全盲のイラストレーター ◆エム ナマエ◆ の超個人的十七文字ブログです
ボクは中途失明した画家。週に三度の人工透析で生かされています。なのに、今でも 画家で作家。ボクは思います。人生、何があっても大丈夫。
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いつも日記をつけてます。失明したら頭脳がノート。
だから、記憶力のトレーニングのためにも、前日の出来事を振り返り、コツコツ日記をつけてます。



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2010年7月19日~25日
0719・月・海の日・
 朝の散歩は豪徳寺の花壇でアイスコーヒーを楽しむ。すずらん通りの文房具店、誠和堂(せいわどう)さんに声をかけられる。ご主人も散歩をされているのだ。
 帰り道、コーギーのキナ君、遠くからアルルを発見、飛んできて、アルルに好き好き攻撃をかけてくる。アルル、相手が大型犬でも小型犬でも、男の子に人気があるのだ。
 キロンがあまり動かない。同じ姿勢のまま、静かに寝ている。口の中はきれいに回復したが、体力が回復してくれない。コボちゃんはキロンが元気になってくれることを疑わない。
 今週も永六輔の「誰かとどこかで」を聴く。ボクは50円の小言が好きなのだが、どちらかというと、50円の感謝の葉書が読まれている。リスナーも耳に痛いことは避けたがる傾向にあるのだろうか。それとも、放送局が世間の空気に迎合しているのだろうか。ボクはいいたいことのいえない社会がいちばん恐ろしい。
 休日透析は3時から。ボクは今でも、この休日透析のタイムテーブルには納得がいかないでいる。けれども、病院とはあまり闘いたくない。患者は命を人質に取られているのだから、いつだって立場は弱いのだ。といって、透析質のスタッフに不満はない。ここも、自由と独立を認めない国家に存在する病院のひとつである。どこかであきらめる知恵も必要なのだ。でないと、賢明に生きていくことができない。
 帰宅すると、NHKラジオで俳句特集をやっていた。休日の特別番組なのだろう。で、このテイストは「土曜の夜はケータイ短歌」に告示しているので、もしかしたらKディレクターの仕事かと思ったら、やっぱりそうだった。俳句の基本を学ぶにはいい番組であった。
 コボちゃんと冷奴をつまみに晩酌。BGMはラジオ深夜便。藤沢周平作品朗読は『海鳴り」。コボちゃんにとって、剣戟のないこの時代小説は物足りないのかもしれない。キロンの介護で疲れているのだろう。いつの間にか眠っていた。
 キロンは老猫ではあるけれど、ボクらにとってはいつまでも子どもで長男坊。年齢から考えると、決して逆縁(ぎゃくえん)ではないのだが、やはり子どもに先立たれるようなたまらない寂しさがある。
 本日、東京練馬で36度。東京都心で34.5度。あわや、本年最初の猛暑日かと思う。こうなると、エアコン全開しかない。
▲ 年老いた猫を我が子と思いつつ

0720・火・
 朝寝坊をするが、原稿執筆は捗る(はかどる)。夏の朝は気持ちがいいのだ。遊歩道からの草の匂い、風の音。気温が上昇するまでが勝負である。
 藤澤監督のパートナー、馬場民子さんが梅ゼリーなど、手作りのお菓子を持ってきてくださる。いつもおいしいのだ。ついでに甘坊の稲荷寿司と太巻きを買ってきてもらう。ときどき無性に食べたくなるのだ。おかげで満腹となる。すずらん通り、甘坊の胡麻と青紫蘇入りの稲荷寿司は秀逸。太巻きも寿司屋並みの旨さである。
 午後もずっと原稿執筆に集中。つかれたので、マンション入り口の階段に座り、この猛暑とプロ野球のナイターを楽しむ。
 それにしても巨人軍、東京ドームでないと勝てないのかもしれない。でも、東京ドームでの試合はホームランレースみたいでつまらない。ボクら野球ファンは、ちゃんとした試合を楽しみたいのである。
 コボちゃんはキロンの看護というか、介護というか、ずっとキロンの相手をしていて疲れている。だから、遅い時間に豪徳寺にクルマで向かい、デニーズで食事をする。ここのサーロインステーキ、嘘のように安いのに、ちゃんとステーキの味がする。高級な和牛よりも、安い輸入肉の方がちゃんとした牛肉を食べたような気がするのは、ボクが貧乏人なせいだろう。いや、人は育ちからは逃げることができないのだ。
  「ラジオ深夜便」は須磨佳津江アナウンサー。その声に耳を傾けていたら、いつの間にか眠っていた。暑い夏とキロン。眠っていても、そのことが頭から離れない。
▲ 年老いた猫を連れ去る暑い夏

0721・水・
 本日も猛暑である。
 10時半、キロンの様子を見ると、息をしていなかった。静かに寝ているようで、名前を呼べば、いつものように尻尾で応えてくれそうだ。涙は出てこないが、体の奥底で何かが震えていて、今にも噴火しそうだった。
 夕方になっても、キロンは冷たくも硬くもならず、いつまでも生きているようで、そのまま動き出すように思えて仕方がない。
 仕事をしながら、ときどきキロンの傍にいき、体に触れて声をかける。パソコンデスクに向かっているとき、ふと振り向くと、そこにキロンがいるような気がしてならなかったのだ。
 本日の東京は36度。今年初めての猛暑日である。
 透析中、気持ちよく眠っていると、いきなりフットケアチームだといって知らない看護師に起こされた。気持ちよく眠っていたのに不愉快である。おまけに切り口上な語り口。上から目線といってもいい。で、ボクの足を見せろ、という。何かこちらにメリットがあれば別だが、どちらかというと、この新米風の看護師の臨床体験に貢献するだけで、ボクにメリットがあるとはとても思えない。質問の内容だってデニーズのマニュアルみたいで、熱心に応える気になれない。5年前に閉塞性動脈硬化症で両脚切断の機器から救われ、自分の肉体で、さんざん辛くて痛い体験をしてきたのだ。若い彼女から、今更教えてもらうことは何もないことは明白である。そもそも、患者は教えてもらうより、教えてあげることの方がずっと多い。医療関係者の心得の、これは基本の基本である。
 その後、血圧を測定したら、わあ高い。不愉快の作った結果である。
 帰宅して、あのまんま眠っているキロンに挨拶。自分の不機嫌の理由を悟る。キロンにビールで献杯をしてから眠る。
▲ 応えるは鈴の音(ね)ばかり蝉しぐれ

0722・木・
 キロンが永遠の眠りについているすぐ先でキジバトポッポが遊んでいる。ポッポとキロンが平和に同室するのはこれが最初で最後のことだ。
 『ありがとうアリーナ』執筆。ボクは1998年のニューヨークにタイムスリップしてしまった。パソコンに向かっているときは、まるであのときの自分になっており、盲導犬アリーナがすぐ隣にいてくれるような気がしている。そして、アルルを通じて、すべてのワンちゃんを通じて、アリーナの息吹を感じてしまう。そのアリーナの忘れ形見のキロンがとうとう召されたのだ。そのことを忘れようとするのだが、また思い返してしまう。パソコンに向かう以外、何もしたくない一日だった。
 アルルは動かなくなったキロンに、ときどき鼻を寄せている。いつもは鼻と鼻で挨拶をした兄弟だったのだ。
 今夜のプロ野球はオールスターのジュニア版。つまらないのでNHKラジオに回すと、「懐かしのポップス・ベストテン」をやっている。エアサプライがかかっているので思わずボリュームを上げてしまう。1980年。この年のことは忘れられない。このLPはパチンコで取ったのだ。当時、おおよそのLPはパチンコでゲットしている。ご近所のパチンコ屋には音楽好きがいたらしく、いつも最先端のLPが並んでいて、ボクのパチンコ魂がうずいたものだった。そういう意味ではクリストファー・クロスのフラミンゴのレコードジャケットも思い出深い。そして、やっぱり彼の曲がかかっていた。
 80年の年間ベストワンはブロンディーの「コールミー」だった。このデボラ・ハリーという歌い手、その後もずっと注目していて、LPも購入している。若い頃は妖精のような少女だったのだが。デボラ・ハリーの曲は最近も耳にしていて、今でも活躍なのが嬉しかった。
 クーラーで冷たくなった部屋にキロンが静かに眠っている。動かない気配。もしかしたら、そういうものがあるのかもしれない。
▲ 飼い猫の通夜をしている鳩一羽(いちわ)

0723・金・大暑・
 5時に目覚め、原稿執筆。朝から空気が熱い。6時過ぎ、CDを入れ替えようと立ち上がったら、いきなり襖(ふすま)がガタガタと鳴る。地震かなと思うが、ラジオは何も伝えない。小さい地震だったのだと納得して机に向かったが、その後のニュースでは、鹿島では震度5弱と小さな地震ではなかった。それなりの被害があったのだ。コボちゃんはその間、ボクのベッドで眠っていた。
 リビングにいく度にキロンに声をかける。応えてはくれないが、まだキロンがそこにいる。なんだか生き返ってきそうな、不思議な気持ちがしている。可愛い猫だったと、改めて思い知らされ、寂しさと悲しさと後悔が湧き上がってくる。
 キジバトポッポはキロンのすぐ傍にいて、エアコンの下、キロンの守護神になっている。不思議な気がする。
 デイキャッチでの宮台教授の取り上げた話題。最近、難解な高等数学に挑戦する中高年が増えている。ボクはボクなりに、その理由がよく理解できる。
 いつもの透析。プロ野球はオールスター。興味がないのでNHKFMを聴いていたら、眠ってしまった。目覚めるとNHKラジオでは「懐かしのポップス・ベストテン」をやっている。今夜は81年特集。シーナ・イーストンがかかっているが、ジャケットの彼女の挑戦的な姿が浮かび上がった。たまらなく嬉しかったのはビートルズのカバー、「スターズオン」がかかったことだ。これは飽きるほど繰り返し聴いていた、当時の空気が蘇る。活動を再開し、すぐに撃たれてしまったジョン・レノンの「スターティングオーバー」がこの年の年間4位とはちょっと残念。トップでないのが不思議。で、ベストワンはキム・カーンズの「ベテイデイビスの瞳」だった。このアルバムは特徴的で、これも繰り返し聴いていたし、今でもキム・カーンズは特別に好きな歌い手である。でも、やっぱりトップはジョンであって欲しかった。
 NHKのこの企画、野球中継のないとき、かかるのだが、これは好きなプログラムで、いつも夢中になってしまう。やはり音楽はすべての記憶を活性化させる。
 帰宅して冷奴でビールを飲む。夏は早寝早起きがいちばんだ。
▲ 室外機唸りをあげて大暑かな

0724・土・
 5時に起床、原稿執筆。なんとなく日記を書く気がしない。次のブログは遅れることになるだろう。
 6時半、豪徳寺へ散歩に出る。既に暑い。猛烈に汗をかきながら歩く。いつもの花壇で飲むアイスコーヒーが命の水。
 朝はTBSテレビ、下村健一のサタズバレポート。花壇に座り、ポケットラジオで聴くが、頭に入らない。約束の時間が迫っていて、急いで帰る。
 キロンを棺に入れてやる。マキコさんからの花で飾ってやる。顔のまわりはバラの花だけにしてやる。毛並みも尻尾の柔らかさも生きているときと同じだった。名前を呼んでも、応えて動かない尻尾が不思議な気がした。
 8時半過ぎ、クオリスでキロンを運ぶ。ラジオを点けたら、子ども電話相談室をやっている。夏休みが始まったのだ。
 9時半、ペット葬祭場でキロンを荼奘(だび)に付する。別れのセレモニーは胸に響いた。これが料金に含まれていると分かっていても、こういう配慮は心に残る。花に囲まれたキロンがボイラーに入るとき、
「いっておいで、またきておいで」
と声をかけた。
 1時間して、キロン、美しく焼いてもらった。この配慮があるので、このペット葬儀社にお願いしたのだ。あの柔らかかった尻尾が、一並びの骨になっている。キロンの尻尾の先だけ、ちょっと曲がっていたのだが、その骨に触れてみる。骨に変形はない。ボクは愛おしさをこめて、その骨を愛撫した。
 爪のひとつひとつ、背骨のひとつひとつを指でつまみ上げ、骨壷に入れていく。大切に頭蓋骨を持ち上げる。ひとつだけ見えていた右目の眼窩が大きい。左目は失ったときのままの大きさになっていた。キロン、ひとつ目でも、みんなに可愛いと呼ばれていた。キロンは本当に面白いやつだった。最後に喉仏を頭に乗せてやって、キロンは小さな箱になってしまった。
 三日月に乗った猫の絵柄の布でくるまれ、箱になってしまったキロンを膝に乗せ、クオリスで帰宅。コボちゃんが線香を立てる。骨壷にキロンの首輪を飾ってあげる。触れると鈴が鳴り、キロンの音がした。
 正午、大手町で35度を超える。これで三日連続の猛暑日は新記録。ボクも頭がぼんやりしたまま。
 夜、豪徳寺へ散歩。コボちゃんがキロンの花を買にいっている間、隣で酔っ払いが地面に崩れた。
「俺は酔っ払ってる。わあ、歩けない。おかしいぞ」
 などといっている。座り込んだまま、ひとりでしゃべり出した。世田谷線の山下駅前は小さな商店街。みんなの目があるから、この酔っ払い、行き倒れになる心配はないだろうと思っていたら、ご近所の酔っ払い仲間から声がかかっていた。この酔っ払いのおっさんとおばさん、アルルにも声をかけてきた。
 多摩川方面では花火大会をやっているらしく、ドカドカと爆発音。それに対抗するように、北からは遠来が轟いている。人通りも多く、夏休み初めての週末という印象だ。アルルと歩くと、いろいろなワンちゃんたちとも遭遇。みんな楽しく散歩をしていた。
 22時15分、NHKラジオではラジオ文芸館は松本清張のサスペンス。あとで、なあんだと思うのに決まっているのに、ついつい傾聴してしまう。やっぱりうまいのだよね。とてもボクには真似ができません。
▲ 多摩川の花火大会野辺送り

◇ おくのほそ道コース福島に到着、通過しました。次は飯塚。あと、66,990歩です。
     現在の歩数787,010歩。

0725・日・
目覚めたらすぐに文化放送、志の輔ラジオ『落語でデート』。ゲストにあまり魅力を感じなかったが、落語は春風亭柳朝(しゅんぷうていりゅうちょう)の『ふなとく』。この根多を14分で片付けてしまう柳朝(りゅうちょう)という噺家をすごいと思う。さすが、小朝(こあさ)のお師匠である。
 いきなりコボちゃんに声をかけられ、散歩の支度。ニッポン放送では藤沢周平の『蝉しぐれ』の最終回をやっている。それをポケットラジオで聴きながら、朝の散歩。あまりの発汗で少し目眩(めまい)。アイスコーヒーで復活する。昨日で東京では猛暑日の連続記録を作ったらしいが、今日はどうなのだろう。
 帰宅して原稿執筆。面白くて仕方がないが、疲れて仮眠。NHKラジオの素人喉自慢もパスして熟睡。
 目覚めて東京FM、山下達朗のサンデイソングブック、サンソンを聴く。もちろん、キーボードを叩く手は動いている。コボちゃんは別働で仕事。石和図書館の原画展準備である。
 夜は経堂へ散歩。途中、雷雨に襲われそうになる。小田急線の高架線の下にアルルと避難。その間、コボちゃんはオーエックスで買い物。ボクはポケットラジオでNHK第二のカルチャーラジオを聴く。
 ここ最近、日本のロケット開発シリーズをやっていて、今夜はスーパーロボット、JAXAのハヤブサ君ストーリー。これは猛烈に興味深い話題だった。特にNECスタッフのイオンエンジン開発に注いだエネルギーに感動。この鉄腕アトムを見事にコントロールした宇宙航空開発機構のチームワークに羨望を覚えた。同じスタッフが金星探査線「暁」や宇宙ヨット「イカロス」を開発。その活躍に期待している。
 自由な職業選択の許される世代が羨ましい。そんなことも考えた。ボクら世代は、お金が目的の世代に育てられた。そのことを思うと、戦争の罪の大きさを思い知る。
 遅い夕食は高級鰻重弁当。ビールと漬物も旨かった。BGMは落語チャンネル。ときどきキロンの骨壷を撫でると、キロンの首輪で鈴が鳴った。
 『草枕』をパソコンで分解して、漢語を勉強したので、夏目漱石の『草枕』の朗読がますます面白くなってきた。またまたそのCDをかけて熟睡する。けれども25時半、キジバトポッポが鳥かごで強くはばたく。そろそろ鳥かごから出たい、という意思表示なのである。
▲ 隼が星の世界を旅烏




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