるのだ。本当はもっと詳細な情報を流してもらいたかった。
 本日の透析は15時より。病院の方針とやらで、休日の透析は午後の中途半端な時間から始まることになっている。これに関して、我々患者には、唐突に、一方的な通達がされただけ。経営側に立って考えれば様々な理由が考えられるが、最大の可能性は人件費と経費の削減であろう。患者のための病院は口実に過ぎない。経営陣に本音を問えば、優先順位のトップは病院の存続である、というのは実際に看護師長から聞いた話。
 その中途半端な午後の時間、ボンヤリとデイキャッチを聴いていたら、いつの間にか眠っていた。目覚めたらケンちゃんの声が聞こえてくる。TBSラジオに内閣広報室が番組を設けたのだ。でも、番組の感想はここには書かない。いつかケンちゃんが官邸から離れたら、その感想を本人に直接伝えるつもりである。
 更衣室に貼り紙があり、コボちゃんが丁寧に読んでくれる。以前、一方的に透析室の給食体制の変更が伝えられたが、患者側からその決定に対する抗議と質問があり、それらへの解答が記されていたのだ。ボクは患者側の立場であるから、抗議や質問の内容については理解できるが、病院側の解答は休日透析の時間帯の変更のときと同じく、一方的に病院側の考え方と方針を伝えるだけの内容であった。掲げられた理念は、患者のための病院とあるが、実際に行われていることは病院側の事情の優先である。個々の問題解決については、医療従事者の勤務時間帯の変更などで対処できるはずなのであるが、そこには触れられていない。書面による一方的な通達は単なる経営側の押し付けであって、患者との対話の姿勢はまるで感じられなかった。まあ、誰が書いた文面だかは知らないが、心のこもらない悪文であって、あんな文章なら掲げない方がマシであろう。気に入らなければ、どうぞ病院を変えてください、という宣戦布告同然の文面であって、これを掲げる病院の経営側のセンスを疑いたくなる。とはいえ、ボクには25年以上も築き上げてきた透析室のスタッフとの信頼関係があるから、ボクはこの透析室に運命を委ねるつもりではいる。要するに、経営陣がどうであれ、大切なのは触れ合う人間の問題なのである。
 透析室からの帰り、コボちゃんに、大好物の吉野家の牛丼を買ってもらう。こういうものは、たまに食べるから楽しい。ナマタマゴをといて、牛肉をひたしながらつまみ、ビールを飲む。コボちゃんが中華豆腐を作ってくれたので、満腹。たまらず、眠くなり、うとうとするが、条件反射でカッキリ目覚める。
 24時半、「ラジオ深夜便」では藤沢修平作品朗読。『海鳴り』の64回。ここまでくると、最後まで意地でも聴いてやるつもり。この物語、何がどうなってどうおさまるのだろう。作家の腕前に期待している。
 『海鳴り』を聴き終えた途端、眠りに落ちていた。記憶にある筋書きが、藤沢周平の作品なのか、それともボクの空想なのか、既にゴチャゴチャになっている。でも、考えるのはやめにしよう。まずは眠るのが先決。
 台風6号がやってくる。かなりでかい。だから、かなりやばい。とはいえ、この瞬間にも土星で吹き荒れている台風と比べたらオタマジャクシも同然。この嵐は土星の大白斑(だいはくはん)と呼ばれ、直径は地球と同じ1万7千キロ。発生する雷鳴の電圧は地球上の雷の一万倍であるという。まあ、土星ではこうしたドデカイ嵐が定期的に現れるのであるが、太陽系最大の木星では、大赤斑(だいせきはん)といって、地球数個分の直径で吹き荒れる不滅の嵐が存在する。どうして不滅かというと、この巨大な嵐、木星観測史上、一度も消滅したことがないからだ。この映像、惑星探査線ボイジャーからの送信で見たことがあるが、巨大な目玉が木星からにらんでいるような、そんな不思議で美しい絵柄で感動したのを覚えている。まあ、台風くらいでびびっちゃおれん、というわけだ。
▲ あきらめぬ心を見せて大和花(やまとばな)

0719・火・
 未明より活動開始。朝いちばんでエム ナマエ絵葉書に絵とサインと言葉。朝日小学生新聞の読者へのお返事である。
 NHKラジオ第二の朗読の時間は芥川龍之介の作品をハシヅメイサオさんがお読みになる。これは楽しみ。今朝は『少年』という短編。ランプを点して映写する幻灯機の物語は魔術的で美しい。ボクにも、そんな幻の少女を絵本の街並みの窓の中に見たような、おぼろげな記憶がある。
 カルチャーラジオはNHKアーカイブ。今朝は林芙美子の肉声の録音。それもSPの録音だから、雑音の彼方から、元気な女流作家の声が聞こえてくる。想像した通りの活発で意志の強そうな声である。でも、艶っぽいところがあるのがさすが。早速、ICボイスレコーダーに録音。永久保存版にしておいた。『浮雲』の連載を開始したばかりの林芙美子は、この録音の1年半後、昭和26年に逝去する。1903年~1951年の48歳。70歳からが本番と語っていた彼女の心が切ない。
 午前中にナデシコジャパンのメンバーが帰国。日本中が大騒ぎ。国会でもナデシコをネタに、菅直人がいじめられていた。
 最後の日本人大関、魁皇(かいおう)の引退が伝えられて、残念。この関取の勝敗だけがボクの大相撲への興味の対象であったのだ。さて、これから応援すべき関取を見つけなくてはならない。
 そろそろ土用の丑の日。というわけかどうかは不明だが、コボちゃんが宮川の鰻弁当を買ってきてくれた。感謝。でも、ああ、鰻さんたち。このままでは消えてしまう。ボクは心配で、安心して蒲焼を食べる気分ではなくなってきている。
 鰻とは、実に謎の多い不思議な魚類なのである。これはボクの勝手な空想だが、海の魔物といわれるシーサーペントの正体は巨大な鰻ではないかと思っている。というのも、ボクが少年時代、巨大な鰻の稚魚が発見されたことがある。そう、少年雑誌に掲載されていたからだ。
 夏風邪がひどくなってきている。クーラーや扇風機の悪影響だ。とはいえ、エアコンと扇風機なしでは、暑苦しくて眠れない。どうしたらよいのだろう。
 「ラジオ深夜便」は須磨佳津江アンカー。この人の声、どうしてこんなに素敵なのだろう。ボクはラジオに吸い込まれそうである。
 未明から起きてパソコンに向かっていたら、「ラジオ深夜便」の「明日への言葉」は天然鰻の卵を世界で初めて発見した東大研究グループの順教授が出演、語っていた。それによると、やはり鰻は謎の魚。鰻だけでなく、穴子の産卵についても謎だらけであるらしい。穴子の稚魚、ノレソレも、ある時点からぷっつりと追跡が不可能であるらしく、その産卵エリアについては、今も謎のままであるというのだ。江戸前の穴子も、我々人類に、本当の秘密は明かしてくれないのである。おお、人間よ、奢るなかれ。いい気になって、鰻の蒲焼ばかり食べていると、そのうち鰻の化け物に襲われるのだ。
▲ 売り声に煙る蒲焼換気扇
▲ 今日だけは食べておきたいこの魚

0720・水・
 未明に起きて活動開始。原稿執筆に集中する。
 音声腕時計のアラームが鳴って、「おはよう一直線」の三ツ星運勢占いに耳を傾ける。信じてもいないくせに、どうして気になるのか、この自分の気持ちをまったく理解できない。番組では人気占い師のサッコさんといっているのだが、まるで信憑性(しんぴょうせい)のない言葉。以前の星占いではホシヒトミさんといううら若い美女の声が流れていたのだが、今はサッコさんが若いのか老婆なのか、まるで情報がないので不明なのである。その謎のサッコさんが導き出す怪しき占いの結果を気にしている自分という人間は、いったい何者であるのだろう。あはは。理解不能であるのだ。
 コーヒータイムに、TBSラジオ「8時ですよ、全員集合」ではなく、「日本全国8時です」でお天気おじさんの森田君の話を聴く。台風6号は、その直後に発生した7号を吸収した巨大台風であるとのこと。台風ふたつ分の風邪と水蒸気であるから、この大雨も納得、というわけなのだ。森田君、おまけにすごい情報も漏らす。この6号台風、日本列島からいきなり方向転換をして南東の方向へ下がっていくのは、北にある高気圧の影響であるというのだ。この台風が去れば、暑い夏は終わり、涼しい夏に転換するという爆弾発言をしたのである。さあ、ウェザーマップの社長である森田君、この発言の責任をどうとるのか。それとも、この予言は的中するのか、興味津々である。
 先日、FM-J-WAVEのジャムザワールドに共産党の新聞「赤旗」の編集責任者が登場していた。原発再稼動を容認した玄海町町長の実弟が原発の建設関係の責任者であることをスクープしたのは「赤旗」であったのだ。玄海原発については、やらせメールにせよ、インチキ説明会にせよ、いろいろな醜聞が流れている。福島原発の事故ひとつで大揺れに揺れているこの国家。どう考えても、原発を廃止の方向へ舵取りするのが得策に決まっている。原子力開発の時代は終わった。この事態を受け入れてからでないと、東北どころか、日本の復興はあり得ないのではなかろうか。
 そういうタイミングで、ソフトバンクの孫社長の呼びかけによる太陽光発電などの電力を電力会社が買い取る制度を盛り込んだ再生エネルギー特別措置法案に対して、岐阜県が疑問を投げかけている、というニュースをゲット。岐阜県の試算にはそれなりの根拠はあるのだろうが、いざ原発事故が起きた際に想定される損害についての考慮はされているのか、疑問。今回の福島原発における被害補償も未決のままである。東電が補償するにせよ、国家が賠償するにせよ、避難民の生活保証、農林畜産、漁業補償のすべてを合算すれば、膨大なる金額に達することは明らかである。岐阜県は福島原発の事故が特異なケースであると認識しているのであろうか。ボクには理解できない感覚である。
 蓮舫(れんほう)のツイッターが炎上しているとか。ナデシコの優勝を蓮舫が讃えた途端のことらしい。まあ、これまでの発言が発言だから、当然といえば当然の結果であろう。
「2位じゃダメなんですか」
といった手前、優勝を祝福して反感を抱かれるのは仕方がない。どんな立場であれ、いかなる個人も、自分の発言には責任をとらされるのだ。ということは、オイラも気をつけないと、いけないね。とほほ。
 1リットルで30キロ走る自動車をダイハツが開発。あ、これはダジャレではありません。プリウスに迫る燃費であることも驚きだが、ホンダのインサイトを抜いてしまった。これでハイブリッドではないというからまたまた驚き。マツダも軽くて燃費性能の高い自動車を開発している。ハイブリッドが高価であることを考えれば、ダイハツやマツダの戦略は評価されていい。
 夏風邪がぶり返した。というか、気管支炎が悪化した。治ったとばかり思っていたのだが、暑さのせいでエアコンや扇風機に体の熱を奪われた結果であるらしい。透析のとき、Oドクターに相談して、薬を処方してもらうことにした。Oドクター、よく勉強をなさっているので、きっちりと説明責任を果たしてくれる。ボクは説明のできない医師は信用しないことにしているのだ。
 いつもの透析。明日はいよいよ土用の丑の日。病院の食事でも鰻の蒲焼が供される。今朝、鰻の産卵のエピソードを聴いたばかりだから、鰻さんありがとうと合掌してからいただいた。
 それにしても、透析室の食事はおいしいのである。このおいしい食事を病院側が一方的に廃止すると患者に伝えれば、患者たちが抵抗するのは当たり前。食事のおいしさで患者を増やしてきた一面がある以上、一方的に、そのおいしい食事を患者から取り上げれば、患者が透析室から去り行く可能性も充分に考えられるのだ。
 NHKFM「とことん」シリーズは快調。今夜は『星に願いを』。名曲であり、ボクの持ち歌(もちうた)でもある。大好きなリンダ・ロンシュタットのバージョンはイントロだけですぐに分かった。この歌は歌詞の内容が素晴らしいので、じっくりとその言葉の連なりを楽しんだ。それにしても、アオイヨーイチローという声優さん、気障(きざ)が嫌味(いやみ)にならないギリギリの領域でバランスよく語っている。名前からして、アオイスタジオのタレントさんかしら?まあ、ボクには関係ありませんけど。
 とうとう最後の日本人大関、魁皇(かいおう)が引退した。今夜はその魁皇の引退インタビューの肉声がラジオから流れてくる。これまで、たったひとりの日本人大関としての責任は軽くはなかったろう。このタイミングで、関脇(せきわけ)の琴奨菊(ことしょうぎく)が横綱白鵬(はくほう)に勝利したのは偶然ではないだろう。これが仕組まれたことなのか、それとも自然の成り行きなのかは誰にも分からないが、この琴奨菊(ことしょうぎく)の勝利が新しい大相撲の歴史を開いてくれることを、相撲ファンのボクは祈っている。
 窓の外が静かである。どうやら、お天気おじさんの森田君の予言通り、台風6号は日本から遠ざかっているらしい。よかった。
 透析から戻り、コボちゃんとふたりでビールを飲む。風邪のため、食欲はないが、ビールだけは旨いと思う。そのうち、日付が変わり、7月21日と、愛猫キロンの命日となる。コボちゃんとキロンへ献杯。そういえば、キロンがいなくなってから、我が家の食卓にマグロの刺身があがることはなくなっていた。頭がいい分だけ、贅沢な猫であったのだ。
 我が家でも関東でも、台風6号の被害なし。おかげさまでありがとう。
▲ 今日のまた歴史に残るこの一番
▲ 遠ざかる嵐の目にも涙かな

0721・木・愛猫キロンの命日・
 朝から寒い。鳥肌ではなく、最近ではこれをサムイボと呼ぶらしい。おお、さぶ。ところで、森田君の予言、本当に当たるのかもしれない。でもなあ、いきなり涼しいのも、ちと寂しいような気もするなあ。
 愛猫キロンが召された1年前の朝は暑かった。風通しのよい場所でキロンは横になり、そのままの姿勢で動かずにいた。もう声をかけても、名前を呼んでも、その長い尻尾で応えることはない。悪戯だったが、賢くて可愛い猫だった。家の中が静かになった今、その分だけキロンの思い出が迫ってくる。
 夏風邪のせいだろうか、やたらと眠く、喉が渇く。でも、自分に鞭を打ち、パソコンに向かわせる。
 9時半からのNHKラジオ第二、「お話の旅」は、あまんきみこ先生の『キツネのお客様』。今朝も語りは中村メイ子(なかむらめいこ)さん。昨日の安房直子(あわなおこ)さんの『山のタンタラばあさん』も語りは中村メイ子(めいこ)さんであったが、正当性の議論は別にして、実に巧みな語りであることは万人の認めるところである。ボクもついつい引き込まれてしまう。いや、最後には泣かされてしまうのである。
 頭はボンヤリとしているのだが、そのまま朗読の時間を聴く。『ある日の大石倉之助』(おおいしくらのすけ)。この芥川龍之介の作品、ボクはCDを持っていることに気がついた。読み手が変わると、作品の印象も違ってくる。
 10時からのカルチャーラジオは「音楽は世界を動かす」。先週から聴くことにしたプログラムである。今朝は60年代後半の反ベトナム戦争の空気を反映しての当事の音楽を流していた。何も考えずに耳にしていた音楽の数々。その意味を知らされ、またまた己の無知を恥じる。それにしても、現在のアフガンで展開されている米軍の作戦が浮かび上がってくる。アメリカ、音楽をもってしても、何も変わることがない。
 昼過ぎの小沢昭一的ココロは昨日との続きで、コント55号。ひとりの天災コメディアンが相棒と出会うまでの感動の物語である。それにしても、母親の存在は大きいと改めて思わされた。キンちゃんが母親の言葉にヒントを得ていたとは初耳である。
 デイキャッチをBGMに遅いランチ。あまり食欲はないがしっかりと食べる。大リーグにいる松井選手が日米通算500号の本塁打を達成。日本では9人目の快挙であるそうな。500号といえば、ボクは落合選手を思い出す。現在の中日ドラゴンズの落合監督が巨人軍の現役四番バッターだった当事、我が家にいきなり現れたのである。そのときの手土産が500号達成記念のテレカであったのだ。このサイン入りのテレカ、今も我が家に飾ってある。
 マキコ特派員から不思議なメール。抗ヒスタミン剤は眠くて口が渇くとある。どうしてボクがその薬を処方されたと分かるのだろう。すぐに電話でお尋ねする。すると、ボクの症状と薬の関係を、実に見事に解説してくれたのだ。
 たとえば、ボクは自分の病気について、その投薬や治療の効果など、知識ではなく、体験として体系的に語ることができる。その点については、若い医師よりははるかに知識が深いと自負している。なにしろ自分をモルモットにしているのだから。マキコ特派員も、ご自分の症状と投薬の関係については驚くほど深い知識を持っておられたのだ。
 医師の処方が正しいものと納得し、この眠さも正当なものと理解しては、もう眠るしかない。ボクはあきらめて布団に潜り込んだ。そのまま翌朝まで眠り続ける。
▲ 北風は後姿の嵐かな

0722・金・
 5時半より活動開始。ただし、夏風邪は治らず、体調は万全とはいえない。むむむ。
 ゆうべ、最後のスペースシャトル、アトランティスが無事地球に帰還。最後の任務を終えた。今後は博物館に展示される運命にあるらしいが、惜しい。偶然にも国際宇宙ステーションから、大気圏突入して発光する最後のスペースシャトルの勇士が撮影されたとの報道があったが、30年間の飛行で、それが初めての出来事であったとは、天がスペースシャトルという存在に与えた幕切れの栄冠であったのかもしれない。
 朝食に完熟の桃を食べる。なんたる旨さ。こういう瞬間、単純に幸せだと思う。
 NHKラジオ「お話の旅」はアンデルセン作『野の白鳥』。オリジナルがどの程度の長さなのかは知らないが、この短い時間では味わいきれない感がある。それにしても、グリム童話もアンデルセンの童話も、やたら理不尽な展開があって、ボクにはちょっと、ついていけない。
 「朗読の時間」は芥川龍之介の『トロッコ』。彼の作品に流れる、これら少年時代への普遍的な憧れをボクはたまらなく好きだと思う。火曜日に放送された「少年」の中の幻燈も、そのノスタルジーというか、少年独特の幻の少女への恋心がたまらなく愛しく感じられてしまうのだ。『トロッコ』のラストシーンの、夕餉の香り漂う自宅へ駆け込む少年の気持ちは、誰にでも経験のある切なさであるはずだ。ここに『トロッコ』の最大の価値がある。
 気管支炎がひどくなっている。明日のオペラ、客席で咳が出ないか、心配。お医者にお願いして、気管支拡張剤と強力な咳止めをもらうことにしよう。
 デイキャッチで蝉の鳴かない話題。ところが、質問をしている荒川強啓氏と、解答者の群馬昆虫の森の研究員の会話がまるで噛み合っていない。これは結論を急ぐ強啓氏と、じっくりと事実を見極めようとする研究員の個性の違いからきている。要するに、研究員は、まだ蝉の鳴く季節ではありませんよ、といっているのを、強啓氏が無理矢理にひとつの事件に仕立てようとしているから、会話にならないのだ。
 今週の「明日も元気で」のテーマはパニック障害。ボクがこの症状に悩まされているとき、こんな放送があったら、どれだけ救われたことだろう。自分の病の正体を把握した瞬間から、症状の克服への道は開けるのだ。今、ボクはこのパニック障害を、呼吸法ひとつで完全にコントロールできるようになっている。
 透析に出かける直前、コボちゃんが完熟マンゴーを切ってくれる。マンゴーはカリウムが高いので、透析直前にしか食べられないのだ。でも、ああ、旨かった。桃は果物の女王様。マンゴーは果物のキング・オブ・キングス。
 いつもの透析。ラジオでテレビ音声によるニュースを聴いているが、これも本日でラストチャンスになる。まあ、日常的にはテレビ音声の必要を感じたことはないが、透析中のテレビ音声は退屈をまぎらわすいいソースであったのだ。チデジの馬鹿野郎。ボクのポケットラジオの性能をオシャカにしやがって。
 夏風邪対策は眠るに限る。お医者に処方してもらった薬をのみ、ひたすら眠るのだ。
▲ お受験や蝉の鳴かない夏休み

0723・土・文の日(ふみのひ)・大暑・
 本日は文月の23日で「ふみの日」であるとか。大暑であるから、本日から立秋までに投函すれば、暑中見舞いとして認められ、立秋を過ぎれば残暑見舞いになるのである。まあ、「ふみの日」があってもなくても、最近は郵便の数が減っているのではあるまいか。ボクも盲目になってから、ずいぶん筆不精になっている。最近は、指の疲れか、メール不精にもなっているので、これはいけない。
 ケータイの目覚まし君のおかげで、毎朝の目覚めだけはきっちりとしている。5時半からはNHKラジオ、「当世キーワード」に傾聴。ボルガライス、ガラスマ、スルメ曲。なんのこっちゃ、分かるだろうか。生まれては消える言葉の群れ。世の中はそういう速度で回転し、物事はそういう軽さでできている。ちなみに、ボルガライスはオムライスにトンカツをトッピング、ドミグラソースをかけたもの。ボルガライス学会というものが設立されているらしい。ガラスマはスマートフォンのガラパゴス的進化。スルメ曲はケータイのチャクメロで味のある曲。スルメ曲の対極がガム曲。味を感じるのは最初だけ。
 涼しいうちに散歩に出る。曇っているので、アルルと盲導犬ごっこ。インチキ盲導犬でも、やっぱり盲導犬ごっこは嬉しいのだ。アルルは一生懸命になってボクをガイドしていた。
 いつもの花壇で一休み。涼しい朝なので、熱いコーヒーを飲む。すると、音声腕時計のアラーム。ラジオ文芸館の時間である。
 「ラジオ文芸館」は歩きながらイヤフォンで聴く。道案内はコボちゃんが頼り。途中、いろいろな人やワンちゃんと挨拶しているけど、ボクは失礼して、黙ってラジオを聴いている。
 小川未明という童話作家に、こんなSFのような、たとえばミヒャエル・エンデの「モモ」を連想させるような、加速する文明批判をテーマにした作品があったとは驚き。『眠い町』とはそういう物語だった。ボクは驚きのまま、散歩が終わったのに、階段をあがらず、建物入り口にアルルと座りこみ、しばらくは呆然とラジオを聴いていた。
 初台のオペラシティーで青木純子舞台監督助手による子どもオペラを鑑賞。ワーグナー作曲『パルジファル』。聖なる愚か者が聖なる杯の力で王国と白鳥にされた王女を救う、という物語。欧州には様々な伝説や神話があるので、ボクには知らないことばかり。でも、そこは子どもオペラの楽しさで、予備知識なしでも充分に楽しめる。言葉は日本語だし、難解な部分は芝居で説明してくれるし、客席の子どもたちへの呼びかけがあって、舞台と客席の一体化で劇場全体を盛り上げているし、盲目のボクにも楽しめる舞台だった。何よりも、出演者が全員、全力で舞台を勤めていることに感動。我が青木純子嬢も、その青春を舞台に賭けているのだ。ボクは青木純子嬢のおかげで、ずいぶんオペラの勉強をさせてもらっている。
 青木ご夫妻と池袋モンパルナスへ。廃刊となる雑誌ピアのお勧め中華料理店で夕食。ただ、せっかくの料理なのに、ボクは気管支拡張剤と咳止めの副作用で舌も鼻も馬鹿になっていて、勿体無いことをした。このふたつの薬、どちらも麻薬系で強烈なのだ。
 帰宅して、とりあえず眠る。でも、NHKラジオ第二の「朗読の時間」の再放送には跳ね起きる。芥川龍之介の「少年」という短編をもう一度聴いてみたかったのだ。
 そのまま起きていると、TBSラジオでは「ゆめゆめエンジン」が始まった。今夜は数学者の出演。毎回、実に興味あるテーマを扱っているのだが、残念なことに、時間と突っ込みが足りない。今の若者たちに苦手とされているカテゴリーであるからこそ、正しい道筋で真正面から本質に沿って突っ込んだ方がいいような気がする。一流の司会者、一流の出演者が、今のままでは勿体ない。
 頭がボンヤリしていて、何をやっても考えても中途半端。夏風邪はすぐに治るようで治らない。でも、眠るのは勿体無くて好きではない。
▲ 夏風邪が世界に幕をかけている

0724・日・
 5時半より活動開始。NHKラジオ「荒筋で聴く名作」は『ドン・キホーテ』。名作中の名作で、誰でも知ってはいるのだが、ドンキ・ホーテではない。というか、ドンキ・ホーテだと思っていたのはこのボクなのである。あはは。この人、本当はゴーシュというおじさんで、ちょっと頭が狂っている。自分はロシュナンテという名馬にまたがり、サンチョパンサという従者を従えた騎士であると思い込んでいる。こういう人、今の時代にもいるかもしれない。いや、売れない本をムキになって書いているボクこそ、現代のドン・キホーテなのかもしれない。その昔、人形劇団ポポロでこの舞台の宣伝美術を担当したが、こんな大名作に、もっといい仕事ができなかったかと、今も後悔をしている。だから、この名作には少しだけ、胸の痛みを感じるのである。
 散歩をしながら文化放送の志の輔(しのすけ)ラジオ『落語でデート』を聴く。デートの相手はフリーの気象予報士で、彼女はビジュアル系と自称。まあ、キャラクターも明るくていい。落語は先代の三遊亭金馬(きんば)で根多は『道灌』(どうかん)。柳家一門はこの前座話を最初に習得するのではないかと、ボクはにらんでいる。志の輔が最初に覚えたのも『道灌』であると語っていた。そうだろう。立川流(たてかわりゅう)は柳家小さん一門であるのだから。
 豪徳寺の花壇に到着した頃、ニッポン放送では藤沢周平傑作選が始まっていた。植柳(うえやなぎ)アナウンサーの名調子である。アルルはボクの手からおやつをもらいながら、ボクはコボちゃんからラスクをもらいながら、ポケットラジオの小さな音に耳を傾けていた。
 花壇に座っていると、気のせいか、遠くで蝉が鳴いているような気がする。そろそろ蝉たちにも元気に鳴いてもらいたい。なのに、ボクとコボちゃんの目の前を元気な蜻蛉(とんぼ)が飛んでいく。草色だというのだが、どんな種類なのだろう。
 早朝は元気なのだが、こじらせてしまった気管支炎がちっとも治ってくれない。耳障りな咳をしながら帰宅。頭がボンヤリするので、横になることにした。
 音声腕時計のアラームでラジオをつける。横になりながら、NHKラジオで「上方演芸会」を聴く。若手漫才のシンクタンクは軽いタッチのしゃべくり漫才になっているのだが、ベテランのおばさんコンビ、ボクはちょっと苦手である。これをガマンしていると、10時からカルチャーラジオが始まる。「ここまで分かった宇宙」というテーマはボクを限りなく狂気させる。夏風邪をこじらせ、ボンヤリとした頭で必死に理解しようと聞き耳を立てる。惑星物理学全体を把握するためには地球の構造を理解せねばならぬ。とはいえ、プレートテクトニクスだけでも不可解な現象。だって、どうして岩が液体のように対流するのか、簡単には説明できない。でも、ボクはボクのレトリックで、この難しい理論を頭に突っ込んだのである。さて、この地球という惑星が稀有な奇跡の惑星なのか、それとも、銀河系宇宙にざらに存在する平凡な惑星なのか、それは今後の番組の展開に期待するのだ。
 昼からアナログのテレビ電波は消えてなくなる。試しにポケットラジオで音声を聴いてみたら、NHKは雑音だけ。民放では、ご丁寧な案内音声が流れていた。さて、今現在、いきなりテレビが消えてしまい、慌てている日本人がどれだけ存在するのか、とても興味がある。
 午後、コボちゃんがボクの大好物を作ってくれたのだが、体調不良で食欲がなく、残してしまう。つまり、舌も鼻も無感覚になると、食べ物がちっとも旨くないのだ。でも、悪いことをしたと悔やむ。こうなれば、仕方がない。エアコンも扇風機もなしで、自然の空気の中で、静かに眠ることにする。風邪には睡眠がいちばんの薬なのだ。
 20時、不意に思いつき、NHKラジオ第二をかける。すると、なんとカルチャーラジオをやっているではないか。「ここまで分かった宇宙」の第三回の本放送である。この銀河系宇宙に、地球型惑星がどれだけ存在するのか。そこに向かうステップ1。太陽系以外の惑星系を求める旅の物語である。これもいつか、エム ナマエなりのレトリックで語りたいと思っているのだが、最先端の宇宙物理学、面白くてたまらない。また来週、この再放送を聴いて、頭の整理をしてみたい。
 何の薬ものまず、ひたすら眠っていると、少しは体によいのかもしれない。なんとか普通の頭に戻りたい。
 未明に地震で目覚める。3時51分、震源は福島沖。マグニチュードは6.2ということで、東日本大震災の余震という発表があった。ゆうべは奈良も揺れていたし、やっぱり日本列島、油断は禁物という雰囲気が続いている。
▲ ストローに蜻蛉(とんぼ)の止まる気配あり






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