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全盲のイラストレーター ◆エム ナマエ◆ の超個人的十七文字ブログです
ボクは中途失明した画家。週に三度の人工透析で生かされています。なのに、今でも 画家で作家。ボクは思います。人生、何があっても大丈夫。
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Author:emunamae
いつも日記をつけてます。失明したら頭脳がノート。
だから、記憶力のトレーニングのためにも、前日の出来事を振り返り、コツコツ日記をつけてます。



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2010年5月1日~9日
◆5月・五月(さつき)・
0501・土・
 本日から五月である。けれども、五月晴れというのは梅雨の晴れ間をいうらしい。つまり、旧暦の五月は梅雨時であったらしいのだ。
 未明に起きて旅支度をしていると、4時からのラジオ深夜便「明日への言葉」は山本コータローの出演。それをBGMに荷物を作る。コータロー、オーディエンスを考慮して、明快な発音で面白く語っている。さすが、クラスの秀才の仕事である。
 コボちゃんは軽井沢朗読館ミニ展覧会の出品作品を揃える。5時に到着してくれた青木岳志カメラマンが展示作品を3Fからご自分のクルマへ積んでくださる。ファミリーと軽井沢へ出発。ゴールデンウィークの大渋滞を覚悟していたのだが、意外とスムースで快適なドライブ。想ったよりもずっと早く横川に到着。
 横川のサービスエリアでコーヒーを飲んでいると、アルルが盲導犬と間違えられる。みんなから
「おりこうさんね」
と声がかかる。休憩をしていたら、石和図書館から電話があって、内容は展覧会のオファー。その場でOKをして、細かい打ち合わせは後日、ということになる。
 横川から中軽井沢(なかかるいざわ)まではそれほど時間がかからなかった。けれども、駅から軽井沢朗読館への道が分からない。昨年まで2度もきてはいるのだが、コボちゃんが林道(りんどう)には慣れていないので、まるで覚えていない。看板が出ている予定だったが、その設置もまだ。土地の人に道を聞きながらセゾン美術館の駐車場で待機。そこへ深尾博士が最高級ハイブリッドカーで迎えにきてくれた。
 深尾博士の誘導で軽井沢朗読館に到着。みんな忙しく働いている。青木裕子館長と挨拶。ちょっと高揚している印象。

青木裕子館長と深尾博士と三人組
青木裕子館長と深尾博士と三人組
深尾博士は小学校の仲良しです
深尾博士は小学校の仲良しです
 すぐ、作品を展示する。さすがは深尾博士、ボクの行き届かない情報を活用して図面を引き、フックの準備がしてあったので展示はたちまち完了。ただし、ボクの記憶違い。1点だけ横長の作品だったので、この部分だけ深尾の計算を狂わせてしまった。けれどもさすがは博士。そこはたちまち修正して、準備完了。
 キャプションの貼り付けはチャコちゃん、青木咲子さんの仕事。正しく作品と照らし合わせ、美しく壁に貼り付けてくれた。チャコちゃんはその昔、ボクのバックコーラス、エンジェルピッグとして活躍してくれた、NHKの少年少女合唱団のメンバーでもあった、今は女子大生の頭脳明晰な女の子。でも、NHKの合唱団にいたことはエンジェルピッグ時代には内緒の話だった。
 点字が終わった作品を見て、デザイナーでアメリカ文化研究家の小林恵(こばやしけい)さんが喜んでくださった。小林さんとはニューヨーク以来の知り合い。とてもステキなおねえさまで、いくつになられてもエレガンスで魅力的。さすが、ひとりニューヨークでキャリアを重ねた人物である。たまたま日本にいるタイミングがオープニングとリンクしていたので、青木裕子さんの晴れの舞台を応援にいらっしゃったのだ。
 さて、展示が完了したところでランチは茹(ゆ)でたてのスパゲッティ。料理研究家を青木岳志さんの奥さん、ヒロコママと望月税理士の奥様、真弓さんがサポート。ミスター・ワサビマンががむしゃらの大活躍なので、サラダドレッシングが強烈なワサビ味(わさびあじ)。野菜は新鮮だが、やたら辛かった。
  コボちゃんと販売書籍を並べていると、電気掃除機やモップでひとり猛烈に働いている女性がいる。誰かと思ったら、望月税理士夫人の真弓さんだった。盲人のボクをサポートしているコボちゃんに受付を頼むようなピントのぼやけたボランティアスタッフもいて、こういう慌しい時間帯に個人の能力が表面に浮かび出る。秋山さんも来客とスマートに対応している。望月さんも秋山さんも、みんな絵門組、つまり絵門ゆう子さんのスタッフだった人たちだ。
 午後からの朗読コンサートは『銀河鉄道の夜』。アナウンサーを卒業して、朗読家としての青木裕子の初舞台ともいえる。小澤章代(おざわあきよ)さんがチェンバロとシンセサイザーの演奏で超満員のホールを宇宙空間に変えていく。
 休憩時間にホワイエでサイン会。おかげさまで沢山の人と触れ合いができた。一生懸命に絵をかき、サインをしているボクを注目している妙なおじさんがいる。誰だろうと想う。演奏の始まったホールに入って驚いた。さっきのおじさんが、あの坂田明さんだったのだ。そして、なんたる迫力の音楽。なんたる迫力の人間力。めちゃくちゃカッコいいのである。ボクはナマ坂田明は初めてだったので、まったく魅了されてしまった。
雑木林に出現した軽井沢朗読館
雑木林に出現した軽井沢朗読館

 一般のお客様が帰ってしまい、軽井沢朗読館の周囲を歩く。すると、壁に銀色のプレートがある。そこには朗読家、青木裕子の名前に並んで、ボクと深尾博士の名前が刻み込まれていた。朗読を人生とする青木裕子の夢と、深尾博士の頭の中にあったものがここに現実として存在している。ボクはただでしゃばっただけなのに、これには感激である。で、オープニングパーティーでは、その三人が並んで挨拶。おまけにボクは自分のオリジナルソングをカラオケCDで歌ってしまう。音響技術は太宰麻帆さん。彼女、音響のエキスパートなのに、ボクの歌を褒めてくださった。
 乾杯をしてから、しばらく坂田明さんとお話をさせていただく。ステージとは違い、落ち着いたおじさんである。やっぱしカッコいいのだ。と、ふと立ち上がった坂田明さん、サックスを片手にホワイエへ。大賀ホールのスタッフがその音響を褒めたというホワイエで、坂田明さんがいきなりアドリブで演奏を開始した。パーティーのメンバー、みんなホワイエに集合。ボクは星野温泉の星野裕一さんと並んで、その音楽に傾聴。アルルもオスワリをして聴いている。と、今度は小澤章代さんと坂田さんとのクラシックの競演。坂田さんはサックスをクラリネットに持ち替えている。チェンバロとクラリネットによるバロックだ。この熱狂的演奏は深夜まで続いた。時間など気にしない。なにしろ、外で聞いているのはタヌキやキツネやクマさんだけなのだから。
 青木カメラマンの北軽井沢スタジオに泊めていただく。深夜まで、青木ファミリーとワインを楽しみながらの談笑。心許せる一時(ひととき)であった。
▲ 軽井沢歌と朗読春きたる

0502・日・
 目覚めたコボちゃんとアルルが軽井沢の雑木林を駆け回る。朝はヒロコママのベーコンエッグと、豊かな野菜サラダで満腹となる。
 北軽井沢から軽井沢朗読館へ。青木岳志さんがみんなのために浅間山の見える道路を選んで走る。軽井沢朗読館に到着したら、カレーの匂い。本日のランチはカレーライスだ。
 ホワイエでサイン会をしていると、八千代の清原さん、経堂のささまちさん、同じ建物のマサミさんなど、キッドアイラック・アートホールの源氏物語のメンバーが次々に到着。みんなで軽井沢での再会を楽しむ。清原さんなど、昨日からずっといて、本日は上田から親戚の方も連れてきてくださったのだ。
 ホールへ座ると、足元にはアルル。まるで盲導犬のようにフセをしたまま動かない。ここにいる全員がアルルを盲導犬扱いしてくれているのが嬉しい。
 午後1時半から合唱はコール・アンティ。指揮は深尾小百合さん。深尾博士の奥様である。コーラスがいいのか、それともホールがいいのか、とても素敵なコーラスで、ささまちさんは感動で涙ぐんでいた。


 朗読コンサートは宮澤賢治作『注文の多い料理店』で朗読は青木裕子。スピネット演奏は小澤章代さん。このふたりの呼吸はピッタリ。最高のパフォーマンスだった。
ライブが終わった青木裕子さん、おおたか静流さんと
ライブが終わった青木裕子さん、おおたか静流さんと
 ライブは特別出演の歌手、おおたか静流(しずる)。ステージに現れた瞬間から聴衆を魅了している。ナマの声とマイクからの声をうまく融合させ、小さなリズム楽器で独特の世界を広げていく。歌姫静流、妖精静流の魔術。ひさびさのナマ静流にボクも魅了されていたら、その静流さん、いきなりボクを指名する。で、図々しいボクだから、ドキドキしながらもステージに上がっていった。まったくのアドリブである。まず、静流さんとの漫才でみんなから笑いをいただいて、そこから歌い始める。これまで何度か静流さんとのステージを経験しているから、思い切りのぶっつけ本番である。静流さんのリズムとカウンターが抜群だから、ボクもなんとか歌うことができて安堵。後日談では、音響の太宰麻帆さんはOKをくれたらしい。


 コンサートが終わり、田中理事長の指令で、日本点字図書館レポーターとして青木裕子館長にインタビュー。録音取材をする。ホワイエの反響音が臨場感を添えるだろう。
 軽井沢朗読館の前で青木さん、静流さん、ボクとで記念撮影。太宰麻帆さんも見送ってくれて、ボクらは朗読館を去る。中軽井沢駅前の有名蕎麦店「かぎもとや」で青木ファミリーと静流さんと食事。ボクは静流さんと並んで蕎麦をたぐる。静流さん、電車の時間になっても、平然と食べている。さすがは大物。そんな彼女を青木ファミリーが軽井沢駅まで送り届ける。ここには新幹線がきているのだ。静流さんと握手をして駅へ送り出す。静流(しずる)さん、いつだってカッコいい。
 ゴールデンウィークで賑わう横川サービスエリアでコーヒーを飲んでいたら、ヒロコママが釜飯弁当を買ってくれた。感謝して、ここで解散。コボちゃんはサービスエリアで一眠り。渋滞を避けて未明に高速道路を移動。東京へ帰る。
▲ 歌姫の静かに響き流れけり

0503・月・憲法記念日・
 未明に帰宅、釜飯弁当を食べる。プラケースに入っている漬物セットが旨い。年齢のためだろうか、このあっさりとした釜飯弁当がおいしく感じるとは不思議。最近では横川を通るのが楽しみになっている。
 夜明けに眠り、午前中に目覚める。豪徳寺まで散歩。いつもの花壇でコーヒーはマック、ホットドッグはモス。マックのパンはスカスカで、パンというよりは麩を食べているよう。小麦粉をエコしているのだろうか。どうもマックの食べ物はピンとこない。連休のせいか、街はのんびりとしている。みんなが憲法を祝っているとは思えない。でもなあ、この憲法を大切にしていかないと、ボクたちの足元がやばくなる。
 本日は休日透析だから、時間が勿体無い。ボヤボヤしていたら、もう病院にいく時間である。せっかくの休日だが、何もできずに一日が過ぎていく。
 午後の3時から休日透析。疲れているせいか、透析中はよく眠る。
 帰宅してコボちゃんの買ってきてくれた吉野家(よしのや)の牛丼特盛り(ぎゅうどんとくもり)をかっこむ。温かい牛肉とナマタマゴのコンビネーションが抜群。ナマタマゴがなくなれば、紅生姜(べにしょうが)を散らす。安売りの牛丼もいいかもしれない。けれども、ボクにとっての牛丼はやっぱり吉野家。他の牛丼に浮気をしたこともあるが、今では吉野家でなければ牛丼は食べない方がいいと想っている。
なんとなく抜け殻になっていて、みんなでボンヤリ過ごす。24時半になれば、ラジオ深夜便で藤沢周平作品朗読『海鳴り』が始まる。まだまだ主人公との一体感はない。ビールが効いてきて、すぐに眠りに落ちていく。
▲ 憲法の街に日の丸はためかず

0504・火・緑の日・
 朝寝坊。まだ疲れが取れないでいる。TBSラジオのスタンバイはモーニングブレイクは詩人の荒川先生。韓国の詩人仲間を訪れたらしい。韓国は詩人にとっては理想郷。書店における詩集の棚のスペースは小説を凌ぐという。日本では本棚どころか、棚の隙間にだってありつけない。それでも、我が国には17文字という永遠不滅の定型詩がある。
 午前中の散歩は豪徳寺まで。暑いのでアイスコーヒーがおいしい。アルルは世田谷線駅前の八百屋(やおや)さんから水をもらっている。
 帰り道、世田谷線の線路脇に巨大タンポポの群れ。綿毛が散ってしまっていたので、コボちゃんがその1本を手渡してくれる。まあ、その大きいこと。これだったら、サラダにして食べても悪くはないだろう。ここらあたりでアルルはいつもオシッコをするが、まさかそいつが栄養になったのではあるまいな。
 歩いていったら、遊歩道に飛べない雀を発見。コボちゃんがつかまえようとしても、歩いて逃げていく。まるで我が家のキジバトポッポみたい。草むらから小さな目玉でコボちゃんを見上げていたという。連れて帰りたいが、ネコのいる我が家にはキジバトだけで満員御礼である。雀の命を保証することはできず、無事に生き延びてもらうことを祈って、悲しいけれど、目をつぶる。
 暑い。急いで着替え、再び外出は経堂すずらん通りへ。滑り込みセーフで「英」(ひで)のラーメンにありつく。
 休日の「英」(ひで)の前はいつだって行列。この行列は雇われた行列ではない。「英」の大将、本当に尊敬すべき人物。寿矢(としや)にせよ、「英」にせよ、大将の働く姿が経営に反映している。成功の鍵はそこにある。これは以前、小田急ジョイフル地下街のラーメン「とんとん」でも感じたこと。ボクは働く人を見るのが好きだった。
 「英」のラーメンはいつ食べても旨い。店員はいつも一生懸命。店員のひとりは外国人の青年。ひたむきに働いている姿がいい。おかげでサービスのソフトクリームがますますおいしかった。
 午後の仮眠は電話で起こされてばかり。休日なのに笑ってしまう。小田急の倉庫に虫が出たって、気にしない。虫がいるくらいがいいのだ。軽井沢ではカメムシと仲良く眠るくらいなのだから、そんなことで怒りはしない。
 ここ最近は古今亭志ん生の落語を聴いている。志ん生、やっぱりいい。睡眠導入剤にしようと思うのだが、ついつい傾聴してしまって、ますます眠れなくなってしまった。そこで起きてパソコンに向かうが、またまたコボちゃんが声をかけてくる。夜の散歩にいこうというのだ。歩きながらNHKラジオに回すが、「ムーンライトシャワー」はおぞましく陳腐。原稿も語り手も時代錯誤をしているとしか思えない。一度だけ聴いたことがあって後悔しているので、直ちにラジオをオフにする。どうして落語ライブではなかったのだろうか。休日の楽しみなプログラムなのに。
 夜の花壇に座り、温かいコーヒーを楽しむ。あの飛べない雀はどうしていることだろう。コボちゃんがしきりに気にしているが、どうにもできないだろう。小鳥の命は、あまりにあっけなく、ボクはその悲しみを二度と味わいたくはないのである。
 最近ありがたいのは夜のTBSラジオがつまらないこと。おかげで早寝ができるのである。ところで、鳩山首相が沖縄で何かやらかしたらしい雰囲気。明日になったら詳しいニュースを知ることになるだろう。もしも鳩のお腹がからっぽだったら、これは大変なことになることだけは間違いない。まあ、ボクはヘソの皮1枚で期待をつなげてはいるのだが。
 古今亭志ん生をBGMに布団に潜るが、やはり眠らずに聴いてしまった。本日はボクとコボちゃんとアルルとで1万5千歩も歩いてしまった。
▲ 腹のない鳩は五月(さつき)の吹き流し

0505・水・子どもの日・
 目覚めると、とうとう鳩山首相が本当に張子の鳩だったことが判明したというニュース。あきれて声も出なかった。
 TBSラジオはスタンバイ、モーニングブレイクのお天気おじさんの森田君によれば、今年のGWは観測史上初めての晴天続きだったとのこと。その代わりとして、GW以後は一気に天気は崩れるらしい。これは森田君の経験則によるものだが、要するに地球はいつもバランスを取っている。
 コーヒータイムの後、豪徳寺へ散歩。本日は真夏のような暑さで、指先まで汗をかくが、これは透析患者のボクにとってはありがたいこと。つまり、循環が確保されている、という証なのだ。それにしても暑い。27.6度といえば、真夏の手前。今年は春がなかったなあ。
 帰り道、遊歩道に新しく設置されたベンチで休憩。木陰いなっていて涼しい。ただし、夜間の使用は禁止、とわざわざ書いてるところがお役所仕事。間違いなく逆効果である。
 午後までパソコンに集中。窓を全開にすると、風が通っていく。キジバトポッポは窓辺に遊び、コボちゃんはアルルを抱きしめて床に寝ている。まあ、平和なGW最終日の午後である。
 駐車場のクオリス車内が炎熱地獄になっている。寒ければ寒いで嫌だが、暑ければ暑いで、それなりの苦労がある。要するに人間は無い物ばかり欲しがる生き物なのである。
 透析室に新しいメディカルエンジニアがくる。高校生のとき剣道部だったという元気な女の子。頑張って欲しい。せっかくの資格を取得しても、続かない人は続かないからだ。
 透析中、ずっとラジオに傾聴する。世田谷区で火傷を負わされたノラネコたちが発見された。昨年から12匹が保護されているという。「ネコの代理人」とやらの名称を唱えるNPOのメンバーのおばさんは、
「ノラネコと思って誰も抗議しないと甘く思ってたら、とんでもない。今に思い知らせてやる」
というようなパンチのあるメッセージを発信していた。同感である。弱い者苛めは絶対に許せない。こういうやからに対しては死刑制度を適用してもかまわないとボクは思うのだ。わあ、過激。
 米国での海底油田原油流出事故。とうとう恐れていたことが現実となった。阻止する手立てはあるのだろうか。この爆発事故には陰謀説もあって、その責任は人類全体の運命にかかわってくる。火山の噴火以上に深刻な事態で、環境に及ぼす悪影響は無限大に大きい。海底の油田などに手出しは無用なのだ。
 同じように手出し無用は高速増殖炉。明日から運転開始されると聞いたが、これも恐ろしい。もしも事故が起きれば、民族列島大脱出、というような自体にもなりかねない。
 ピカソの絵が1枚百億円で落札された。それだけあれば、ボクの絵は何枚買えるだろう。考えるだけでも馬鹿馬鹿しい。けれども、やなせたかし先生はエム ナマエを21世紀のピカソと呼んでくれた。でも、残念ながら、世の中に今のところそういう気配はない。それにしても、お金持ちが絵に出費をしてくれるのは嬉しい。人はパンのみでは生きていけないのだから。
 帰宅してブランドタマゴの玉子かけ御飯をかっこむ。箱根で買ってきた椎茸の佃煮と大根の漬物がおいしかった。
 パソコンに向かい、残務整理。軽井沢朗読館でお世話になった人たちにメールをする。
 TBSラジオでは特集で録音厚生『夜汽車は遠くなりにけり』をやっていた。鉄道マニアのボクにはたまらない企画。遠くなった夜汽車の風景が記憶の窓を通り過ぎていった。
 今夜も古今亭志ん生に見送られながら、夢の世界へ旅に出る。そして、目覚めには、あの美しきボクのアニマが迎えにきてくれた。
▲ 若き血は夏の匂いに包まれて

0506・木・
 スタンバイを聴きながら豪徳寺へ散歩。軍団の犬たちに吠えられたので、アルルも応戦。ボクはアルルを叱るふりをして、軍団の犬たちに思い切りの叱責の「ノウ」を発射。ボクの気合には剣道部以来、定評があるのだ。
 豪徳寺の花壇でアイスブラックコーヒーを飲んでいたら、コボちゃんが真っ黒な天道虫がいるという。真っ黒なら天道虫じゃないよ、とボク。だって点がないじゃない。いけね。点取り虫と間違えた。
 コボちゃんが豪徳寺駅前の雰囲気が変わった、といっている。そりゃそうだ。今日、歩いているのは通勤客ばかり。昨日までののんびり歩行者とはわけが違うのだ。
 帰宅してパソコンに向かう。コボちゃんは洗濯。コボちゃんのスペシャルランチを腹に流し込み、外出。途中、大阪の通販会社にICボイスレコーダーを返送する。
 経堂より浅草へ。浅草演芸ホールへ4時に入る。事前に電話で入れ換えなしであることを確認してある。
 浅草演芸ホールに入るのは初めてだと思う。意外なのは音響が悪いこと。お囃子(おはやし)はナマがいい。マイクの位置が正しくないのか、演者の声もよく聞き取れない。
 昼席の取りは三遊亭歌司(さんゆうていうたじ)で、演目は『親子酒』。さすが円歌(えんか)のいちばん弟子で、雰囲気があった。
 休憩時間に座席を移動。前から4列、真ん中に陣取る。けれども、客が少ない。昨日までは超満員で立錐の余地もなかったらしいのだが、GWが明ければ、本物のファンはこれだけ、ということか。だったら、客になったボクらはきっと大切にされるだろう。
 コボちゃんが助六寿司(すけろくずし)を買ってくる。寄席には助六寿司がいちばん似合う。その昔、ステーキ弁当を客席で食べて、他の客の顰蹙(ひんしゅく)を買ったことがあるのだ。うわあ。思い出すと、穴に入りたくなる。
 夜席はまず前座から。最近では開口いちばんというらしいが、前座さんは可愛かった。驚くは柳家ろべえ(やなぎやろべえ)が『元犬』(もといぬ)を演じているときだ。いきなりケータイのベルが鳴る。ろべえが「どうぞ」といったら、ボクの右斜め前のばあさんが電話に出て本当にしゃべり出したのだ。これには驚いた。志ん生の『元犬』を聴いたばかりだったが、おもとという女中が出てくる仕込を忘れてしまったのは時間の都合だったのか、それとも、このケータイ事件の悪影響だったのかは定かではない。
 楽しみにしていたのは柳家禽太夫(やなぎやきんだゆう)。ご存知一琴(いっきん)師匠の兄弟子だし、木村裕一氏の本にはボクと並んで東条しているし、真打披露パーティーでも、木村裕一のパーティーでもおしゃべりしているので、知らない間柄ではない。一琴(いっきん)師匠からも、最初に稽古をつけてもらったのは兄弟子の禽太夫(きんだゆう)さんだと聞いていたから、ますます親近感を抱いていたので、「禽太夫」と掛け声をした。いいタイミングで禽太夫師匠も高座から応答する。これがライブの醍醐味なのだ。演目は『たらちね』。さすが一琴師匠の兄弟子。語りの雰囲気に近い物を感じた。それにしても小三治(こさんじ)一門はみなうまい。
 ギター漫談のぺぺ桜井でゲラゲラ笑う。寄席は落語だけじゃないからいいのだ。この人、よくラジオで耳にするが、顔は田中角栄に似ているとか。これは意外だった。柳家〆治(やなぎやしめじ)は自分の名前が悪いという。これからは柳家松茸(まつたけ)にしたいとのこと。
 川柳川柳(かわやなぎせんりゅう)師匠はやっぱり歌を歌ってました。昭和のいる・こいるはいつもの通り。それでも笑わせてくれるのがありがたい。少ない客でも、このふたりが舞台に上がれば雰囲気が変わるのだ。柳家権太楼(やなぎやごんたろう)は万段。豪華客船「あすか」の旅のレポートだが、笑わせてくれた。寄席の短い時間である。この程度の万段が気楽でいいのかもしれないが、せっかくの権太楼が勿体無いような気もする。柳家さん吉は愚痴万段。だらだらと日頃の不満を述べているのが不思議だった。いいんだよ。芸風は様々なんだから。
 中入り前は柳家小満(こまん)。不思議な話で、金魚が芸者になるという根多。ボクは以前に一度だけ聴いたような気もするが、落ちを聞く前は、まるで展開が予想できなかった。
 中入りで助六寿司(すけろくずし)を食べていたら、たちまち開演。柳家三三(やなぎやさんざ)が出てきた。この人は声がいい。演題は『四の字嫌い』(しのじきらい)。名人円生の録音を聞いているので、どうしても比較してしまうので気の毒。でも、この三三(さんざ)や、先日真打になった三之助は師匠小三治の雰囲気をそのまま踏襲している。ここが禽太夫(きんだゆう)や一琴(いっきん)とは違う部分で面白い。
 手品は花島世津子さん。このおねえさん、神楽坂で飲み屋をやっているとか。一度いってみたい。柳家はん治(はんじ)はまたまた面白い。いいなあ、この師匠。ケータイを根多にしたマナー落語をやっていた。きっと楽屋でケータイが話題になっていたのだろう。
 当代の桂文楽(かつらぶんらく)はベテランだけにうまい。親の七光りで木久蔵(きくぞう)になった若手落語家の『六尺棒』とはえらい違いである。
 漫才のロケット団はますます面白くなってきた。ボクは少し笑い過ぎかもしれない。なにしろ客が少ないのだ。でも、隣でコボちゃんもゲタゲタと笑っているので安心。恥をかくなら二人連れ。
 林家正楽(はやしやしょうらく)に紙切りのリクエストをしておいて、ご祝儀なしでサッサとホールを出てしまう客もいて、これが浅草なのかなあと首をひねる。コボちゃんに聞いたら、さっきのケータイのばあさんだった。
 三遊亭歌之介(うたのすけ)は『手水』(ちょうず)。ほとんど呼吸困難状態で爆笑。この人の面白さは枝雀(しじゃく)に通じる物があるかもしれない。大神楽は翁家和楽。この人たちはいつもスリリングで、投げ交わすナイフの触れ合う音だけでも冷や汗が出る。
 本来、主任は柳家小三治(やなぎやこさんじ)師匠なのだが、今夜は柳家花緑(かろく)の代演。花緑(かろく)さん、こんな人数でやったことは初めてなのかもしれない。二階席にたったひとりでいる客に向かって、降りてきて、まとまって聞いてくださいよ、と呼びかけている。なにしろ20人で柳家花緑を囲めるのだから、すごい贅沢といえる。いや、こんなチャンスは滅多にないし、また、花緑自身も、こんな立場を楽しんでいる雰囲気。長い枕の後、『野ざらし』を演じたが、これまでのどの『野ざらし』とも違うユニークな語り口。さすがは人間国宝柳家小さん(こさん)の孫、人気者の花緑(かろく)である。ほんの20人のための、百万ドルの高座であった。
 満足して夜の浅草を地下鉄駅まで歩いていく。経堂と浅草。その気になれば近いものである。これからは、浅草にもちょいちょい遊びにいきたいと思う。経堂駅から我が家までの帰り道はジャスミンの香りに包まれて。
■ 人力(じんりき)を断り歩くこの道は浅草六区国際通り
▲ ジャスミンの香り流れる帰り道

0507・金・
 ひさしぶり、いつもの朝を過ごす。いつものコーヒー、いつものヨーグルト+蜂蜜。コボちゃんをアルルとネコドモと見送ってから、いつものルーティーンワーク。たまっていることばかり。
 ひさしぶり、親友と長電話。青木裕子さんからも電話をいただき、軽井沢朗読館柿落とし(こけらおとし)についての意見交換をする。昼までしゃべってしまった。
 ニコニコキッチン弁当に注文のメモを渡す。いつものことをやっていたら、たちまち夕方になっている。
 デイキャッチで宮台先生、コメントを考えず、トンカツを内緒で食べようと考えている。それにしても、宮台先生と同感であったことで内心は驚いているのだが、本当に最近は鳩山の名前を耳にするだけで悪寒が走る。もうボクらはこの首相をあきらめなければならないのだ。そして、驚いたことはもうひとつ。政権交代で鳩山内閣が知ったのは、中国が南西諸島を狙っていること。そのために沖縄には海兵隊(かいへいたい)の基地が必要であったのだ。野党の悲しさは、本物の情報の外にいること。政府も役人も、情報という強力な武器を常に握って放さない。
 戦争は二度とごめんである。けれども、それを起こさないためにも強力な軍備が必要となる。人間が馬鹿である限り、武力という抑止力は欠かせない。これは歴史を見れば明らかなこと。
 透析の支度をしていたら、望月税理士からメール。まったく同感と返信をする。
 いつもの透析。いつものスタッフ。いつもの病院での夕食。いつものことは安心させてくれる。
 FM-J-WAVEのジャムザワールドに専修大学の文学部教授が出演。最近の学生を分析していた。これはボクにも経験があるが、大学でも学級崩壊が起きている。講師の話を聞かないどころか、ゲームにおしゃべり、まるで集中力がない。おまけにノートは取れないし、レポートの書き方も、おしゃべりも満足にできない。これは高校生まで学習塾の懇切丁寧な指導に心身を委ねていた結果であるらしい。と、ボクは書いているが、自分の学生時代を振り返れば、あまり偉そうなことはいえない。ボクの高校時代は遊んでばかりで、しっかりとした大学生活の記憶がないのだ。
 コボちゃんもボクも疲れている。霧雨の中、家へ戻ったら、鳥篭のキジバトポッポに声をかけてから、ベッドに潜り込む。古今亭志ん生をしっかりと聴きながら、新城孝道先生ご指導のストレッチで腰をほぐしてから眠る。最近はこれが習慣になっている。
▲ 有難き日々の暮らしの繰り返し

0508・土・
 起きてすぐ朝の散歩に出る。おかげでケンちゃんのサタズバレポートを聴くのをすっかり忘れていた。
 朝の道はジャスミンの香り。どこもかしこもボクを酩酊させる香りであるが、ジャスミンのアロマは覚醒作用があるんではなかったっけ。
 豪徳寺の花壇でマックのアイスブラックコーヒーを飲む。マックのいいところは、朝が早いこと。
 朝食はコボちゃんがベーコンエッグを食べさせてくれた。北軽井沢のスタジオクラスターで、ヒロコママが食べさせてくれたベーコンエッグがステキだったので、コボちゃんも影響を受けたのかもしれない。これにサラダがあれば、ボクのブレックファストはOK。満足である。
 青木裕子アナウンサーが軽井沢朗読館に出かけるとのメール。柿落としの残務整理が目的だと思う。綿密な打ち合わせをして、エム ナマエの額装作品の撤収をお願いする。日当たりのよい建物であるから、撤収は早い方がいいのだ。
 午後までパソコンに集注。やることなら、いくらでもある。時間はどれだけあってもいいのだ。
 小田急線と山手線で高田馬場へ。この駅の階段の手摺、盲人には不便な形をしている。新大久保方面の出口は日本点字図書館への通り道なのだから、JRも気配りをして欲しい。
 午後3時半に日本点字図書館に到着して、小野副館長と展覧会打ち合わせをする予定だったが、ボクらが遅刻したので、スタジオ収録から始める。
 スタジオでは録音製作科の藤沢典子さんと軽井沢朗読館について語る。このレポートは田中理事長からの依頼であったのだ。ICレコーダーに収めた青木裕子アナウンサーのインタビューも、この録音に加えられることになっている。
 日本点字図書館、最初に訪れたときより、建物は新しくなったが、ボクにとって日本点字図書館のスタジオは出会いの場所。これから会う真紀ちゃんも、田中理事長も、アメディアの望月さんも、みんなこのスタジオで出会ったのだ。
 1989年、処女長編童話で新人賞をいただいたエム ナマエが、このスタジオで真紀ちゃんからインタビューを受けたのである。そのときの技術者が、現在の田中理事長であった。当時、点字独習をしていたボクは、そのまま館長室へ案内された。そこでお会いしたのが本間一夫先生であったのだ。先生こそ、点字独習テープの声の主。ボクの盲人としての人生で最大の恩人である。その場で先生は予言をされる。貴方はこれまでのどの盲人もしてこなかったような、ユニークな仕事、歴史に残るような仕事をするでしょう、と。歴史に残るかどうかは不明だが、ユニークな仕事をしていることは先生の予言通りになったわけである。
 本日の担当は藤沢典子さん。打ち合わせのときから乗ってしまい、初めから録音しておけばよかった、という話になる。で、15分の内容のところ、調子に乗って25分もしゃべってしまった。軽井沢朗読館でICボイスレコーダーに収録した青木裕子アナウンサーへのインタビューも紹介されることになっているから、ボクのしゃべりはかなりカットされるだろう。
 その後、閉館時間まで小野副館長に館内を案内され、作品を展示する壁面を見せてもらった。コボちゃんはセキュリティーについて不安を感じたらしいが、ボクは日本点字図書館を神聖な場所ととらえているので、心配はまるで無用と考え、その場でOKをした。
 幼馴染が店主の和菓子屋「いせや」に急ぐ。55年前、仲良しだった山下君と山口君と遊んだ場所を通り過ぎ、早稲田通りに出る。そこから「いせや」までは一直線である。
 小学校に上がる前のボクは、この早稲田通りの「いせや」の近くで、交通事故に遭遇し、初めての入院生活を体験することになったのだ。早稲田通りには様々な思い出がある。
 「いせや」に到着すると、幼馴染の山下嘉和君が出迎えてくれる。ラビットの今野浩美さんと真紀ちゃんは、既に山下君のリビングへ案内されていた。店の喫茶室でいいのに、といったのに、山下君はわざわざ自宅を解放してくれたのだ。エレベーターで上がっていくと、和室へ通される。畳が苦手なボクには革製の座椅子が用意されていた。やっぱり持つべきは友人である。
 出された柏餅を食べる。中身は大好きな味噌餡。口に入れた瞬間、ボクは反射的に落涙しそうになる。この味である。長年忘れていた「いせや」の味噌餡の味である。大人になってからこれまで、ボクは一度も旨い味噌餡に出会わないままでいた。子どものとき、あれほど旨いと思っていた柏餅に感動しなくなっていた。それは本物の柏餅が東京の街から消えていたからだ。けれども、50年を過ぎた今でも、「いせや」はこの味を頑固に守り続けていたのである。
 さて、ラビットのCDマガジン「ルナドリーム」の収録が始まった。再録であるから、話もスムースに進む。おまけに生まれ故郷が舞台だから、話題にも事欠かない。
 収録が終わると山下夫妻と夕食に出かける。近所のイタリアンレストランだが、かなりオリジナルな料理だと思った。近くに神田川が流れているのか、窓が開いているせいか、やたらと涼しかった。山下君、明後日からハワイだという。そんなに休んで大丈夫?と聞くと、
「うちは不良商店だから」
といって笑う。不良少年ではない。
 高田馬場の駅で別れて帰宅。部屋に落ち着いたら、わざわざ作ってもらったよもぎ餅を食べる。香りと繊維の感触があって、実に旨い菓子である。やはり高田馬場の「いせや」は東京でいちばんの和菓子屋であると思った。
▲ 故郷(ふるさと)は今も瞼の中にあり

◇ バーチャルおくのほそ道コース 日光に到着、通過しました。
次は黒羽。 あと、84,927歩です。 現在の歩数293,073歩。

0509・日・
 朝寝坊をしていて、散歩のタイミングを逃す。目が覚めたら、コボちゃんとアルルが散歩から戻ってきたところだった。
 朝食は煎茶と「いせや」の柏餅の味噌餡と花林糖饅頭。この花林糖饅頭がかりっと旨い。山下によれば、「いせや」のオリジナルではないというが、米油を使ったあたり、かなり山下夫妻のオリジナリティーを感じる。パテントを取ったら、一儲けできるような気もするが、山下は器用に金儲けをするような人物ではないのだ。
 昨日ははしゃいでしゃべり過ぎたようで、夕方まで使い物にならない自分だった。それでもおえかきデスクに向かい、白い紙に集注して習作を何枚も描く。これ、というラインが生まれたところで本番。月刊「ラジオ深夜便」7月号のイラストレーションの下絵を仕上げ、彩色プランを練る。
 夕食は「いせや」のお赤飯と箱根で買ってきた椎茸の佃煮。「いせや」の赤飯はもち米も小豆も胡麻も最高級品を使用。あの名人、柳家小三治(こさんじ)師匠もご愛用というのだから、本物に愛される本物、というわけだ。この小粒の胡麻は焙煎したばかりで、とても香ばしい。ボクは基本的に赤飯を好まない。けれども、「いせや」の赤飯だけは別。いつも満足する。
 夜はゆめぞうの仕上げ。明日が締め切りだから、ぎりぎりの仕事である。本日は半日も無駄にしたように想う。
▲ 味わえば米も小豆も本物だ






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